2011-05-03 (Tue)
「鬼畜静雄全集」
スパコミ発行新刊 静雄×臨也/小説/18禁/A5/324P/1900円
無料配布再録集+追加書き下ろし
【獣の花嫁】 サンプル
獣の神様な静雄の生贄になるはずが花嫁にされて一緒に住むことになるが他の獣や村人達に性的虐待を受けてそれを隠しつつ密かに想い続ける臨也の話■書きおろし
※パラレルで静雄も獣で獣姦表現があります
※サンプルにも多大に静雄以外の獣との獣姦表現があります
※サンプルにはないですが本編にはモブ臨表現があります
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『生贄にしては煩すぎるな。泣かれるのも嫌いだが、騒がれるのはもっと嫌いだ!』
「……っ、そう怒らせたかな?じゃあ大人しくしてるよ。だから早く俺の事を食べてよ」
『言われなくてもそうしてやる、下等な人間風情が!!』
声を荒げて怒りを露わにしてきたので、内心しまったなと後悔した。でも今更どうしようもなかったので、素直に諦めることにした。本来の生贄としての役割を果たす為に、作り物の笑いを浮かべて誘うようにその場に自分から体を横たえた。
すると叫びながら前足を伸ばしてきて、そのまま地面に強く押さえつけられた。あまりの力に顔を顰めたが、かろうじて声は出さなかった。
『乱暴にされるのが好みなのか、お前は?』
「ははっ、どっちでもいいけど。生贄なんでしょ、好きにしたら?」
少しだけ投げやりに言ったら、直後に不思議なことが起こった。ボンッという軽い爆発音が聞こえたと思ったら突風が起こり、目を閉じている間に獣の姿が変化したのだ。巨大な体は犬より少し大きな狼の姿に変化していたのだ。けれども変わらない力で俺の体の上に乗りあげていて、爪で縄を切ると胴体を覆っていた縄が解かれた。
ついでに着物の帯も乱暴に破ると、素肌が一気に晒されて全てが露わになった。そしてそこで、硬直したように止まった。目線は俺の下半身を見つめていた。
『おい、なんだこれは?』
「一応俺男だからさ、こういう行為に慣れてないからって事前に準備されたんだよね。しかも根元縛ってた方が後ろも締まるからって、言われてさ」
当然だが下着は一切身に着けていなくて、代わりとばかりに後孔には無機質な玩具が突っ込まれてぐちゃぐちゃに濡れていた。そうして股間のモノには細い縄が巻きついていて、半勃起状態で射精できないように戒められていた。
これをしたのは、村の奴らだ。女ではないからこれぐらい下準備をしておかないと、神が怒るなどと言って一方的に襲われたのだ。ローションで濡らされた玩具を突っこまれて、それにも媚薬効果が含まれているとかなんとかで、性感は既に高められていた。
こういうことを平気でやるなんて、という言葉は吐かなかった。仕込まれてると知って驚く異形の姿が見たかった、という本音もある。そうして俺の思う通りになったことに、内心ほくそ笑んでいた。
『嫌がらなかったのか?』
「だって生贄でしょ?抵抗したって今更どうこうなるわけじゃないし、どうせ食われて死ぬんだからそんなこと気にならないよ」
さらりと言ってのけたのだが、さっきまで怒りに震えていた瞳が困惑していた。まさか俺のことを案じているのかと思ったが、そんなわけはないだろうとすぐに忘れた。
クスクスと喉の奥で笑いながら、誘うように腰をくねらせて熱っぽい瞳で見つめた。するとチッと舌打ちするような声が聞こえてきて、右の足を埋まっている玩具に近づけて勢いよく引き抜いた。
「ふ、あっ……んぅ……っ」
『相変わらず人間のすることはひでえな。俺には理解できねえ』
「人間の生贄食おうとしてるのに、そんなこと言うんだ?いいじゃないか俺は嫌がったわけじゃないし、あんたに犯される為に来たんだから遠慮なくしなよ」
