2012-04-27 (Fri)
鬼畜静雄全集3のサンプルです
【その胸に今刻印された】
デリックに捕らわれた臨也を静雄が助けに行く話
※デリック×臨也描写があるのでご注意下さい
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「えっ……?シズ、ちゃん?」
「残念だったな、俺は平和静雄じゃねえよ。まぁ間違えるのも無理はねえ、だってあいつを元に作られたアンドロイドだからな。性能はほとんど人間と一緒だけどな」
「アンドロイド……?」
瞳を開けて目の前に立っていた人物に、俺は心底驚き全身をビクンと震わせながら名前を呼んだがあっさりと違うと答えられてしまう。姿形や声までがまるっきり同じだったのにと尋ねる前に全部を教えられる。
アンドロイドという説明を聞いて、背筋がぞくりとざわついた。それはまさに調べていた仕事の内容と一致していたからだ。人間と瓜二つで素晴らしいアンドロイドが作られている、という場所に潜入する直前に何者かに襲われて意識を失ったことまでは覚えていた。でも目の前の相手がアンドロイドと口にするということは、つまりは捕まったらしい。
唇を噛みしめながら自分の姿を確認すると、両手足が拘束されていて革のような拘束具をつけられその先から紐が伸びている。紐は部屋のどこかへと括りつけられているらしいが、先は見えなかった。
見回した部屋は窓がなく簡素なベッドが置いてあるのみだ。薄暗い電球の灯りだけで光もが入ってこないので時間もわからない。地下だろうかと思わせるほど、ひんやりとした独特の空気が漂っていた。
この陰湿な部屋の中で、目の前の人物の姿だけがくっきりと目立つように浮かんでいる。こんな日の光が当たらない場所には似つかわしくない格好をしていた。
「なんで……あんたシズちゃんと同じ顔をしてるのさ?しかも白いスーツだなんて本人から一番かけ離れてるのは皮肉かな」
「あぁ、それは俺が臨也の為に作られたからさ」
「は……?なに、なんで、俺?」
嫌味を言ったはずなのに、そいつはやけに真剣な表情のまま真っ直ぐこっちを見つめていた。別人なのは充分に承知しているけど、胸がやけにドキドキして動揺してしまったことを苦々しく思う。
そうして告げられた内容に驚愕した。
「あんたを陥れる為に、俺は作られたんだよ」
「……ッ!?俺を陥れるってどういうことさ。しかもシズちゃんの姿だなんて、何の意味が……」
身動きの取れないまま相手を睨みつけるが、余裕の笑みは崩さなかった。そうしないと、不安な心が見透かされてしまいそうだったからだ。けれど目の前の相手は、一切の容赦もなくその言葉を吐いた。
「好きなんだろ、平和島静雄の事が」
「ははっ、それはどういうことだい?」
「だからあんたを堕とす為に俺は作られたんだよ。わかるだろ?臨也」
「……っ、さわるな……ッ!!」
確かにそれは事実だった。俺は昔からシズちゃんのことが好きで、新羅やドタチンにそのことを愚痴るぐらいには大っぴら話をしていて友人の間では有名な話だ。
今日はこんなことがあって最悪だったけどかっこいいとか、殴られて怪我をしたけど喧嘩できて嬉しいとか。そんなありふれた日常を長年ペラペラとしゃべっては発散させて、本人の前では一切好きな素振りを見せずにやってきた。
何度も告白すればいいのにと憐みの瞳をで言われたが、そんな勇気が元からあるわけがない。俺はいつまで経っても何も言うことができずもう八年以上が過ぎてしまっている。
好きで好きで、毎日頭から離れなくて胸が苦しいぐらいに平和島静雄を心底愛していた。
「作り物風情が気安く俺にさわるな」
「怖えな。でも嫌いじゃないぜ」
鋭く睨みつけながら叫んだのに向こうは全く怯まない。自分の苦しい状況を相談したくてシズちゃんのことを話していたけれど、はじめて後悔した。こんな偽者が現れるぐらいなら、黙っておけばよかったのにと。
正直こんな好きな相手と全く同じ姿と声の人形が現れて、違うと頭ではわかっていても魅かれるのはしょうがないと思う。目的は俺を貶める為なのに、俺だけの為に作られたなんて言われて全く揺らがないわけがなかった。
