2011-04-25 (Mon)
「未来日記」
静雄×臨也/小説/18禁/A5/44P/400円
臨也の誕生日に静雄がプレゼントを贈る本
誕生日前日に静雄の家に行きわけがわからないまま告白して一晩過ごした臨也
未来日記と書かれた日記をみつけそこには臨也が静雄に告白すると書いてあった
日記に書かれていたことがこれから起こると知った臨也だがどうにもできなくて…
臨也が片思いで勘違いしてややこしくなるけどラブラブな話です
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「言いたいことって、殺す、とか死んで以外にってこと?よくわからないんだけど」
「そうじゃねえ!隠してることがあるだろ、それを今すぐ吐けって言ってんだよ!わかんだろ!!」
「隠してる、こと……?」
そんなものありすぎてわからない、と思ったのだがその時に一番初めに思ったのは。
シズちゃんが好きだということ。それが俺にとって最大の隠し事でバレてはいけないものだった。
「ああ俺がシズちゃんを……す……ッ!?」
しかし絶対に言えないと頭の中で感じた直後には、すらすらと口が勝手に動いていて危うくあっさりとしゃべってしまいそうになる。すんでのところで口を噤んで堪えたが、おかしいと思った。
いくら俺がペラぺラと話して相手を動揺させるのが得意でも、重要なことを思わずしゃべるほど迂闊ではない。言ってはいけないことと、いいことと、それぐらいの分別ぐらいきちんとついている。だから一瞬何をしたのか自分でもわからなかった。
変な気分だった。まるで、得体のしれないなにかに操られているような、そんな恐怖をどうしてか感じた。
「どうした?続けてみろよ」
動揺していると、シズちゃんがなぜかニヤニヤと嫌な笑いを口に浮かべて余裕の表情でそう告げてきた。まるで話の内容を知っていて、早く言えよと急かされているような。
でもそんなこと、俺がシズちゃんが好きだという最大の秘密を知っているわけがない。なのに、嫌な予感だけがした。
「俺はシズちゃんが……す、す、すす、す……ッ!?」
「す……?」
「えっ、と、なに、これ!違うっ……待って、なんか口が勝手に……」
言ってみろと促された途端に明らかに俺の意志とは反対に、重大なことを告げようと唇が動いたのだ。本当に焦ってギリギリのところで留めたが、わけがわからなかった。頭の中では何度も、シズちゃんが好き、好き、好きだとぐるぐる回っていて、そわそわと落ち着かない気分だった。
言ってはいけないのに、言わないともやもやするような、変な状態に陥っていて。
「早くしろよ」
「いや、えっ……だから、俺はシズちゃんがす、す、すすすす……!」
これはマズイ、危険だと頭の中で警報が鳴り響く。言ってはダメなのに堪えられない、と目を瞑って。
「す、すすす……すき、やきッ!!」
「おい手前舐めてんのか」
「うわっ、違う、違うごめんごめんって!だから、俺はシズちゃんのことが好きなんだ」
さすがにからかっているのかと怒鳴られてもいいような言葉に、シズちゃんが腰をあげて立ちあがりかけた。だから俺は慌てて、謝りながらあっさりと、それはもう普通に話をするように、さらりと言ってしまったのだ。
決して告げてはいけないことを。
「……ッ!?」
* * *
「手前今日誕生日だよな?」
「え……そ、うだけどなんで知ってる……の?」
あまりに予想外すぎる発言に、素で聞き返していた。今までそんなことを尋ねられたこともないし、数年間過ごした学生時代でも、誕生日当日に声を掛けられたことはない。だから、知らないとばかり思っていた。
だから尋ねたのに、答えは返ってくることなく、一番突かれたくない部分を尋ね返された。
「あとなんか、体異様に熱くねえか?どうした?」
「……ッ!?」