玩具を引き抜かれて穴からはどろりとした透明なローションがこぼれ、少しだけ甘い喘ぎ声も漏れた。でもそれには全く目もくれずに、手にしていた機械をぐしゃっと潰して壊した。しかも酷いとか理解できないなんて言われて、驚いた。
自分のやろうとしていることを棚にあげて言うなんて、どんだけ人間が嫌いなのかと。でも食わないと生きていけない体に嫌悪でもしているのかと思えるぐらい苦々しい表情をしていた。
『泣きもせず、怯えもせず……まるでお前、死にたがってるように見えるぞ』
「え?俺が?」
急に何を言いだすのだろうかときょとんとしたのだが、向こうの視線は変わらなかった。真剣にこっちを見つめたまま、射抜くように顔を見続けている。
死にたがっているなんて言われて、自分自身ではどこがと疑問を持たずにはいられなかった。ましてや今まで一度もそんなことを指摘されたことはない。だからこれは、元々の性格なのだ。
「でも確かに死ぬことに後悔はしていないし、俺はずっと一人だったから未練だってない。残してきた相手も居ないし、どうせあの村に居てもいいことなんて無いんだから獣に食われた方がマシだとは思う。あんたに会うのだってちょっと楽しみにはしてたしね」
『俺は今までお前みたいな人間に会ったことねえ。化け物が嫌われるのはわかるが、そんな綺麗そうな顔をしていて好かれないわけがないだろ』
「あれ、また褒められた?顔だけで好かれるならそんな簡単なことはないよ。逆に嫉妬されたり、そういう方が多かったけど気にしてないよ。俺は人間が好きだったから、人間観察するのも好きだったし。例え俺が愛されなくても、一方的に何かに好意を向けるのは悪くなかったよ」
ここまで自分の事を話すのは、はじめての事だった。それが異形相手だなんてどんな運命なのだろうかと笑えたが、向こうは真剣に聞いてくれた。こういうのを人間で例えるのなら、お人好しとでもいうのだろうか。多少気性は荒いが話は通じるし、よっぽど人間らしいように思えた。
それを告げたら怒鳴られそうだったので黙っていたが、人間でありながら異端だった俺に比べて、随分と優しい神様なんだなと目を細めた。
「ほんと神様なのかただの獣なのか知らないけど、あんた面白いね。俺が生贄なんかじゃなかったら、もっと話もできたのに残念だ」
『……いいのかよ、このまま俺に食われて。手前はそれでいいのか?』
「あ、はははっ、なんでそんなこと言われないといけないのさ?食っていいって言ってるのに、未練だってないしどこに拒む理由があるのさ?あんたみたいに面白い奴に殺されるなら、本望だよ。大したことなんてなかったけど、俺の人生最後にいいことがあったって確実に誇れるから」
本心のままにしゃべっているのだが、向こうはどうやら気分が乗らないらしい。どうしたもんかなと考え込んでいると、あることが閃いた。これはいい考えだと口の端を歪めて、それからはっきりと告げた。
「そうだ、せっかくだからさあんたのこと愛してあげるよ」
* * *
※静雄以外の獣姦シーン
『シズオの過去の話を知りたいと思わないか、お前』
「……っ、誰だい?人間じゃあないよね?そんな遠くからじゃなくてこっちに来れば話がもっとできると思うんだけど」
『残念ながら中に入れないみたいでな、扉を開けてくれないか?』
相手の言葉にやっぱりという気持ちだった。一応この場所は神社ということで神に害のある獣やそういう類の者は入れないんだ、と始めの時に教えて貰ったからだ。つまりこいつは、正体不明の侵入者と言う事だ。そんな相手の話を聞くことも、扉を開くこともできない。
でも、シズオの過去の話と言われて少しだけ興味が沸いたのだ。知りたいというい欲求に逆らえなかった。
「あんたの言うそれって本当に過去の話なのか?作り話ぐらいいくらでもできるだろ」