これがシズちゃんと出会ったばかりの頃だったら、違う騙されないと叫ぶところだ。でももう何年も一方的な片思いを続け実るどころか何もできていない今だから、怖いと思う。嵌ってしまいそうな自分が、既に心の中で生まれていた。
「わかってるぜ、あんたは俺を拒めないだろ?こんなにもそっくりなんだからなあ。人間がアンドロイドを作る理由は、生き写しのように姿も性格もコピーできるからだ。まあ俺は多少弄られてるみてえだけど。一応名乗っておくが、俺はサイケデリックって言うんだ。呼ぶならデリックって呼んでくれよ」
「なるほどね本当にシズちゃんと全然違う。こんなに饒舌にしゃべるところなんて見たことがないからねデリック」
* * *
「もう、何もしないで……っ、一人にしてよ」
「これからは絶対一人になんてしねえ。ずっと傍に居てやるから、安心して俺に縋ってくれ。どんな手前でも受け入れてやるから」
「ずっと一人だったんだ、今更寂しがったりなんかしない。怖くなんかない!」
「臨也がすげえ淫乱でエッチでも、嫌ったりしねえからな?」
「な……ッ!?」
やられたと気づいた時には遅かった。頭が割れるぐらい急激に痛み耳鳴りで顔が歪む。予想外の方向からの攻撃に耐える術は無くて、一瞬で体中から信じられないぐらい熱があがる。
淫乱で、エッチで、というキーワードが繰り返されて全身が小刻みに震え始めてしまう。性行為の経験すらなく自慰だってほとんどしたことがないというのに、想像以上の疼きにまだ何もされていないのに汗が噴き出し恐怖に怯えた。
「すげえな、はじめてでまださわられてもいねえのにここビクビクしてるぞ」
「っ、あ……違う、やめろって、俺はそんなはしたないこと……」
「口では嫌がってんのに体は正直だぜ。好きな相手とセックスできて嬉しいって言ってるみたいだ」
「嫌だ!もうやめろ……!!」
言葉巧みに誘導されて、腰から下の衣服を全部脱がされたところで足を左右に開かされる。閉じることができないので硬く勃起している下半身が丸見えだった。
脈打つようにビクビク跳ねていて、自分の体なのに制御できないのが悔しい。他人に一番見られたくない場所を晒されて、ほんのりと肌が羞恥心で赤く染まる。
「でもそうだな、どうせなら俺の指でイって欲しいな。まだ出すなよ、今から媚薬ローションで後ろ慣らしてやるから我慢してろ臨也」
「えっ?え、あ、冷たい……っ、指で慣らすって、そんなこと……」
「悪いな。俺の手でさわられただけですげえ感じちまうのに、焦らさせてよお」
「……な……さ、わるなあっ、あ、あぁあ!!」
それまで全く何も感じていなかったのに、突然デリックにさわられている箇所が熱く火照り耐えきれず喘ぎ声が派手に漏れる。抑えたいのにそれどころではなく、ローションがボタボタ垂らされる感触よりも後ろに押し当てられている指先が焼けそうなぐらい熱い。
入口に二本の指でくちゅくちゅと塗りたくられて、すぐに発熱したかのように激しく疼く。細いローションボトルの先端が少しだけ中に突き入れられ、媚薬が大量に注がれていくのをしっかり見ながらどんどん快楽に流されていった。
「たっぷり入れてやるからよ。中とろとろで指を掻き回されたら、すげえだろうな」
「もう、っ、しゃべるな……ぁ」
「手前こそもっと喘ぎ声出して気持ちいいの教えろよ。隠そうとしたって無駄だぜ」
「やだ、やっ、あ、んああっ!……はぁ、あ、は……っ、うぅ、あ、ぐ」
遂には声まで耐えられなくなって、体の中に冷たい感触が溜まりボトルの中身が減るのを喘ぎながら待つ。もし男との性行為を事前に知っていたら、もっと抗うことができたかもしれない。だからこそ弱点を突くようにしつこく責められているのかもしれないが、後悔の涙が溢れ続ける。
「エロいこと言ってもいいんだぜ?気持ちいいってよお」
「い、言わないっ……絶対に、うぅ、あ」
「ああそうか、口では嫌がってる癖に体は正直って言っちまってたな。まあどうせ一度イっちまったら、わけわかんなくなるんだろ?気持ちよすぎて」
「お前っ、俺のこと、んぁ……バカに、してる、だろ!」
