「なに……これ?」
あのまま抱えられて俺の自宅のマンションまで辿り着いて、部屋に入れたまではまだよかったのだが、ソファに座って足の上で幼いシズちゃんの顔を引っ張ったりつねったりして遊びながら成り行きを眺めていた。
「だから俺ら全員がここに居ても臨也に面倒かけるだけだろ?だから日替わりにしようって言ってんだよ」
「なんでそんな気を使わなきゃいけねえんだよ!勝負して勝った奴とかでいいじゃねえか!」
「あーもう手前らは俺の分身みたいなもんじゃねえか!遠慮ぐらいしやがれ!」
三人のシズちゃんがテーブルを囲んでいがみ合っていて、なぜかはわからないがここで俺と一緒に過ごす権利というものを巡って言い争いをしているようだった。頭が痛くなるような状況というか、まずもってなんで俺が彼らと一緒に暮らさなければいけないのだろうか。
それについて口に出して聞けば怒られそうだったのでとりあえずは黙っているが、大いに突っこみたいところだった。
「いざや、いひゃいいひゃい」
「俺普段は子供なんて大嫌いなんだけど、君なら好きになれそうだな。ほんと昔から生意気そうな顔してるね。まぁ懐いてくれてるのは悪くないけどさ」
とりあえず八つ当たりとばかりに小さいシズちゃんに悪戯をして楽しんでいた。子供の頃のシズちゃんなんて会ったことはないが俺の事を知っているということは、やはりさっき元凶の本人が言っていた、分裂したというのが正しいのだろう。
元々の性格のままで今現在の記憶を持っているというのなら納得ができるのだが、一つだけおかしいことがあった。その考えでいくとこの幼いシズちゃんが、こんなに俺のことを慕っているのはおかしかった。
両頬を掴んでいた手を離してやって、この子供に聞いてみることにした。
「ねえ、なんでこんなに俺にくっついてるの?怖くないの?」
「ん……?おれはいざやのことがだいすきだから、こわくなんかないぞ!」
「はぁ?好き……?」
たどたどしい手つきで頬をさすりながら、はっきりと言った。しかし全く理由がわからない。だが意外なところから、答えが返ってきた。
「おいチビ!なんで勝手に告ってんだあ?」
「あっ……いざやっ、いざや!」
バーテン姿のシズちゃんが慌てて膝の上に座っていた子供を掴みあげて、俺から無理矢理引き剥がした。戸惑いながらも必死にこっちに向かって手を伸ばしてくる姿が、若干かわいそうに見えた。しかしそんなことを気にしている場合ではなかった。
「告るって……なに?」
これまでの事を振り返ってなんとなく理由が想像できる自分が嫌だったのだが、とりあえず本人に聞く。すると向こうは鋭く睨みつけながら、意を決したように宣言した。
「お、俺が昔から臨也のことが好きなのを、こいつが勝手に告白しやがってことだ!あぁっ、クソッ言うつもりなんかなかったのに!」
「え……?」
今日一番の衝撃を受けて、固まった。じっとりと手に汗までかいてしまっている。
とても信じられずにあっけにとられていると、畳みかけるように周りから声が掛けられた。
「そりゃ今までは悪い虫がつかねえように、臨也の周りに現れた男はことごとく潰してきたからなあ。健気に影から見守ってきたんだぜ。まぁまさかこんな形でライバルが増えるとは思ってなかったんだけどな」
「相手が誰だろうが、臨也を手に入れるのは俺だからな!」
* * *
「ねえ俺が上になりたいんだけどいいかな?」
「はあ?まぁ別にいいけどよ……好きにしろ」
これまでとは違った体位に挑戦したくなって、そう告げた。どうせなら同じ体位ばかりより違うほうがおもしろいに決まっている。
口の端を吊りあげて軽く睨みつけるように眺めながら、ローションを奪い取ると座っているシズちゃんの足の間に入り込み、中身を直接大きくなっているモノに垂らした。一瞬だけ冷たさにビクリと震えていたようだったが、すぐに手を伸ばして上下に動かしながら全体に塗っていくとどんどん形を変えていく。