『じゃあ一つだけ証拠として教えてやる、あいつは神になる前は人間だった。だから人の姿を持っているし、普通の獣では理解できない人間の習慣なんかもよく知っているだろ』
「なるほどねえ…」
その話は俺にとって酷く納得できるものだった。元から人間だったのなら、そういう日用品を持っていてもおかしくはなかったし、おいしい魚の捕れる場所や食べれる果物がなっている場所を知っていてもおかしくない。やけにしっくりとしたのだ。
だからもっと聞きたいと思った。
「そこからでも話はできるだろ?もっと教えてくれないか」
『ただじゃ無理だな。知ってるだろ、獣は人間の生気を吸って生きているって。あんたのをわけてくれるっていうなら教えてやってもいいが』
「なるほどねえ、でもやっぱり少し怖いな。ほんの少しだけ扉を開けるから、それで許して欲しいんだけど。隙間から生気も吸えるだろ?」
『あぁそれで充分だ』
姿を見せるのはまだ怖かったので、そう提案した。するとあっさりと応えてくれたので、俺はたまたまポケットの中に入っていた紐を扉に引っ掛けてそれ以上は開かないようにした。念の為の気休め程度にしかならないが、これなら無いよりマシだと思ったのだ。
そうして恐る恐る扉に手を掛けて、数センチずつ開いたその瞬間。
「うわっ!?」
何かの強い力で扉が全開にされたかと思うと、次に衝撃が襲ってきた。しかもそれは複数で、俺の手足を掴みながら床に転がされた。一体何が起こったのかわけがわからなかったが、とんでもないことをしたのだけは理解できた。
開けるなと言われていたのに、自分から開いて災厄を招き入れてしまったのだ。
『約束だったな、シズオが人間だった時は平和島静雄という名だったらしい。それで自分の弟の命を救う為に神になったらしいが、その弟を殺されてここらじゃ有名な喧嘩人形って言われてたんだぜ。力も強くて俺らが束になっても適わねえが、最近伴侶を得たって聞いて見に来てやったんだ』
「くそっ、離せ……っ、うぐぅうッ!?」
辺りが真っ暗ですぐには何が行われているかわからなかったが、扉から月明かりがもれてきた。そうして独特なシルエットが現れてこの場所には似つかわしくない大きなライオンが俺の体の上に前足を乗せて、反対側の足で俺の手足を掴んでいるのだと知った。
言葉をしゃべれるということは、こいつもただの獣ではなくシズちゃんのように不思議な力があるのだろう。ただ結界内に入れなかったので、神的ではない悪い方の獣なのだろうが。どちらにしろ人間の俺が敵うわけがないのだけは確かだった。
金髪を靡かせたその姿にうろたえて驚いていると、目の前の獣の王が大きな口を開けて、凄い風と共に俺の口内に何かの気配を送り込んだのがわかった。
いつもシズちゃんから生気を吸われるのとは真逆で、体に良くないどす黒いものがどんどん奥まで浸透していく気がして身震いした。
「これ、なに……っ!?」
『猛獣の気を送りこんでやったんだよ。常に欲望に滾り発情してる気を入れてやったから、すぐにあんたも大人しくなって性欲しか考えられなくなる』
「うぅ、っあ……嘘だろ?性欲って、まさかお前ら……!」
『ただの人間じゃねえからな、いくら犯しても壊れねえし跡なんて残らないだろ?あいつが居ない時しか来れないが、いい獲物を見つけたよな』
そのライオンの言葉にショックを受けている暇もなく、全身の力が徐々に抜けて息が荒くなっていった。まるで媚薬を盛られているみたいだと思ったが、それより性質が悪かった。衝動が全く抑えられなくて、苦しくて苦しくて仕方が無かったからだ。
思考がうまく働かず獣が言っていることを理解しないまま、とにかくこの熱をなんとかして欲しいという欲求だけが強くなり爆発寸前だった。
『そろそろ欲しいだろ?』
「あつい……っ、ほしい……」