「そうだな、嫌がってんのが結構楽しいとは思わなかったな」
シズちゃんが絶対に見せない爽やかな笑顔で笑われて、くらりと眩暈がした。ただでさえ頭が朦朧としてきているのに、どんどん症状が進行していく。
* * *
「これ以上……臨也を侮辱するな」
「なんだ手前?」
やけに冷静な声が聞こえてきて驚く。でも怒りが含まれていることは明らかで、俺にはこんな風に静かに怒ることなんてできないと思う。
一歩足を踏み出して近寄ってきたが、こいつは相当できる奴だと肌で感じる。でも臨也の名前を馴れ馴れしく呼んだので、容赦しないと頭の中で決めつけた。
「臨也の何を知ってんだ?」
「全部知ってる」
「どういう意味だそりゃあ!!」
「平和島静雄なんて諦めろ、って言ったのは俺だ。嫌だ、違うって喚く体を割り開いて無理矢理俺のもんにした。あんたがいつまで経っても手え出さねえからな」
「……ッ!?」
一瞬男の言っている意味がわからなくて必死に考えた。体を割り開いて無理矢理、という部分だけが繰り返し頭の中でこだまする。
「今更助けに来たって遅いんだよ。ずっと手前のこと呼んでたのに可哀そうだよな」
「酷えことしたのは、手前だろうが!!」
「俺はデリックっつうんだ、名前ぐらい覚えとけ静雄」
今すぐ殴りかかりたいのをかろうじて堪えたのは、こっちから仕掛ければ背後の臨也を放棄してしまうことになるからだ。向こうは二人で動けるので、間違いなく奪われてしまう。
デリックという男と睨み合いながら隙を窺うが今の所無理そうだった。むしろこっちが根負けして隙を見せないようにしなければいけない。だってさっきから俺を怒らせるようなことばかり言っているから。
「臨也をアンドロイドにしたのは、俺が欲しかったからだ。手前のことも忘れて、体も捨ててこうやって会うのを実は楽しみにしてたんだぜ。臨也は俺のもんだって見せつけてやる日を待ってたんだよ」
「最低な野郎だな」
「そいつは手前だろ。一途に想ってた臨也のこと、俺は忘れねえ。俺があんたに復讐してやるんだ、かかって来いよ」
「上等じゃねえか」
それは明らかなる挑発だった。
* * *
「……っ」
ゆっくりと目を開くと、ぼんやりとした視界に見覚えのある顔が映って息が止まりそうになる。まるでさっきのよくわからない夢の続きみたいだと考えていると、同じように体を掴まれていきなり抱きしめられた。
一切声は掛けられることなく突然こんなことをされて、動揺を隠せない。慌てて体を離そうと抵抗しようとして、何かがおかしいと気づく。
「あれ?力入らない、んだけど……?」
必死に胸を押し返そうとするのに、うまく力が入らず弱々しく手が震えているだけだった。これは一体どういうことなんだろうかと驚いていると、低い声が耳元で聞こえる。
「無理すんな、臨也」
「え……っ?」
あまりに落ち着いた口調に背筋がぞっと震えた。直前の夢の事しかはっきりと頭に浮かばなくて、俺はどうしていたんだっけと必死に思い返そうとする。でも邪魔をするように優しい口づけのことが思い出されて、いつものように暴言を吐くこともできない。
でもとにかくおかしくて、必死にいつもの調子を思い返しながら告げた。
「ちょ、っと離してよ。どういうつもりか知らないけど、苦しい」
「ああ悪い、痛かったか?」
そう言うとあっさりと体から離されたが、背中に置かれた手はそのままで上半身をしっかり支えられる。俺は自力で起きあがっているつもりだったけど、なぜか動けずに不自由な状態だった。
ただでさえまだ近い距離にシズちゃんの顔があるのに、どうしてだと焦ってしまう。バクバクと高鳴る心臓を鎮めようと深呼吸していると、優しく頭をポンポンと叩かれて唖然とした。
「いいかちょっと黙って聞け。手前とこうやって直接顔合わすのは、三ヶ月振りだ。俺はいつから眠ってたのか知らないが、二ヶ月ぐらいは寝たきりだったんだ。だから動けねえのはしょうがねえんだよ」
「寝たきり、って……どうして?」
言われた意味をすぐには理解できなくて、呆然としながら聞き返す。だけど何か言いたげに顔を顰めた後に、完全に話題を逸らした。