「相変わらずの大きさだよねえ。さすがに高校生の彼ほど元気じゃないかもしれないけど、衰えてないって感じだね」
「そんな感想いらねえって」
素直な言葉を告げたのだが嫌がられてしまった。まあ確かに自分自身とはいえ比べられるのはおもしろくないだろう。嫉妬して乱暴に襲ってこないだけマシだった。
しゃべりながらも手は懸命にしごき続けていた。ローションの透明な粘液と指が絡み合って、卑猥な水音を奏でていた。さすがにそこまで大きな音ではなかったが、今向かい側のソファで眠っている子供が起きてきたら、言い逃れができないほどの行為をしていた。
逆にそれが興奮するのだが、そんなことはわざわざ言わない。口にしなくても、下がほんの少し勃起していたのでそれは目の前のシズちゃんにもわかっただろう。
「そろそろ、入れてもいいかなあ?」
「ほんっとすげえ顔してんぞ。あいつらどんだけ手前を苛めやがったんだ」
「それを想像して勃起してる癖に。いいよ別にエロいシズちゃんは好きだから遠慮しなくても、ね」
手を胸に伸ばして後ろに寝そべるように指示すると、仰向けに転がったのでその上に跨りながら握っていた指は離さなかった。軽く添えたまま塊の上に入り口を押し付けて、そこで一度シズちゃんを見下ろすように眺めた。
やっぱりこの体勢はなかなか気分が良かった。頭一つ分でも優位でいたい俺としては、こうやって存分に見下ろせるのは最高だった。うっとりと見つめながら、手でわざとらしく後孔付近で撫でるように蠢かすと向こうは少しだけ表情を崩した。
きっとこうやって焦らされているのがあまり好きではないのだろうと思ったが、わかっていてわざとやっていた。そう思い通りにはいかないと言ってやるつもりだったのだが、先に痺れを切らしたシズちゃんが腰を浮かして強引にねじ込んでこようとした。
「ちょ、っと待ってよ。このままもう少し遊べばいいじゃない」
「遠慮しなくてもいいっつったの手前だろうが。それにちょっと動揺してる顔が見たくて、なあ?」
「あ、っ……もう!……っ、んあ、あ、はあぁ……ッ!!」
慌てて逃げようとしたがもう遅く、結局下から突きあげられるように侵入してきて全身がガクガクと麻痺するように震えた。一度中に入ってくると重力に従ってそのまま最奥まで飲み込まれてしまい、あっという間に熱く脈打つモノが体の内側を占めた。
シズちゃんのお腹の上に手を置いて体勢をとりあえず整えると、短く息をついた。それからキッと睨みつけると、ニヤついた表情が目に飛び込んできた。それを見てもしかして俺が焦らそうとしていたのをわかってて、不意打ちのように入れてきたのだろうかと思った。そうだとかなり意地が悪い。
「っ、もう……やって、くれるねえ……は、っ、あ……」
「なぁそれより聞きたいんだがよお、これどうした?」
とりあえず足をもぞもぞと動かして体勢を整えていると、急にシズちゃんの腕が伸びてきてシャツの裾から中に手を入れてきた。冷たい手が這う感触がくすぐったかったので慌てて遮るが、左手が胸のあたりまで及んできてマズイと思った。
「なあ、乳首勃ってるぞ」
「ま、って!?ひ、あ、やあぁ……っつ、う……」
指先で軽く押されただけなのに、甘く蕩けるような声が唇から漏れてはっとして唇を噛んだ。恥ずかしさのあまり目線を逸らしたが、きっと今のでバレてしまっただろう。
向こうが上半身を起こして確かめるようにシャツをたくしあげてきて、さっきまでの責めの名残かほんのり赤く染まった両乳首をはっきりと見られてしまった。
「ったく、あのガキ最悪だな……まぁ俺はこんなことしなくても、テクニックだけでメロメロにしてやるよ」
「は、あぁっ!?」
きっと意地悪な言葉を掛けられると思っていたのに、返ってきたのは違うものだった。自信満々に言い放つのに一瞬口を開けてぽかんとした表情をしてしまった。
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