ウサギのバイク 流れる涙も 凍てついた胸も ⑤
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2010-05-10 (Mon)
静雄×臨也前提 モブ×臨也 ※18禁注意

続き 惨めで、滑稽だった

* * *

「折原さん、さっきの話見てましたよ」

意識を取り戻して即座に告げられた事実に愕然としながら、内心の動揺を悟られないように涼しい顔を装った。同時に周りの状況も確認する。


「あ、んたら誰?っていうかよくシズちゃんにみつからずに逃げられたよね。そっちの方が驚きだよ」

両腕は後ろで縛られていて、部屋の内装や怪しさからいかがわしい系に使う手錠とか手枷の類だと思った。男達は十人前後でそんなに強そうには見えないが、数が多い。
ラブホテルのSMルームみたいな派手な装飾や器具らしきものが、本当に悪趣味だった。そういう風俗を経営してるような奴なのかもしれない。最悪だ。
しかしここまで大っぴらに俺に手を出してくるということは、ヤクザとは繋がっていないだろうと思った。所轄素人風情だが、そういうのが一番怖い。
この俺にバレたんだからすぐに四木さんに情報を流して潰してもらおうと考えていたのだが、急に頬を叩かれてしまい殴った奴を睨みつけた。

「すました顔してんじゃねえよ。手前が平和島静雄に告白してんの見た、っつってんだよ!」
「あぁ、なにそんなこと?見ての通り振られたんだから、勝手にすればいいよ。そんなんでこの俺を脅せると思ったの?」

話をしながら音を立てないように手枷をどう外すか探っていた。こんなところに長居するつもりなんてない。ましてやシズちゃんとの会話を聞かれたなんて、徹底的に潰していいレベルだ。
確かに自分の気持ちを伝えた時は、俺には珍しく周りがみえていなかったかもしれない。もっと気を配っていればこんな面倒なことにはならなかったな、とため息をついた。

「お前今の状況わかってんのか?生意気な態度しやがって…そんなに酷くされてぇなら今すぐしてやるよ。おい、そいつ押さえておけ」

こっちも正直腹が立っていた、しかもシズちゃんのことを引き合いに出されて普段より冷静さを欠いていたのかもしれない。不用意に煽ってはいけないのはわかっていたのに、結果そうしてしまった。
床に転がされていた俺の背後に、体格のいい男が二人並んで体を強引に捩じらせて動けないようにされた。
これは本格的にマズイかもと舌打ちしたところで、目の前の男ともう一人が手にしていたなにかを見せびらかすようにして眼前に突き出してきた。それは医療用の注射器だった。


「そういうのって最近流行らないよ?今はほら薬とかが多いのにそんな古典的な…」
「でも即効性があるんだろ?しかもお前ムカツク野朗だから、多めに二本打ってやるよ。嬉しいだろ」
「ちょっと、後で副作用が残ったらどうしてくれんの?やめろ…って……ッ!」

もうこうなったら口で応戦するしか方法がなかった。向こうだってそれが精一杯の強がりだとわかりきっているようで、余計にイラつかせた。
心の中で毒づいていたが、いよいよ針の先端が近づいてきたところで拒絶の言葉を吐いた。
当然そんなのは遅かったわけで、首元に左右同時から刺さるような痛みが走り冷たい液体が体の中に流しこまれていくのを享受するしかできなかった。
手枷を派手な音を立てて床に叩きつけてみたりもしたが、数秒後には恐怖のあまりそれさえもできなくなっていた。全身が緊張で硬直し歯軋りをして、終わるのをひたすら待った。
危険な修羅場なんてこれまで幾度となく切り抜けてきたが、今回ばかりはどうしようもなかった。

(しかもシズちゃんに気を取られてたから、なんて死んでも言えないよね。まぁ振られたから言うとかそういう話じゃないんだけどさ)