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【その胸に今刻印された】
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「えっ……?シズ、ちゃん?」
「残念だったな、俺は平和静雄じゃねえよ。まぁ間違えるのも無理はねえ、だってあいつを元に作られたアンドロイドだからな。性能はほとんど人間と一緒だけどな」
「アンドロイド……?」
瞳を開けて目の前に立っていた人物に、俺は心底驚き全身をビクンと震わせながら名前を呼んだがあっさりと違うと答えられてしまう。姿形や声までがまるっきり同じだったのにと尋ねる前に全部を教えられる。
アンドロイドという説明を聞いて、背筋がぞくりとざわついた。それはまさに調べていた仕事の内容と一致していたからだ。人間と瓜二つで素晴らしいアンドロイドが作られている、という場所に潜入する直前に何者かに襲われて意識を失ったことまでは覚えていた。でも目の前の相手がアンドロイドと口にするということは、つまりは捕まったらしい。
唇を噛みしめながら自分の姿を確認すると、両手足が拘束されていて革のような拘束具をつけられその先から紐が伸びている。紐は部屋のどこかへと括りつけられているらしいが、先は見えなかった。
見回した部屋は窓がなく簡素なベッドが置いてあるのみだ。薄暗い電球の灯りだけで光もが入ってこないので時間もわからない。地下だろうかと思わせるほど、ひんやりとした独特の空気が漂っていた。
この陰湿な部屋の中で、目の前の人物の姿だけがくっきりと目立つように浮かんでいる。こんな日の光が当たらない場所には似つかわしくない格好をしていた。
「なんで……あんたシズちゃんと同じ顔をしてるのさ?しかも白いスーツだなんて本人から一番かけ離れてるのは皮肉かな」
「あぁ、それは俺が臨也の為に作られたからさ」
「は……?なに、なんで、俺?」
嫌味を言ったはずなのに、そいつはやけに真剣な表情のまま真っ直ぐこっちを見つめていた。別人なのは充分に承知しているけど、胸がやけにドキドキして動揺してしまったことを苦々しく思う。
そうして告げられた内容に驚愕した。
「あんたを陥れる為に、俺は作られたんだよ」
「……ッ!?俺を陥れるってどういうことさ。しかもシズちゃんの姿だなんて、何の意味が……」
身動きの取れないまま相手を睨みつけるが、余裕の笑みは崩さなかった。そうしないと、不安な心が見透かされてしまいそうだったからだ。けれど目の前の相手は、一切の容赦もなくその言葉を吐いた。
「好きなんだろ、平和島静雄の事が」
「ははっ、それはどういうことだい?」
「だからあんたを堕とす為に俺は作られたんだよ。わかるだろ?臨也」
「……っ、さわるな……ッ!!」
確かにそれは事実だった。俺は昔からシズちゃんのことが好きで、新羅やドタチンにそのことを愚痴るぐらいには大っぴら話をしていて友人の間では有名な話だ。
今日はこんなことがあって最悪だったけどかっこいいとか、殴られて怪我をしたけど喧嘩できて嬉しいとか。そんなありふれた日常を長年ペラペラとしゃべっては発散させて、本人の前では一切好きな素振りを見せずにやってきた。
何度も告白すればいいのにと憐みの瞳をで言われたが、そんな勇気が元からあるわけがない。俺はいつまで経っても何も言うことができずもう八年以上が過ぎてしまっている。
好きで好きで、毎日頭から離れなくて胸が苦しいぐらいに平和島静雄を心底愛していた。
「作り物風情が気安く俺にさわるな」
「怖えな。でも嫌いじゃないぜ」
鋭く睨みつけながら叫んだのに向こうは全く怯まない。自分の苦しい状況を相談したくてシズちゃんのことを話していたけれど、はじめて後悔した。こんな偽者が現れるぐらいなら、黙っておけばよかったのにと。
正直こんな好きな相手と全く同じ姿と声の人形が現れて、違うと頭ではわかっていても魅かれるのはしょうがないと思う。目的は俺を貶める為なのに、俺だけの為に作られたなんて言われて全く揺らがないわけがなかった。
