ウサギのバイク 流れる涙も 凍てついた胸も ⑨
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2010-05-14 (Fri)
静雄×臨也前提 モブ×臨也 ※18禁注意

続き 都合の悪い部分を全部忘れた

* * *
「だって、え…俺…おれ、イきたいっ…お願い、このままなんて…やだぁ…」

しかし恐怖よりも昂ぶったままの熱を解放できなことのほうが嫌だった。怒られても、殴られても、酷くされてもいいからどうにかして欲しいと、勝手に口がしゃべって哀願していた。
淫欲に支配された頭の中には、自分が情報屋の折原臨也であるとか、相手が薄汚い下衆野朗だとかいうことはこれっぽっちも残っていなかった。
代わりに、どうやったらもっと気持ちのいいことをしてくれるかとか、そういう卑しい思いでしか占められていなかった。

「どうするかな?」
「そ、んなっ…待って、おれなんでもするから…捨てないで!一人にしないで!きらいに…ならないで…っ」

無意識に瞳からぼろぼろと涙が溢れて止まらず、頬を伝い落ちていった。どうしてここまで泣いてしまっているのかは、もはやわかるわけがない。
だからただ必死に、急速に沸きあがった心細さを打ち消すように叫び続けた。

「本当になんでもするんなら”ここにいる皆さんのザーメン奴隷になりますから、精液中出しして下さい”って言ってみろよ。簡単だろ?」
「あ…っ」

鈍った頭で一瞬だけ戸惑ったが、拒む理由はどこにもなかった。ご機嫌をとるような媚びた笑みを浮かべて、甘ったるい音色でねだった。


「みなさん、の…ザーメン奴隷に、なり…ます。だから中突いてぐちゃぐちゃにして、たっぷり精液出して…くださいっ」

「はははっ!そうかよじゃあ遠慮なく出してやるよっ!」

寸止めされていた根元から手が離れていったと同時に、相手が激しく腰を打ち付けてきてパンパンと肌がぶつかり合う音が響いた。
限界ギリギリまで引き上げられていた欲望が放たれて、歓喜の声をあげながら揺れるままに腰をくねらせた。


「ひぐ、っ、あ、あっ、ああぁ、や、ぁあ…っ、は、ひゃああああっ…!!」


しかし絶頂を迎えた瞬間、さっきまでとは全然違う熱い白濁液が体の内側に注がれて、そのあまりの脈動に縛られた手を振り回して悶えた。

「あ、はっ…きもちいぃ…ッ…」

うわ言のように呟きながら、下半身を麻痺させて最後まで受け止めた。暫くしてペニスが引き抜かれた時には、少しだけ意識が戻ってきた。
でももう思い出したくは無かった。
股間の間から大量の粘液が噴出し、ごぼっと音を立てながら水溜りを作っていくのをぼんやりと放心状態で見つめ続けた。
シズちゃんに振られて、男達に襲われて、寂しさを埋める為に自分から望んで犯されたなんて、そんな事実は受け入れられるはずがなかったのだ。



それから男達に散々陵辱され、たまに意識が戻った時には”平和島静雄”の名前を使って何度も脅された。
自分でも知らないうちに突き刺さった傷が、どんどん深く抉られていってズタズタに引き裂かれていった。あまりにも、酷かった。
だから自身で記憶を操作して、都合の悪い部分を全部忘れたのだ。
よく考えれば体中傷だらけであったけど、一番辛かったのは体のだるさとか腰の痛さだった。でもあえてそこから目を逸らして、シズちゃんと喧嘩してこうなったと思い込んだ。
薬の幻覚作用が変に効いたのが悪かったかもしれないが、簡単に、無意識に思い通りになったのだ。
長年想い続けた恋心さえも、忘れることに成功したというのに。



「クソッ、なんで思い出させたんだ?お前らだって俺が忘れてたほうが都合がよかっただろうに」

注射針の先端からおぞましい液体が注入されていくのを、口元を歪めて苦々しい思いで見つめながら尋ねた。

「確かに昨日は昨日で楽しかったですけど、今日はこういう趣向なんですよ。忘れていた最悪のことを思い出した情報屋さんが、淫らになった自分と対面して快楽に溺れてくんですよ」
「そりゃ催淫剤なんて使えば誰でも気持ちいいことがしたくなるだろう。そんな当たり前のことで俺がショックを受けるとでも?」

「実際に犯されたら、わかりますよ」

眼前の男が注射を腕から引き抜いてニヤリと嫌な笑みで、蔑むような上から目線で見下ろしてきた。こいつは絶対に始末してやると誓いながら、なるべくなんでもないような表情を作った。
昨日の醜態は歯がゆいが、薬の効果が記憶を失うほどでなければ大丈夫だと思った。そう何度も男達の思い通りにはなるはずがない。正気さえ保っていられれば、という考えだった。

「それに今日はきちんと躾けてあげようと思いまして。ただの遊びだったんですけど、実は昨日の映像を知り合いに見せたら、是非あなたとやりたいって言い出しましてね」
「あぁ、それで金取って俺で儲けようっていう魂胆?あんたらが考えそうな汚いことだよね。でも男の俺なんかより女の子を使ったほうがさあ…」

調子に乗った奴らがいかにも考えそうなことだった。もう俺のことを完全に自分達のモノにしたと思い込んでいるらしい。
逃げ道はまだいくらでもあるとわかっていたので、いつもの口調で余裕を見せながら話をしていた時。

「折原さんって随分と恨まれてるんですね。あなたのことを啼かせて苛めたいっていう相手が山ほどいて困りましたよ。実はもう何人も予約が入ってるぐらいなんですよ」
「へえ…珍しい奴らだね」

そこでやっと気がついた。知り合いというのは嘘で、俺を知っていて尚且つ恨みを持っている奴らに手当たり次第に見せたのだと思った。
俺は一度使い捨てれば忘れるが、そんな奴らは調べればゴロゴロと何十人も、下手したら何百人も現れてきそうだった。そいつらなら多額の金を出してでも、俺を陵辱したがるだろう。

「だから俺たちはあんたを素面でよがるように、一晩で仕上げなきゃいけねえんだよ。まぁ昨日ので体のほうは十分だが、もっと溺れてもらわなきゃ困るんだよッ!」
「…っ、あ」

そこで苛立ったように顔を歪めて、乱暴に俺の肩を靴で踏みつけて床にぐりぐりと押しつけてきた。痛みはあったが、反抗心は失わず男を睨み続けた。


「生意気な面晒しながら、男のモノ咥えて悦ぶように調教してやるよ」


その言葉にぞくぞくとした寒気が背中を駆けあがっていったのは、さっきの薬がもう効きはじめているからだと思い込んだ。



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