2010-05-31 (Mon)
静雄×臨也前提話 ※18禁注意
続き 俺には全く余裕なんてなかったのだ
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「ん、あー…ッ、や、らぁっ…シ、ズちゃん…っ」
「おいだからもう無理だって言ってるだろ、いい加減にしろって」
落ち着いた声で諭すように告げながら、体を離そうとするのだが向こうはどうあっても退きたくないらしい。うっとうしくて迷惑極まりない話なのだが、力任せに引き剥がすのも躊躇われて困っていた。
なんでこんなことになっているのかは、俺には全くわからない。今日一日そんなことばかりだった。
全部原因は臨也にあるのだが、本人はさっきからまともに話ができるような状態ではなかった。
まるでヤバイ薬でも使っているかのように、まともな会話が成立しない。いつものうざいしゃべりがあるほうがまだマシだったのだと、思い知らされた気がした。
「まぁ俺が悪いのはわかってんだけどな…」
なにも始めからこんな有様だったわけではない。最初はっきりと誘ってきたのは臨也の方からだったし、途中まではセックスしながらでも話はしていたはずだった。
でも責めれば責めるほどどんどん淫らなあえぎ声が激しくなってきて、気がついた時にはもう俺の名前と卑猥な言葉しか吐かないようになっていた。
やっとそこで、自分のしてしまったことの重大さに後悔したのだ。
これが実は全部あいつの演技で、という都合のいいことを考えかけたのだがやめた。「やめろ」とはっきりと拒否をしていたのに、無理矢理酷い行為を繰り返したのは俺なのだから。
わかっていて、どうしてもおさえられなかった。いつものように。
わきあがった怒りを暴力ではなく、セックスに置き換えてぶつけただけなのだ。相手が壊れてしまうまで。
「でも手前はこんな簡単に壊れるような奴じゃねえだろ」
「ふ、ぁ…っ、はぁ…」
当然のことながら呟きに返事などはなくて、ただ肩で息をしながらうっとりした瞳でこちらを見てくるだけだった。
高校からの最悪な関係が続いていたが、あいつは俺のどんな暴力も紙一重のところで避けて何度も苦い思いをさせられていた。怯むことなく何度も目の前にしつこく現れてはイラつかせた。
だから臨也にだけは全力でぶつかっても壊れない、だから壊したいと願っていた。
しかしこんな方法で実現できるとは思わなかったし、信じたくなかった。
目の前の現実をこれっぽっちも信じたくなかった。
あいつがこんなにも性行為に慣れているのも、見知らぬ男の愛人になっているというのも、見境無く男を受け入れたことがあるというのも、どれも信じられない。
あんなにも性欲をぶつけて食い散らかしたというのに、間違いであって欲しいとまだ思っていた。
随分と長い間喧嘩ばかりをしていがみ合ってきたが、そんな気配は微塵も感じられなかったのだ。あらだけ顔を突き合わせていれば、些細な変化なんて嫌でもわかる。
明らかにおかしいと感じるようになったのは、あの俺に対して好きだとか言ってきやがった日からなのは間違いないのだ。
そして俺に振られたあてつけだとしても、おかしいことばかりが起こっている。
だがなんとなくそれをわかっていながら、自分の気持ちが精一杯でなにもできなかったし、本人に聞かなかったからこんなことになっているのだが。
告白された時から今まで、俺には全く余裕なんてなかったのだ。
「え、えぇっ!?臨也に告白されたって!!」
「あぁ…」
一人で考えていても埒があかないと思ったので、新羅の家をわざわざ訪ねて洗いざらい今日のこと全部をぶちまけてみた。第三者の意見を聞く必要があると、思ったからだ。
「でもなんでで本気で好かれてるなんて思ったの?嘘だって本人は言ったんでしょ?」
「そりゃ、見てりゃわかるんだよ。あいつの嘘を見抜く自信はこれっぽっちもねえが、冗談か本気かぐらいかは目を見りゃわかるだろ。あれは絶対本気だ」
「へー…」
テーブルの反対側に座っている新羅が、考え事をするような仕草をしながらため息を吐き、やがて額に手を当てて立ちあがって言った。
「はあ、もう勘弁して欲しいんだけどさ。相談しにくる意味なんてほとんど無いと思うんだよね。そこまでわかってて嫌いか好きかなんて言わなくてもはっきりしてるだろ」
「いやだから、わかんねえから来てんのになんで断言できんだよ」
まるで臨也みたいな突き放した言い方に、ムッとしたのでおもいっきり睨みつけてやる。一瞬だけ緊迫した空気が流れたが、当然俺は新羅を殴るつもりもないのですぐにかき消えた。