これがシズちゃんと出会ったばかりの頃だったら、違う騙されないと叫ぶところだ。でももう何年も一方的な片思いを続け実るどころか何もできていない今だから、怖いと思う。嵌ってしまいそうな自分が、既に心の中で生まれていた。
「わかってるぜ、あんたは俺を拒めないだろ?こんなにもそっくりなんだからなあ。人間がアンドロイドを作る理由は、生き写しのように姿も性格もコピーできるからだ。まあ俺は多少弄られてるみてえだけど。一応名乗っておくが、俺はサイケデリックって言うんだ。呼ぶならデリックって呼んでくれよ」
「なるほどね本当にシズちゃんと全然違う。こんなに饒舌にしゃべるところなんて見たことがないからねデリック」
* * *
「もう、何もしないで……っ、一人にしてよ」
「これからは絶対一人になんてしねえ。ずっと傍に居てやるから、安心して俺に縋ってくれ。どんな手前でも受け入れてやるから」
「ずっと一人だったんだ、今更寂しがったりなんかしない。怖くなんかない!」
「臨也がすげえ淫乱でエッチでも、嫌ったりしねえからな?」
「な……ッ!?」
やられたと気づいた時には遅かった。頭が割れるぐらい急激に痛み耳鳴りで顔が歪む。予想外の方向からの攻撃に耐える術は無くて、一瞬で体中から信じられないぐらい熱があがる。
淫乱で、エッチで、というキーワードが繰り返されて全身が小刻みに震え始めてしまう。性行為の経験すらなく自慰だってほとんどしたことがないというのに、想像以上の疼きにまだ何もされていないのに汗が噴き出し恐怖に怯えた。
「すげえな、はじめてでまださわられてもいねえのにここビクビクしてるぞ」
「っ、あ……違う、やめろって、俺はそんなはしたないこと……」
「口では嫌がってんのに体は正直だぜ。好きな相手とセックスできて嬉しいって言ってるみたいだ」
「嫌だ!もうやめろ……!!」
言葉巧みに誘導されて、腰から下の衣服を全部脱がされたところで足を左右に開かされる。閉じることができないので硬く勃起している下半身が丸見えだった。
脈打つようにビクビク跳ねていて、自分の体なのに制御できないのが悔しい。他人に一番見られたくない場所を晒されて、ほんのりと肌が羞恥心で赤く染まる。
「でもそうだな、どうせなら俺の指でイって欲しいな。まだ出すなよ、今から媚薬ローションで後ろ慣らしてやるから我慢してろ臨也」
「えっ?え、あ、冷たい……っ、指で慣らすって、そんなこと……」
「悪いな。俺の手でさわられただけですげえ感じちまうのに、焦らさせてよお」
「……な……さ、わるなあっ、あ、あぁあ!!」
それまで全く何も感じていなかったのに、突然デリックにさわられている箇所が熱く火照り耐えきれず喘ぎ声が派手に漏れる。抑えたいのにそれどころではなく、ローションがボタボタ垂らされる感触よりも後ろに押し当てられている指先が焼けそうなぐらい熱い。
入口に二本の指でくちゅくちゅと塗りたくられて、すぐに発熱したかのように激しく疼く。細いローションボトルの先端が少しだけ中に突き入れられ、媚薬が大量に注がれていくのをしっかり見ながらどんどん快楽に流されていった。
「たっぷり入れてやるからよ。中とろとろで指を掻き回されたら、すげえだろうな」
「もう、っ、しゃべるな……ぁ」
「手前こそもっと喘ぎ声出して気持ちいいの教えろよ。隠そうとしたって無駄だぜ」
「やだ、やっ、あ、んああっ!……はぁ、あ、は……っ、うぅ、あ、ぐ」
遂には声まで耐えられなくなって、体の中に冷たい感触が溜まりボトルの中身が減るのを喘ぎながら待つ。もし男との性行為を事前に知っていたら、もっと抗うことができたかもしれない。だからこそ弱点を突くようにしつこく責められているのかもしれないが、後悔の涙が溢れ続ける。
「エロいこと言ってもいいんだぜ?気持ちいいってよお」
「い、言わないっ……絶対に、うぅ、あ」
「ああそうか、口では嫌がってる癖に体は正直って言っちまってたな。まあどうせ一度イっちまったら、わけわかんなくなるんだろ?気持ちよすぎて」
「お前っ、俺のこと、んぁ……バカに、してる、だろ!」
「そうだな、嫌がってんのが結構楽しいとは思わなかったな」