まるで誘導されるようにその言葉を吐いた直後に、衣服をビリビリと破かれる音が聞こえてきてハッとしたが何もかも遅かった。俺の周りを取り囲んでいる数匹の獣の爪が乱暴に衣服を切り裂いて、肌を傷つけながら露わになっていく。血が滲んで一瞬痛みを覚えたが、それが治ることをこいつらも知っているのだろう。遠慮のない動きですべてを剥ぎ取り、床の上にほぼ全裸の状態で押しつけられた。
なんで欲しいと求めてしまったのだろうかと悔しがる一方で、全身を渦巻く黒い気から発せられる欲望が勝手にむくむくと膨れていく。
『人間にぶちこんで直接生気を搾り取れるなんて、久しぶりだな。なああんたもシズオにいつも犯されてんだろ?あいつは乱暴者だからな、一時は喧嘩人形なんて言われて恐れられてたんだぜ。人間も獣も寄せ付けず、強い力を持った神だったのに、よっぽどあんた気に入られたんだな』
「そんなこと、ないさ……あの日俺があそこに連れてかれたから、だ……っ、一人の俺が都合がよかった、だけで……だって犯されたのは、っ最初だけ、だから」
獣に対してシズちゃんとのことを口にすればするほど、いろんな感情が胸をよぎって、ぐちゃぐちゃになっていた。でも大半が切ないような息苦しいような気分で、どうしてこんな想いをしているのか、自分でもわけがわからない。
これではまるで、恋をしているみたいだと。
「えっ……?」
それに気がついた瞬間、頭の中が真っ白になった。
ただ、なんで、どうしてという戸惑いと、自分が危険に晒されることをわかっていながら扉を開いた理由が一致したのだ。
生贄で殺されるはずだったのに助けてくれて、俺にとっては今まで生きてきた中で一番大事な相手だから。過去の話を危険を侵してでも聞きたいと興味を持つのは、普通の事だ。好きなのだ。
でも今更気がついたところで、何もかもが遅すぎる。遅すぎた。
『なんだ、じゃああんたはシズオにとってのただの生きるための道具だったということか。それであいつを脅してやれるかと思ったんだが、少し残念だな』
そいつの言葉が何度も響き渡った。
気に入られているわけでもなく、ただ勢いで道具にして、そのきっかけはきっと。同情だと。
死にたがっている俺の事を見かねて、人間からも獣からも恐れられて一人になっていた自身と俺を重ねて、同情したからなのだと。好きとか嫌いとかそういう感情ですらなく、ただの自己満足。
その時、唐突に後孔にぬるつくライオンのモノが押し当てられて、傷ついた心と同時に体も引き裂かれた。
「うあっ……あ、あ、ああああああッ!やだ、いやだ、やっ……やめろ、やだ、やだ、うあっ、あ、ああああ!!」
『派手に泣き叫んでくれるな。暴れられるほどもっと酷くしてやりたくなるのをわかってるのか?』
一度して以来そこは何も受け入れていなかったので、苦痛を伴うはずだった。でも信じられないことにさっき体に注がれた気のせいなのか、勝手に内側から快楽を感じ予想以上に中が濡れていたのだ。それと同時に獣のぬるつく先走りも相まって、一気に奥まで捻じ込まれてもそこが傷つくことも血が出ることもなかった。
逆に恐怖を感じた。自分の知らない愉悦を目の前に突きつけられたみたいで、全身が小刻みに震えた。
「ひっあ、やぁ……うぁ、あ、えっ……な、にっ、あ、んああああっ!!」
『まず一発目だな』
中に入れられてまだ数十秒しか経っていないのに、突然熱い迸りが勢いよく注がれて俺は慌ててしまった。あまりにも早すぎる射精に戸惑いながらも、激しく出されることにそこが愉悦を感じていた。
そんなバカなと叫びたいのに、喘ぎと呻きの混じった声しかこぼれなくて惨めだった。
『ライオンは短時間の交尾を日に五十回以上繰り返す生き物だって知ってたか?』
「はっ、はぁ……え、っ、あ……それ、ってまさかっ」
