ウサギのバイク CAPSULEPRINCESS 37
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2010-04-08 (Thu)
静雄×臨也

続き この顔だ

* * *


「な、なんで泣いてんだよ?それ演技か?」
「感動のシーンだよここ。なにその言い草は。せっかく演出してあげたのに、冗談が通じないなんてセンスないよね」

あまりの雰囲気におもわず一歩後ずさって手の力を緩めてしまったのだが、どうやらそれが狙いのようだった。抵抗を強めて腕からすり抜けようとしてきたので、また慌てて掴み直した。
こいつはほんとうに油断も隙もあったもんじゃない。
わかってはいたがこんな時まで茶化しながら笑うとは随分余裕があるようで、腹立たしさのあまり最近は忘れかけていたどす黒いもやもやとした感情が胸に広がっていくのを感じていた。


「あぁそうかそうか知らなかったのか、悪かったなぁ。じゃあ教えてやろうかどんなふうにしてじゃじゃ馬の手前を調教していったかを、なぁ?好きだとかそんな甘いもんじゃねぇんだよ!俺以外の奴でなんか絶対に満足できないぐらい征服してやってんだよッ!」


一気にまくしたてながら、妙な高揚感に懐かしさを覚えて口元が緩んでいた。やっぱりこうでなくてはいけないのだ。もう好きだとか呪いだとかに惑わされることもない。
俺は俺だ。
生意気な宿敵折原臨也泣かせて、怯えさせて、淫らに腰を振るさまを目の前で眺めていたいのだ。

「それが本性なんだ、へぇ?なに、じゃあこの数週間はずっと我慢してたの?そんなことできるんだ?っていうか早く言ってくれたら、こんな茶番演じずに済んだんじゃないか」

向こうは俺の変わりように全く動揺も見せていない。むしろ挑戦するように不敵に微笑んでいる。

「俺はてっきりあの男達に毎日強姦されて、自分でそれを忘れたくて数時間の記憶が消える媚薬を飲み続けてたと思ってたんだけど完全に勘違いだね。実はシズちゃんじゃないかって疑ったこともあったけどさ、大嫌いな俺なんかと理由もなしにセックスなんかする筈ないと思い込んでたんだよね。そんな嫌がらせをするような人間じゃないって。でも今ならわかるよ、あんな乱暴なことができるのは君だけだ。なにもかもズタズタにしてくれて喪失感に心が折れかけてたのも君だからだ。あぁほんとうに最悪だけど、嬉しいよ」

いつものようにベラベラとしゃべり続けている間に握っていた手を頭の上で一つに括り、右手で蝶ネクタイを緩めるとそれを使って手首を強く縛り完全に手が使えないようにしてやった。
ギチギチに拘束したせいで痛かったのか一瞬表情を歪ませたが、すぐに元の嫌な笑みを頬に貼りつけていた。早くこの生意気な表情を変えたかった。


「見たかったら痴態を映したビデオを全部見せてやろうか?それ見ながら勃ててたこともあったっけなぁ。絶対に屈しないって言ってたのに貞操帯つけてやったら自分から外してくれってねだってくるし、オナニーまで見せつけてくれたよな。挙句にこんな鬼畜野郎に好きだと告白までしてきやがって傑作だよな。手前を忘れられないって言ったのは本心だよ。もうすっかりはまっちまってるんだよ、このビッチな体に。他の誰かで変わりができないぐらい溺れてんだよ、嬉しいだろ臨也?」


ズボンに手を伸ばして乱雑にベルトを外し下着も脱がしていきながら、淡々と告げていった。さすがにこれだけのことを言われれば、目を丸くして驚くのも当然のことだった。
下半身を裸にされさすがに事の重大さがわかってきたのか、微かに体がが緊張しているように見えた。

「…なんか眩暈がしそうだよ。ごめん、さっき嬉しいって言ったの前言撤回だ。意図せずにシズちゃんを手に入れても全然嬉しくないよ。だってこっちはなにも覚えてないんだもん。重要なそれまでの過程ってものが綺麗さっぱり抜け落ちてるんだよ。あぁ勿体無い」
「ほんとうに残念だったな。何度も屈辱的なことを味あわせてやったのに覚えてないなんてなぁ。でもこれからはしっかり刻み込んでやるから安心しろ」

眼前まで近づいてしっかりと言い放った後、噛みつくような勢いで唇に貪りついた。

「……っ!?ふ、うぅ……う」

そういえばキスなんてしたのもさっきの男達から助けた直後にして以来で、こういう衝動を俺も忘れていたんだなと思い出していた。
わざと乱暴に舌を奥まで突き入れて、向こうがえづく寸前ぐらいまで強く喉の壁を押した。苦しそうにもがいていたが、がっちりと腕で抱いて押さえつけていたら次第に力が緩んでいった。
呼吸をさせないぐらい激しく舌にも食いつき、絡めるどころか引っ張り出す勢いで吸いついたり裏側を舐めたりと翻弄した。

「ん、ううぅぅッ…ぷ、はあぁっ、はっ、はぁ、は……!」

臨也の足ががくりと揺れてその場に崩れ落ちそうになったところで解放して、体を抱きとめながら顎を掴んで俺の方に向かせると瞳の端に薄っすらと涙が浮かんでいた。
必死に空気を吸いこんでいて表情は苦しそうであるが、これは明らかに欲情しかけている顔だった。昨日までとは違う淫らな雰囲気を纏っていて、やっぱりコイツも隠してやがったんだなと思った。



「この顔だ俺が好きなのは」



「は、っ……え?いま…好、きって言った?」

「手前の淫乱ビッチなところがイイって言っただけだ」


急に顔を呆けさせて尋ねてきたので慌てて言い換えた。つい口に出してしまって驚いていたのはこっちの方だったのだがそれは悟られないようにした。
俺に好きだと言ってきたアイツの好きとは種類が全く別だったが、確かに臨也の淫らでどうしようもないところが好きなんだと、好きになってしまったのだと自覚した。
それ以外は嫌いだ。人を馬鹿にするところも、貶めるようなことばかりしているところなんて最低だと思っている。
絶対に相容れないはずなのに、体だけは認めてやっていいとは随分都合のいい話だった。

でも離すつもりはなかった。この先いつか拒まれようとも、追いかけ回す覚悟はあった。
それぐらいにどうしようもなく、折原臨也に嵌っているのだ。

こんな奴を野放しにしていたら、性的被害者が池袋の街にあふれて困るだろうなとすら本気で考えていた。
まぁ今更臨也が俺以外の奴なんかを相手にするかといえばそれはないだろう。
ここまでの淫乱を満足させてやれるような奴が他にいるとは思えない。どんな凄腕だろうとこいつの弱いポイントを知り尽くしている俺に劣る。

あと前に言ったのだ。
俺のことが大好きだと、はっきりと告げてきたのだ。
本当か嘘か考えろと言った時点で本物だ。臨也はまだきっと俺に惚れている。
これだけは自信があった。


「そっちはどうなんだよ、俺のこと好きなんだろ?」


「うん、俺は好きだよ。シズちゃんにとことんいじめられるのが、ね?」



口の端を吊りあげてクスクスと妖艶な笑みをこぼしながら、熱の篭った瞳で眺めていた。



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