まだ腹は立っていたので真横を向いて不機嫌なのを全身で表した。こんなことをしてもこいつに効果は無いのは知っていたのだが。
「じゃあ一つ助言してあげるよ。どうせ明日も臨也に会いに行くか、見つけるか、なんでしょ?とりあえず静雄がどう思っているかは置いといて」
「なんだよ、俺はノミ蟲のことなんて大嫌いだ!それ以外あるわけねえだろ!!」
今度はこっちが椅子を引いて立ちあがる番だった。乱暴すぎてそのまま真後ろに倒れたが、構わなかった。
臨也のことなんて嫌いだ、大嫌いだ。
だが告白なんてされたのははじめてで、勢いで断ったみたいな言い方だったから、表情が真剣で冗談ではなさそうだったから胸に引っ掛かっていたのだ。
茶化したような言い方で、悪かったのかもしれないと。
そんなことをあいつに対して感じてしまったこと事態が有り得なかったのだが、最低な奴でも謝るぐらいはしてもいいだろうと考えていた。
「はいはい、それは本人に言えばいいから。とにかく向こうは振られたと思ってるんだから、そうだね…告白のことはまるっきり覚えてないんですっていう風に振舞ってくるんじゃないかな?」
「確かにそんな小細工してきそうだな。けどそんな簡単に吹っ切れるわけねえだろ、やっぱ引きずってるんじゃねえか」
「だから問題なんだよ。いかにして本音を言わせるかが攻略のポイントになると思うんだよね」
まるでゲーム感覚みたいな口ぶりだったが、言っていることは理解できた。そのまま二人でああでもない、こうでもないとなんとか本心を言わせることを考えたりした。
しかし結局どうあってもあいつに勝てそうにない、という結論になってしまった。だが俺がキレることさえなければ、抱き締めてみれば一発だ、などとわけのわからないアドバイスを貰った。
当たり前のことだがそんな意見は却下したのだが。
本心など聞き出してどうするかは無計画だったが、今日はあまりにも驚きすぎてほんとうに思ったことを言えなかったので、それを伝えようかと。
臨也のことは大嫌いだが、誰かに好かれるのは悪い気分はしなかったから、少しだけ返事を待ってくれないかと。
そう伝えるつもりだったのに、次の日に会ったあいつは、何事も無かったかのように。
告白のこと自体を、忘れてしまっていたのだ。
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「ん、あー…ッ、や、らぁっ…シ、ズちゃん…っ」
「おいだからもう無理だって言ってるだろ、いい加減にしろって」
落ち着いた声で諭すように告げながら、体を離そうとするのだが向こうはどうあっても退きたくないらしい。うっとうしくて迷惑極まりない話なのだが、力任せに引き剥がすのも躊躇われて困っていた。
なんでこんなことになっているのかは、俺には全くわからない。今日一日そんなことばかりだった。
全部原因は臨也にあるのだが、本人はさっきからまともに話ができるような状態ではなかった。
まるでヤバイ薬でも使っているかのように、まともな会話が成立しない。いつものうざいしゃべりがあるほうがまだマシだったのだと、思い知らされた気がした。
「まぁ俺が悪いのはわかってんだけどな…」
なにも始めからこんな有様だったわけではない。最初はっきりと誘ってきたのは臨也の方からだったし、途中まではセックスしながらでも話はしていたはずだった。
でも責めれば責めるほどどんどん淫らなあえぎ声が激しくなってきて、気がついた時にはもう俺の名前と卑猥な言葉しか吐かないようになっていた。
やっとそこで、自分のしてしまったことの重大さに後悔したのだ。
これが実は全部あいつの演技で、という都合のいいことを考えかけたのだがやめた。「やめろ」とはっきりと拒否をしていたのに、無理矢理酷い行為を繰り返したのは俺なのだから。
わかっていて、どうしてもおさえられなかった。いつものように。
わきあがった怒りを暴力ではなく、セックスに置き換えてぶつけただけなのだ。相手が壊れてしまうまで。
「でも手前はこんな簡単に壊れるような奴じゃねえだろ」
「ふ、ぁ…っ、はぁ…」
当然のことながら呟きに返事などはなくて、ただ肩で息をしながらうっとりした瞳でこちらを見てくるだけだった。
高校からの最悪な関係が続いていたが、あいつは俺のどんな暴力も紙一重のところで避けて何度も苦い思いをさせられていた。怯むことなく何度も目の前にしつこく現れてはイラつかせた。
だから臨也にだけは全力でぶつかっても壊れない、だから壊したいと願っていた。