シズちゃんが絶対に見せない爽やかな笑顔で笑われて、くらりと眩暈がした。ただでさえ頭が朦朧としてきているのに、どんどん症状が進行していく。
* * *
「これ以上……臨也を侮辱するな」
「なんだ手前?」
やけに冷静な声が聞こえてきて驚く。でも怒りが含まれていることは明らかで、俺にはこんな風に静かに怒ることなんてできないと思う。
一歩足を踏み出して近寄ってきたが、こいつは相当できる奴だと肌で感じる。でも臨也の名前を馴れ馴れしく呼んだので、容赦しないと頭の中で決めつけた。
「臨也の何を知ってんだ?」
「全部知ってる」
「どういう意味だそりゃあ!!」
「平和島静雄なんて諦めろ、って言ったのは俺だ。嫌だ、違うって喚く体を割り開いて無理矢理俺のもんにした。あんたがいつまで経っても手え出さねえからな」
「……ッ!?」
一瞬男の言っている意味がわからなくて必死に考えた。体を割り開いて無理矢理、という部分だけが繰り返し頭の中でこだまする。
「今更助けに来たって遅いんだよ。ずっと手前のこと呼んでたのに可哀そうだよな」
「酷えことしたのは、手前だろうが!!」
「俺はデリックっつうんだ、名前ぐらい覚えとけ静雄」
今すぐ殴りかかりたいのをかろうじて堪えたのは、こっちから仕掛ければ背後の臨也を放棄してしまうことになるからだ。向こうは二人で動けるので、間違いなく奪われてしまう。
デリックという男と睨み合いながら隙を窺うが今の所無理そうだった。むしろこっちが根負けして隙を見せないようにしなければいけない。だってさっきから俺を怒らせるようなことばかり言っているから。
「臨也をアンドロイドにしたのは、俺が欲しかったからだ。手前のことも忘れて、体も捨ててこうやって会うのを実は楽しみにしてたんだぜ。臨也は俺のもんだって見せつけてやる日を待ってたんだよ」
「最低な野郎だな」
「そいつは手前だろ。一途に想ってた臨也のこと、俺は忘れねえ。俺があんたに復讐してやるんだ、かかって来いよ」
「上等じゃねえか」
それは明らかなる挑発だった。
* * *
「……っ」
ゆっくりと目を開くと、ぼんやりとした視界に見覚えのある顔が映って息が止まりそうになる。まるでさっきのよくわからない夢の続きみたいだと考えていると、同じように体を掴まれていきなり抱きしめられた。
一切声は掛けられることなく突然こんなことをされて、動揺を隠せない。慌てて体を離そうと抵抗しようとして、何かがおかしいと気づく。
「あれ?力入らない、んだけど……?」
必死に胸を押し返そうとするのに、うまく力が入らず弱々しく手が震えているだけだった。これは一体どういうことなんだろうかと驚いていると、低い声が耳元で聞こえる。
「無理すんな、臨也」
「え……っ?」
あまりに落ち着いた口調に背筋がぞっと震えた。直前の夢の事しかはっきりと頭に浮かばなくて、俺はどうしていたんだっけと必死に思い返そうとする。でも邪魔をするように優しい口づけのことが思い出されて、いつものように暴言を吐くこともできない。
でもとにかくおかしくて、必死にいつもの調子を思い返しながら告げた。
「ちょ、っと離してよ。どういうつもりか知らないけど、苦しい」
「ああ悪い、痛かったか?」
そう言うとあっさりと体から離されたが、背中に置かれた手はそのままで上半身をしっかり支えられる。俺は自力で起きあがっているつもりだったけど、なぜか動けずに不自由な状態だった。
ただでさえまだ近い距離にシズちゃんの顔があるのに、どうしてだと焦ってしまう。バクバクと高鳴る心臓を鎮めようと深呼吸していると、優しく頭をポンポンと叩かれて唖然とした。
「いいかちょっと黙って聞け。手前とこうやって直接顔合わすのは、三ヶ月振りだ。俺はいつから眠ってたのか知らないが、二ヶ月ぐらいは寝たきりだったんだ。だから動けねえのはしょうがねえんだよ」
「寝たきり、って……どうして?」
言われた意味をすぐには理解できなくて、呆然としながら聞き返す。だけど何か言いたげに顔を顰めた後に、完全に話題を逸らした。
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