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【獣の花嫁】 サンプル
獣の神様な静雄の生贄になるはずが花嫁にされて一緒に住むことになるが他の獣や村人達に性的虐待を受けてそれを隠しつつ密かに想い続ける臨也の話■書きおろし
※パラレルで静雄も獣で獣姦表現があります
※サンプルにも多大に静雄以外の獣との獣姦表現があります
※サンプルにはないですが本編にはモブ臨表現があります
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『生贄にしては煩すぎるな。泣かれるのも嫌いだが、騒がれるのはもっと嫌いだ!』
「……っ、そう怒らせたかな?じゃあ大人しくしてるよ。だから早く俺の事を食べてよ」
『言われなくてもそうしてやる、下等な人間風情が!!』
声を荒げて怒りを露わにしてきたので、内心しまったなと後悔した。でも今更どうしようもなかったので、素直に諦めることにした。本来の生贄としての役割を果たす為に、作り物の笑いを浮かべて誘うようにその場に自分から体を横たえた。
すると叫びながら前足を伸ばしてきて、そのまま地面に強く押さえつけられた。あまりの力に顔を顰めたが、かろうじて声は出さなかった。
『乱暴にされるのが好みなのか、お前は?』
「ははっ、どっちでもいいけど。生贄なんでしょ、好きにしたら?」
少しだけ投げやりに言ったら、直後に不思議なことが起こった。ボンッという軽い爆発音が聞こえたと思ったら突風が起こり、目を閉じている間に獣の姿が変化したのだ。巨大な体は犬より少し大きな狼の姿に変化していたのだ。けれども変わらない力で俺の体の上に乗りあげていて、爪で縄を切ると胴体を覆っていた縄が解かれた。
ついでに着物の帯も乱暴に破ると、素肌が一気に晒されて全てが露わになった。そしてそこで、硬直したように止まった。目線は俺の下半身を見つめていた。
『おい、なんだこれは?』
「一応俺男だからさ、こういう行為に慣れてないからって事前に準備されたんだよね。しかも根元縛ってた方が後ろも締まるからって、言われてさ」
当然だが下着は一切身に着けていなくて、代わりとばかりに後孔には無機質な玩具が突っ込まれてぐちゃぐちゃに濡れていた。そうして股間のモノには細い縄が巻きついていて、半勃起状態で射精できないように戒められていた。
これをしたのは、村の奴らだ。女ではないからこれぐらい下準備をしておかないと、神が怒るなどと言って一方的に襲われたのだ。ローションで濡らされた玩具を突っこまれて、それにも媚薬効果が含まれているとかなんとかで、性感は既に高められていた。
こういうことを平気でやるなんて、という言葉は吐かなかった。仕込まれてると知って驚く異形の姿が見たかった、という本音もある。そうして俺の思う通りになったことに、内心ほくそ笑んでいた。
『嫌がらなかったのか?』
「だって生贄でしょ?抵抗したって今更どうこうなるわけじゃないし、どうせ食われて死ぬんだからそんなこと気にならないよ」
さらりと言ってのけたのだが、さっきまで怒りに震えていた瞳が困惑していた。まさか俺のことを案じているのかと思ったが、そんなわけはないだろうとすぐに忘れた。
クスクスと喉の奥で笑いながら、誘うように腰をくねらせて熱っぽい瞳で見つめた。するとチッと舌打ちするような声が聞こえてきて、右の足を埋まっている玩具に近づけて勢いよく引き抜いた。
「ふ、あっ……んぅ……っ」
『相変わらず人間のすることはひでえな。俺には理解できねえ』
「人間の生贄食おうとしてるのに、そんなこと言うんだ?いいじゃないか俺は嫌がったわけじゃないし、あんたに犯される為に来たんだから遠慮なくしなよ」