しかしこんな方法で実現できるとは思わなかったし、信じたくなかった。
目の前の現実をこれっぽっちも信じたくなかった。
あいつがこんなにも性行為に慣れているのも、見知らぬ男の愛人になっているというのも、見境無く男を受け入れたことがあるというのも、どれも信じられない。
あんなにも性欲をぶつけて食い散らかしたというのに、間違いであって欲しいとまだ思っていた。
随分と長い間喧嘩ばかりをしていがみ合ってきたが、そんな気配は微塵も感じられなかったのだ。あらだけ顔を突き合わせていれば、些細な変化なんて嫌でもわかる。
明らかにおかしいと感じるようになったのは、あの俺に対して好きだとか言ってきやがった日からなのは間違いないのだ。
そして俺に振られたあてつけだとしても、おかしいことばかりが起こっている。
だがなんとなくそれをわかっていながら、自分の気持ちが精一杯でなにもできなかったし、本人に聞かなかったからこんなことになっているのだが。
告白された時から今まで、俺には全く余裕なんてなかったのだ。
「え、えぇっ!?臨也に告白されたって!!」
「あぁ…」
一人で考えていても埒があかないと思ったので、新羅の家をわざわざ訪ねて洗いざらい今日のこと全部をぶちまけてみた。第三者の意見を聞く必要があると、思ったからだ。
「でもなんでで本気で好かれてるなんて思ったの?嘘だって本人は言ったんでしょ?」
「そりゃ、見てりゃわかるんだよ。あいつの嘘を見抜く自信はこれっぽっちもねえが、冗談か本気かぐらいかは目を見りゃわかるだろ。あれは絶対本気だ」
「へー…」
テーブルの反対側に座っている新羅が、考え事をするような仕草をしながらため息を吐き、やがて額に手を当てて立ちあがって言った。
「はあ、もう勘弁して欲しいんだけどさ。相談しにくる意味なんてほとんど無いと思うんだよね。そこまでわかってて嫌いか好きかなんて言わなくてもはっきりしてるだろ」
「いやだから、わかんねえから来てんのになんで断言できんだよ」
まるで臨也みたいな突き放した言い方に、ムッとしたのでおもいっきり睨みつけてやる。一瞬だけ緊迫した空気が流れたが、当然俺は新羅を殴るつもりもないのですぐにかき消えた。
まだ腹は立っていたので真横を向いて不機嫌なのを全身で表した。こんなことをしてもこいつに効果は無いのは知っていたのだが。
「じゃあ一つ助言してあげるよ。どうせ明日も臨也に会いに行くか、見つけるか、なんでしょ?とりあえず静雄がどう思っているかは置いといて」
「なんだよ、俺はノミ蟲のことなんて大嫌いだ!それ以外あるわけねえだろ!!」
今度はこっちが椅子を引いて立ちあがる番だった。乱暴すぎてそのまま真後ろに倒れたが、構わなかった。
臨也のことなんて嫌いだ、大嫌いだ。
だが告白なんてされたのははじめてで、勢いで断ったみたいな言い方だったから、表情が真剣で冗談ではなさそうだったから胸に引っ掛かっていたのだ。
茶化したような言い方で、悪かったのかもしれないと。
そんなことをあいつに対して感じてしまったこと事態が有り得なかったのだが、最低な奴でも謝るぐらいはしてもいいだろうと考えていた。
「はいはい、それは本人に言えばいいから。とにかく向こうは振られたと思ってるんだから、そうだね…告白のことはまるっきり覚えてないんですっていう風に振舞ってくるんじゃないかな?」
「確かにそんな小細工してきそうだな。けどそんな簡単に吹っ切れるわけねえだろ、やっぱ引きずってるんじゃねえか」
「だから問題なんだよ。いかにして本音を言わせるかが攻略のポイントになると思うんだよね」
まるでゲーム感覚みたいな口ぶりだったが、言っていることは理解できた。そのまま二人でああでもない、こうでもないとなんとか本心を言わせることを考えたりした。
しかし結局どうあってもあいつに勝てそうにない、という結論になってしまった。だが俺がキレることさえなければ、抱き締めてみれば一発だ、などとわけのわからないアドバイスを貰った。
当たり前のことだがそんな意見は却下したのだが。
本心など聞き出してどうするかは無計画だったが、今日はあまりにも驚きすぎてほんとうに思ったことを言えなかったので、それを伝えようかと。
臨也のことは大嫌いだが、誰かに好かれるのは悪い気分はしなかったから、少しだけ返事を待ってくれないかと。
そう伝えるつもりだったのに、次の日に会ったあいつは、何事も無かったかのように。
告白のこと自体を、忘れてしまっていたのだ。
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