誕生日と体が発熱していることのどこが繋がっているのかと、相変わらずの突拍子のない物言いに腹が立った。だからそれをぶつけようと、辛いのも忘れて思いっきり振り向いてやる。
すると数センチの至近距離にシズちゃんの顔がドアップで近づいていて、暗がりでも瞳がしっかりを俺の事を見ているのに気付いた。はっきりと、見られている。
それを意識した途端に、急に頭の中がぐらぐらと茹ったように熱くなりぼんやりと思考がまとまらないまま、またしても失言した。いや今度のは、心にもないことを勝手に言ってしまっていたのだ。
「シズちゃん……ねえ、誕生日プレゼントに……俺の事、食べてくれない?」
しゃべりながら、一瞬で全身がかあっと恥ずかしさで染まった。
あんまりにも驚きすぎて、自分のしゃべったことがありえなくて、パクパクと口を開けたり閉じたりして困惑する。何も考えられなかった。
いや、考えないわけではない。誕生日に自分から食べてくれと言い寄るだなんて、そんなのは古臭い作り話の中だけで実際には起こるわけがないのだ。だいたい相手の誕生日に俺を食べてと言うのならわかるが、これは全くの逆で、こんなバカみたいな発想をしそうなのはシズちゃんしか考えられないと。
どんなAV雑誌に載っているシチュエーションなんだと、突っこみたかった。
「手前俺に食べられてえのか?」
「……っ……ぅ、あ……」
確かめるように問いかけられて、結局変な呻き声しか出なかった。違うとはっきり言いきれなかったのは、まだ現実が受け入れられなかったからだ。シズちゃんに迫っているという、この今の妙な状況は夢だと考えた方がまだ現実味があった。
しかし向こうはまるでお構いなしに妙な雰囲気を醸し出していて、じっと俺の事を見つめながらゆっくりと顔を近づけてくる。これは、キスだ、キスをするつもりだと思った時にはもう必死に叫んだ。
「ま、待って!き、キスはまだ……だめだから!!」
「そうかそりゃしょうがねえな」
* * *
『これは未来日記です。書かれた出来事が現実に起こります。日付と時間を書きこんで、詳しい内容を記入して下さい』
「は、ははっ……なにこれ?やだなあすっごい嫌な予感がするんだけど」
苦笑いを浮かべながら、後に続く数行の説明書きを全部読み飛ばして、明らかにシズちゃんの字体で書かれた一文を読んだ。
『五月二日の二十時三十分頃、臨也がアパートの前に来て俺に謝る』
「二日って……えっと確かドタチンと一緒にご飯食べた日だよね?そういえば勝手にシズちゃんの家に来てそこで会ったけど、謝ってなんて……」
おとといのことを思い返しながらじっと日記帳を眺めていたが、謝った覚えなんてなかった。だいたい何をどう謝れというのかと、呆れていてしかし唐突に思い出してしまう。
『シズちゃん今までありがとう……ごめんね』
「えっ、もしかしてあれ?いやまあ確かに俺は謝ったけど……あの時は変なことなんて無かったし、俺の意志で言ったよね。まさかこの日記のせいなんて、あるわけが……」
あの日はシズちゃんに彼女がいることが発覚した日で、ドタチンに愚痴った後に気持ちに整理をつける為に言った一言だ。これまでいろいろストーカーまがいのことをしたり、勝手に喧嘩を吹っかけたり、好きになったりしてごめんねという意味で言ったのだ。
だから決して、昨日みたいに強制的に言わされたわけではなかった。あの決意を一緒にされてたまるか、という気持ちだったのだが。慌てて次の一文に目を通した。
『五月三日の二十一時頃、臨也が俺の家に泊まりに来る。そこで俺の事が好きだとはっきりと告白してくる』
「うわっ、これ、これだよ絶対!嘘だろ?じゃあこの日記って本物だってこと?だって絶対に俺は言いたくなかったのに、強制的に言わされて……そうだよしかもそんなつもりもなかったのにシズちゃんの家に泊まることになって……あははっ、やだなあ冗談じゃない」
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