ウサギのバイク CAPSULE PRINCESS 33
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2010-04-04 (Sun)
静雄×臨也 ※18禁注意

続き あの約束を使うしかない

* * *
「やりすぎってもんじゃないだろこれ…」

臨也の家に辿り着きコートのポケットから出した鍵を開けながら、一人ごちていた。少し乱暴に扉を開けながら入っていったのだが、起きる気配は全くなさそうだった。
あれだけやってれば当然といえば当然なのだが、それにしてもほとんど寝息も聞こえずほんとうに気絶しているという感じなのが余計にいたたまれない。

「でも臨也の奴だって拒まなかったし」

完全ないいわけなのはわかっていたが、納得できずに唇を噛みしめていた。
あんな格好で誘われたら下半身だってすぐに反応するし、それは生理的にしかたがないことなのだと思いこむしかなかった。

「にしてもアホか俺は…あいつを見たら怒りが沸くんじゃなくて下半身反応するってどんだけたらしこまれてんだ」

これまで散々媚薬を使って襲ってきたつもりだったが、まるでこっちが操られている気分だった。これからは街中でまともに喧嘩もできないかもしれない。
殺し合ってたのがそのうちセックスをし合ってたとなれば洒落にならない。あいつの一挙一動がエロく見えるなんて冗談でも本人には言えない。


部屋に入ると真っ先に寝室へ向かった。どうも家の中は昨日のままらしく室内は散らかったままだったが構うことなく臨也をベッドの上に寝かせた。
とりあえずコートは椅子の上にかけてやってから俺もその横に体を寝そべらした。さすがに何十人とやり合った後のセックスは体に堪えた。
それ以前に連日夜はここに通っていて蓄積した寝不足が急に襲ってきたのだ。シャワーでも浴びるかと思っていたのだが、そう考えながら瞼が閉じていった。



「ん…なんだ、臨也?」

さっきまであった背中のぬくもりがなくなったのに感ずいて目を開けると、隣で寝ているはずの姿がなかった。
チラリと床を見ると白い雫が点々と落ちているので、シャワーでも行っているのかと思ったがなんとなく嫌な予感がして瞼を擦りながらベッドから下りた。
おぼつかない足取りで歩いて行くとほどなくして臨也の姿をみつけた。まだ裸のまま棚の前で探しものをしていて、相当熱中しているのかこっちに振り向く様子はなかった。

「そんな格好でなにやってんだ?」

すぐ後ろまで近づいたところで普通に声を掛けたのだが、向こうはかなり驚いたみたいで肩をビクッと震わせていた。

「うわあっ!…っ、シズちゃん、なに?どうしたの?」
「それはこっちのセリフだろ。なんかコソコソしやがって……」

臨也の頭の上から覗き込むようにして手元を見ると、その先に見覚えのある瓶が何本か置いてあるのが見えて―― 一気に目が醒めた。

急激に怒りで頭が沸騰し、考えるより先に手が動いていた。

「おい手前、なにしようとしてんだ!!」
「……ッ、痛い、痛いって腕…!」

握りつぶさないだけまだマシだろと内心思いながら、右手首をおもいっきり掴み頭の上にあげさせていた。
状況から察するにこいつはまたあの瓶の中身を、媚薬を飲むつもりでいたのは間違いなかった。苦痛に歪む顔をこちらに向かせて問い詰めるように睨みつけた。

「こりゃどういうことだ!飲みすぎたら媚薬漬けになるっつったのはそっちの癖に、バカなのか!!」
「え?そんなことまで…知ってんの?」

今のこいつに通じる話ではなかったのだが、怒りのあまりそのままぶつけてしまった。しかし向こうは意外にも驚いた顔をして息を飲んだ。数秒沈黙が続いたがこっちが先に動いた。
無言のまま腕を引いてそのままソファの前まで行くと勢いのまま突き飛ばすように放り投げた。

「そんなに俺に怒られたいのか?マゾなのか?また犯されねぇとわかんねぇのか?」

捲くし立てるようにして言い続けるが、向こうは唇を閉じたまま身動きすらしようとしない。できないというのがほんとうのところかもしれないが。
まるでいつもと立場が逆転しているようだった。饒舌なはずの奴が黙っていることのほうがおかしいだけなのだが。


「なにを忘れたいんだよ」
「…全部だよ」


単刀直入に聞くとあっさりと答えを言いやがった。しかし真意がまったく掴めない表情をしている。怒っているのでも、いつものようにからかっているようでもない素の顔に見えた。
昨日の臨也が薬を飲んだ理由が確か俺が最近の一連の犯人だと気がついたから、だったのだがやっぱり同じなのだろうか。
決定的なところを見せてはいないはずなのだが、わかったというのだろうか。


「気づいたのか?」
「そりゃあれだけはっきりと…現実をつきつけられればねぇ」


どのことかは言いたくないらしいが、連日陵辱した相手が俺だということには至ったようだった。せっかくチャンスをもらったはずなのに、こいつが気がつく前に告げられなかったのだ。
唇を引き締めながら内心焦っていた。今ここで謝ったりしてもきっと受け入れられないだろう。多分裏切られたという気持ちに陥っていて、なんの言葉もあいつに届かないに違いない。

だがこのまま関係を終わらせるつもりはない。
終わりなんてことになったら俺はあいつと顔を合わせる度に苦しい思いをしなければならなくなるし、そのうち溜まりにたまったものが爆発して襲いかかってしまうのも目に見えてる。
あいつだってあんなに淫らになった体を放っておくことはもうできないだろう。だったらどうするかなんて決まりきっている。さっきの男達でも誘って熱を鎮める行為に走ってしまうだろう。
そんなのは断じて許せないし、俺にとっても臨也にとっても得策ではない。
だいたいあの体は俺が育ててきたようなものだ。それを他人に使うのも、使われるのも腹立たしいのはさっきのことでよくわかった。

好きだとかそういう恋愛感情では一切無いが、臨也を独占しておきたいのだ。あいつがなんと言おうとも、絶対に離したくないし離すわけにはいかない。
なにをしてでも今引きとめなければいけないのだ。
卑怯だとは思うがここであの約束を使うしかないと決意した。


「なぁ臨也前に言ったよな?なんでもするって、暴力以外ならなんでも叶えるって。だから――」


脅すような口調で言い切ったのだが、手には大量の汗をじっとりとかいていた。


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