玩具を引き抜かれて穴からはどろりとした透明なローションがこぼれ、少しだけ甘い喘ぎ声も漏れた。でもそれには全く目もくれずに、手にしていた機械をぐしゃっと潰して壊した。しかも酷いとか理解できないなんて言われて、驚いた。
自分のやろうとしていることを棚にあげて言うなんて、どんだけ人間が嫌いなのかと。でも食わないと生きていけない体に嫌悪でもしているのかと思えるぐらい苦々しい表情をしていた。
『泣きもせず、怯えもせず……まるでお前、死にたがってるように見えるぞ』
「え?俺が?」
急に何を言いだすのだろうかときょとんとしたのだが、向こうの視線は変わらなかった。真剣にこっちを見つめたまま、射抜くように顔を見続けている。
死にたがっているなんて言われて、自分自身ではどこがと疑問を持たずにはいられなかった。ましてや今まで一度もそんなことを指摘されたことはない。だからこれは、元々の性格なのだ。
「でも確かに死ぬことに後悔はしていないし、俺はずっと一人だったから未練だってない。残してきた相手も居ないし、どうせあの村に居てもいいことなんて無いんだから獣に食われた方がマシだとは思う。あんたに会うのだってちょっと楽しみにはしてたしね」
『俺は今までお前みたいな人間に会ったことねえ。化け物が嫌われるのはわかるが、そんな綺麗そうな顔をしていて好かれないわけがないだろ』
「あれ、また褒められた?顔だけで好かれるならそんな簡単なことはないよ。逆に嫉妬されたり、そういう方が多かったけど気にしてないよ。俺は人間が好きだったから、人間観察するのも好きだったし。例え俺が愛されなくても、一方的に何かに好意を向けるのは悪くなかったよ」
ここまで自分の事を話すのは、はじめての事だった。それが異形相手だなんてどんな運命なのだろうかと笑えたが、向こうは真剣に聞いてくれた。こういうのを人間で例えるのなら、お人好しとでもいうのだろうか。多少気性は荒いが話は通じるし、よっぽど人間らしいように思えた。
それを告げたら怒鳴られそうだったので黙っていたが、人間でありながら異端だった俺に比べて、随分と優しい神様なんだなと目を細めた。
「ほんと神様なのかただの獣なのか知らないけど、あんた面白いね。俺が生贄なんかじゃなかったら、もっと話もできたのに残念だ」
『……いいのかよ、このまま俺に食われて。手前はそれでいいのか?』
「あ、はははっ、なんでそんなこと言われないといけないのさ?食っていいって言ってるのに、未練だってないしどこに拒む理由があるのさ?あんたみたいに面白い奴に殺されるなら、本望だよ。大したことなんてなかったけど、俺の人生最後にいいことがあったって確実に誇れるから」
本心のままにしゃべっているのだが、向こうはどうやら気分が乗らないらしい。どうしたもんかなと考え込んでいると、あることが閃いた。これはいい考えだと口の端を歪めて、それからはっきりと告げた。
「そうだ、せっかくだからさあんたのこと愛してあげるよ」
* * *
※静雄以外の獣姦シーン
『シズオの過去の話を知りたいと思わないか、お前』
「……っ、誰だい?人間じゃあないよね?そんな遠くからじゃなくてこっちに来れば話がもっとできると思うんだけど」
『残念ながら中に入れないみたいでな、扉を開けてくれないか?』
相手の言葉にやっぱりという気持ちだった。一応この場所は神社ということで神に害のある獣やそういう類の者は入れないんだ、と始めの時に教えて貰ったからだ。つまりこいつは、正体不明の侵入者と言う事だ。そんな相手の話を聞くことも、扉を開くこともできない。
でも、シズオの過去の話と言われて少しだけ興味が沸いたのだ。知りたいというい欲求に逆らえなかった。
「あんたの言うそれって本当に過去の話なのか?作り話ぐらいいくらでもできるだろ」