やがて針が抜けられて、一気に体の力が抜けて後ろの男の支えにもたれかかるほどだった。たった数秒のことのはずなのに、何分も経過したかのような錯覚があった。

「それにしてもお前もかわいそうな奴だよな?男に告白して振られた直後に男に強姦されるなんて、屈辱だろ?悔しいだろ?惚れた男とセックスできればよかったのになぁ?」

歓喜に顔を歪ませてまだ注射器を持った男が顔を寄せてきたので、無言のまま視線を逸らして興味ない振りをした。こういう調子に乗った相手には無反応でいるのが一番なのだ。
それで逆上する可能性もあったが、ここまできてされることは一緒だしと諦めた。もう逃げられないのならどうでもいい、と思った。
自棄になることでこれから体に訪れる変化を、なんとかやり過ごそうとする算段だった。

「抵抗できるのも今のうちだ。服脱がせてやるからなぁ?」

いちいち聞いてこなくてもいいのに、これは絶対に嫌がらせだったので目線さえ合わしてやらなかった。鼻で笑われたが、気にもかけなかった。
そして何人もの男の手が体をまさぐってきたところで、最初の変化が訪れた。

(こいつらほんとに気持ち悪い動きしやがって…クソッ、ぞくぞくする。こんなにすぐに効果が出るなんて危険すぎるっての。マジで殺す…)

汗ばんだ手が全身を這い回りながらどんどんと服を脱がせていく。ズボンや下着はあっという間に剥ぎ取られ、シャツは俺の持っていたナイフで半分に裂かれた。
しかし手枷をはめられているのでコートまでは脱げなくて、なんともみっともない姿にされてしまった。
けれども羞恥心よりも肌をまさぐられた感触の方が最悪で、鳥肌が立っていた。徐々に息があがりかけていることには、気がつかないふりをした。

「そろそろ、さっきのが効いてきたんじゃねえの?顔赤くなってきてるじゃねぇか、情報屋さん?」
「……!」

当然のことながらそれにも答える義理がなかったので黙っていたら、突然下半身を掴まれて悲鳴を出さなかった自分を褒めたいぐらいだった。

「ちょっと勃起してきてるけど、まだまだだなぁ。薬足りなかった?もう二本ぐらいここにでも打っとこうか?」
「ふざけるな!そんなところに使ったりしたら…!」
「あぁヤバイんだ?じゃあやってみよっか?」

しまったと気がついた時には遅かった。冗談じゃないと足を振りあげて逃れようとして別の男達が押さえてきた。
もう薬も効き始めてることもあって動きが鈍かったので、すぐに身動きが取れなくなる。しかも困ったことに手でふれられている部分がいやに熱くなってきていた。
注射器を取り出す音だけが聞こえてきて、下がどうなっているのか全く見えなかった。それが余計に恐怖をもたらして、背中にびっしょりと汗をかきだした。

「じゃあチンポの根元と尻の穴に打ってやるからな。もうまともなセックスなんかできなくなるかもしんねえけど、俺らがかわいがってやるからよ折原さん」
「…う…っぅ!」

次の瞬間には言われたとおりの二箇所に鈍痛が走った。しっかりと唇を噛んで恐怖の声も悲鳴も押し込んだが、体の震えはどうしようもなかった。


(シズちゃん……)


こんな状況にも関わらず浮かんだのは、さっきこっぴどく振られた相手の名前だった。
なにかに縋っていなければ耐えられない状態なのはわかっている。けれど振られた相手だなんて未練がましいにもほどがあった。

惨めで、滑稽だったが口の端が笑いの形に歪みはじめていた。
出会った頃からの恋心にとうとう我慢できなくて吐き出したが、こんなことになる前に告げることができたことは良かったと思った。


(でもね、さっきから胸がズキズキ痛んでしかたないんだ。振られたのがそんなにショックだったのかなぁ?)


追加された薬の効き目なのかはわからなかったが、急に頭がくらくらとしたとおもったらふわふわと夢うつつな状態になってきて、まるで現実味がなくなっていた。
針が抜かれた時には完全に体に力が入らなくなってしまい、崩れるように両手足を投げ出して虚ろな瞳でぼんやりと成り行きを眺めるしかなかった。


「さすがにやりすぎたか?急に静かになりやがったが、まぁ俺らの恨みが晴れるまで容赦しねぇからな」


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