ウサギのバイク 流れる涙も 凍てついた胸も ⑮
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2010-05-20 (Thu)
静雄×臨也前提 モブ×臨也 ※18禁注意

続き 好きな相手の前で

* * *
「泣きそうっつーか…俺に助けて欲しそうな顔してんじゃねえか」
「は…はあっ!?からかうのもいい加減にしてよ…っ!」

なんでそんなことがシズちゃんにわかるのか、全く理解できなかった。確かに俺はさっきまでこの路地裏に転がっていればいつか見つけてくれるんじゃないか、という予想まではしていた。
そしてその通りになったわけだけど、助けて欲しいなんてこれっぽっちも思わなかった。
ただ会いたいと願ってみただけだというのに、それがどうして”助けて欲しい”に見えるのかわからなかった。

「なんか勘違いして、ない?そりゃ、ちょ、っと…っ昨日より体調悪い、けどさあ…」

話をしている間にも複数のローターは微弱な刺激を与え続けている。本格的に疼きはじめた体はまだ残っていた薬のせいか、完全に勃ちあがって後孔はひくひくと収縮を繰り返しさえしている。
わずかな隙間から残っている精液の雫がとろりと一筋こぼれ、まるで涙を流しているようだった。
昨日と同様にコートの下は裸だったが、前を首元まできっちり閉めきっているので簡単にはバレないはずだ。大きめのコートだったのが幸いしてすべてを隠してくれている。
好きな相手の前で全身が蕩けるぐらいに淫らになっていることを。

「どうせ動けねえんだろ?怪我でもしてんなら新羅んのとこ連れってもいいし…」
「だ、からっ…な、んなのっさっきからあ…俺に仮作らせて陥れたいとでも思ってる、わけ?」
「手前じゃねえんだからそんなことしねえよ。本気でこのままここで寝転がってたいのか?」

盛大にため息をつきながらサングラスの奥の瞳が、じっと俺のことを見つめ続けていた。たったそれだけのことなのに、微かに腰が揺れた。


その時。


『お前見られながらイくの好きなんだろ?』
「え…?」



『すました顔してる癖に後ろの穴はドロドロじゃねえか』
「…っ、ぁ」


「おい…臨也?」


『酷くされんのがイイんだろ?真性のマゾだな』


突然頭の中から聞こえてきた言葉は散々吐かれ続けた、暴言の数々だったのだが、どうしてかそれらが全部シズちゃんの声で再生されていた。本人が目の前に居るというのに。

「う…そ?」

どうしてかは全くわからなかったが、瞬時に頭の中が混乱し同時にさっきからひりひりとした痛みを通り越して痺れるような快楽を受け続けている部分が反応した。

(だめ、シズちゃんっ…見てるのに、見てるのにイっちゃうなんて…!?)

嫌だ嫌だと心の中で繰り返したが、生理的な現象が止められるはずがなかった。しかももうこの数日で百人以上は受け入れて感じやすく調教された体が、いうことを聞くわけがない。

「急にどうしたんだよ、おい!」
「や、だあっ…!!」

大声をあげて拒絶の意志を示したらそれ以上は声を掛けてくることはなかった。
とにかくこれ以上見られまいとシズちゃんに背を向けて、足を折り曲げて膝を抱えるようにしながら歯を食いしばり瞼をぎゅっと閉じた。
中のローターが煽るように震えてそれに流されるままに腰がビクンと跳ねた。


『さっさとイけよ、臨也』

「…ぃ、く…っ…」


喉の奥からやっと搾りだされたかのような弱々しい声を呟いてすぐ、欲望を吐き出していた。しかしパンツは汚れることは無い。
もう何度も空イキを体験していて、これ以上出るものさえなかった。しかし軽い脱力感と荒い息、麻痺するように蠢く腰がすべてを物語っていた。
まだ心臓のドキドキは止まらなかった。というより、怖くて後ろが振り向けなかった。

(い、くら鈍感だからって…これは、気づくよね?どうしよ、なんて言い訳したら…)

こんなシズちゃんの目の前で達してしまったなんて、最低だった。
必死に守ってきたものが音を立てて崩れていき、ほとんど放心状態だった。ほとんど回らない頭で切り抜ける策を考えていたところで。


「よくわかんねえが、おさまったか?」
「ひ、っ…な、なに…」


ひんやりとした手が髪をかきあげながら額にぴったりとくっついてきて、肩を大袈裟に揺らして大袈裟に反応しながら恐怖の悲鳴をあげてしまった。

「あー…やっぱ熱いじゃねえか風邪だ、風邪。外に出るから悪化しやがんだ、家で安静にしてろ」

よっ、と掛け声をあげながら俺の胸のあたりを片手で掴みあげかけたので、とっさに叫んでいた。



「あっ、待って!だめ、やだ、俺お姫様抱っこじゃないとやだッ!!」



案の定腕がピタリと止まり、怒りを押し殺したような低い地鳴りのような声が耳元で聞こえた。

「あぁん?なんだってえ?」

苦肉の策ではあった。まだ実は体は疼いているし、イったばかりだというのに半分回復してきていてこのまま普通に抱えあげられればバレてしまうところだったのだ。
肩に担ぎあげられたら、絶対に硬くなってしまっている部分が直接当たってしまうだろうし、胸に抱かれれば自ら擦りつけるような格好になってしまう。
だからもしこのまま運ばれるのなら、不本意ではあったが両手で体を支えられるように抱えられるのがいいと思ったのだ。
それだったらなんとかコートや手で隠せば最後までばれることはないだろうと考えたのだ。それにしても、もっと言い方があったような気もするが。


「ねえ、ほらどうせ運んでくれるなら優しくしてもらいたいし」

半分は賭けだった。こんなわがままな要求に怒って見捨ててくならそれでいいし、受け入れるならそれはそれでラッキーだと思えばいいのだ。正直どっちでもよかった。
密かに息を整えながら、どう出るかを待っていた。そして数分後答えは出た。

「くそっ、信じられねえ奴だな…でもやっぱ病人を捨て置くなんて俺には無理だ。ヤケクソで手前の言うようにしてやるよ」
「は、はははっ…シズちゃんってほんとバカだね」

そこでやっと振り向いて、本人の顔をじっくりと眺めた。ほんの少しだけ戸惑っているような仕草が、異様におかしく見えて笑いがこぼれた。
まだ胸は高鳴っていたが、傷ついた心がすーっと癒されていくような不思議な感情が沸いていた。

「うるせえ、黙ってねえと舌噛むぞ」

照れ隠しなのか、チッと舌打ちをした後に強引に肩と腰のあたりを支えられながら抱えあげられて、すっぽりと両手で抱きこまれる形になった。

きっと恋人同士でもこんなことは滅多にしないだろうな、と思うとおかしくてしょうがなかった。
体を蝕んでいくような快楽の熱に浮かされながら、一時だけでもそのことを頭の中から消し去った。



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