『じゃあ一つだけ証拠として教えてやる、あいつは神になる前は人間だった。だから人の姿を持っているし、普通の獣では理解できない人間の習慣なんかもよく知っているだろ』
「なるほどねえ…」
その話は俺にとって酷く納得できるものだった。元から人間だったのなら、そういう日用品を持っていてもおかしくはなかったし、おいしい魚の捕れる場所や食べれる果物がなっている場所を知っていてもおかしくない。やけにしっくりとしたのだ。
だからもっと聞きたいと思った。
「そこからでも話はできるだろ?もっと教えてくれないか」
『ただじゃ無理だな。知ってるだろ、獣は人間の生気を吸って生きているって。あんたのをわけてくれるっていうなら教えてやってもいいが』
「なるほどねえ、でもやっぱり少し怖いな。ほんの少しだけ扉を開けるから、それで許して欲しいんだけど。隙間から生気も吸えるだろ?」
『あぁそれで充分だ』
姿を見せるのはまだ怖かったので、そう提案した。するとあっさりと応えてくれたので、俺はたまたまポケットの中に入っていた紐を扉に引っ掛けてそれ以上は開かないようにした。念の為の気休め程度にしかならないが、これなら無いよりマシだと思ったのだ。
そうして恐る恐る扉に手を掛けて、数センチずつ開いたその瞬間。
「うわっ!?」
何かの強い力で扉が全開にされたかと思うと、次に衝撃が襲ってきた。しかもそれは複数で、俺の手足を掴みながら床に転がされた。一体何が起こったのかわけがわからなかったが、とんでもないことをしたのだけは理解できた。
開けるなと言われていたのに、自分から開いて災厄を招き入れてしまったのだ。
『約束だったな、シズオが人間だった時は平和島静雄という名だったらしい。それで自分の弟の命を救う為に神になったらしいが、その弟を殺されてここらじゃ有名な喧嘩人形って言われてたんだぜ。力も強くて俺らが束になっても適わねえが、最近伴侶を得たって聞いて見に来てやったんだ』
「くそっ、離せ……っ、うぐぅうッ!?」
辺りが真っ暗ですぐには何が行われているかわからなかったが、扉から月明かりがもれてきた。そうして独特なシルエットが現れてこの場所には似つかわしくない大きなライオンが俺の体の上に前足を乗せて、反対側の足で俺の手足を掴んでいるのだと知った。
言葉をしゃべれるということは、こいつもただの獣ではなくシズちゃんのように不思議な力があるのだろう。ただ結界内に入れなかったので、神的ではない悪い方の獣なのだろうが。どちらにしろ人間の俺が敵うわけがないのだけは確かだった。
金髪を靡かせたその姿にうろたえて驚いていると、目の前の獣の王が大きな口を開けて、凄い風と共に俺の口内に何かの気配を送り込んだのがわかった。
いつもシズちゃんから生気を吸われるのとは真逆で、体に良くないどす黒いものがどんどん奥まで浸透していく気がして身震いした。
「これ、なに……っ!?」
『猛獣の気を送りこんでやったんだよ。常に欲望に滾り発情してる気を入れてやったから、すぐにあんたも大人しくなって性欲しか考えられなくなる』
「うぅ、っあ……嘘だろ?性欲って、まさかお前ら……!」
『ただの人間じゃねえからな、いくら犯しても壊れねえし跡なんて残らないだろ?あいつが居ない時しか来れないが、いい獲物を見つけたよな』
そのライオンの言葉にショックを受けている暇もなく、全身の力が徐々に抜けて息が荒くなっていった。まるで媚薬を盛られているみたいだと思ったが、それより性質が悪かった。衝動が全く抑えられなくて、苦しくて苦しくて仕方が無かったからだ。
思考がうまく働かず獣が言っていることを理解しないまま、とにかくこの熱をなんとかして欲しいという欲求だけが強くなり爆発寸前だった。
『そろそろ欲しいだろ?』
「あつい……っ、ほしい……」
まるで誘導されるようにその言葉を吐いた直後に、衣服をビリビリと破かれる音が聞こえてきてハッとしたが何もかも遅かった。俺の周りを取り囲んでいる数匹の獣の爪が乱暴に衣服を切り裂いて、肌を傷つけながら露わになっていく。血が滲んで一瞬痛みを覚えたが、それが治ることをこいつらも知っているのだろう。遠慮のない動きですべてを剥ぎ取り、床の上にほぼ全裸の状態で押しつけられた。
なんで欲しいと求めてしまったのだろうかと悔しがる一方で、全身を渦巻く黒い気から発せられる欲望が勝手にむくむくと膨れていく。
『人間にぶちこんで直接生気を搾り取れるなんて、久しぶりだな。なああんたもシズオにいつも犯されてんだろ?あいつは乱暴者だからな、一時は喧嘩人形なんて言われて恐れられてたんだぜ。人間も獣も寄せ付けず、強い力を持った神だったのに、よっぽどあんた気に入られたんだな』
「そんなこと、ないさ……あの日俺があそこに連れてかれたから、だ……っ、一人の俺が都合がよかった、だけで……だって犯されたのは、っ最初だけ、だから」
獣に対してシズちゃんとのことを口にすればするほど、いろんな感情が胸をよぎって、ぐちゃぐちゃになっていた。でも大半が切ないような息苦しいような気分で、どうしてこんな想いをしているのか、自分でもわけがわからない。
これではまるで、恋をしているみたいだと。
「えっ……?」
それに気がついた瞬間、頭の中が真っ白になった。
ただ、なんで、どうしてという戸惑いと、自分が危険に晒されることをわかっていながら扉を開いた理由が一致したのだ。
生贄で殺されるはずだったのに助けてくれて、俺にとっては今まで生きてきた中で一番大事な相手だから。過去の話を危険を侵してでも聞きたいと興味を持つのは、普通の事だ。好きなのだ。
でも今更気がついたところで、何もかもが遅すぎる。遅すぎた。
『なんだ、じゃああんたはシズオにとってのただの生きるための道具だったということか。それであいつを脅してやれるかと思ったんだが、少し残念だな』
そいつの言葉が何度も響き渡った。
気に入られているわけでもなく、ただ勢いで道具にして、そのきっかけはきっと。同情だと。
死にたがっている俺の事を見かねて、人間からも獣からも恐れられて一人になっていた自身と俺を重ねて、同情したからなのだと。好きとか嫌いとかそういう感情ですらなく、ただの自己満足。
その時、唐突に後孔にぬるつくライオンのモノが押し当てられて、傷ついた心と同時に体も引き裂かれた。
「うあっ……あ、あ、ああああああッ!やだ、いやだ、やっ……やめろ、やだ、やだ、うあっ、あ、ああああ!!」
『派手に泣き叫んでくれるな。暴れられるほどもっと酷くしてやりたくなるのをわかってるのか?』
一度して以来そこは何も受け入れていなかったので、苦痛を伴うはずだった。でも信じられないことにさっき体に注がれた気のせいなのか、勝手に内側から快楽を感じ予想以上に中が濡れていたのだ。それと同時に獣のぬるつく先走りも相まって、一気に奥まで捻じ込まれてもそこが傷つくことも血が出ることもなかった。
逆に恐怖を感じた。自分の知らない愉悦を目の前に突きつけられたみたいで、全身が小刻みに震えた。
「ひっあ、やぁ……うぁ、あ、えっ……な、にっ、あ、んああああっ!!」
『まず一発目だな』
中に入れられてまだ数十秒しか経っていないのに、突然熱い迸りが勢いよく注がれて俺は慌ててしまった。あまりにも早すぎる射精に戸惑いながらも、激しく出されることにそこが愉悦を感じていた。
そんなバカなと叫びたいのに、喘ぎと呻きの混じった声しかこぼれなくて惨めだった。
『ライオンは短時間の交尾を日に五十回以上繰り返す生き物だって知ってたか?』
「はっ、はぁ……え、っ、あ……それ、ってまさかっ」
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