ウサギのバイク 流れる涙も 凍てついた胸も 21
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2010-05-26 (Wed)
静雄×臨也前提 四木×臨也 ※18禁注意

続き 俺は、誰のモノにも

* * *


冷たい床の上にあおむけに転がると、体の上に四木さんが覆い被さってきた。別に男に抱かれることぐらいそれなりに慣れたしどうでもよかったのだが、胸の内を不安が渦巻いていた。
覚悟を決めたとはいえ、この人に抱かれるというのがどういうことかわかっていたからだ。
半分は脅されてしょうがなく、という気持ちだが、半分は好奇心と自分の欲求を満たすためなのだ。脅されて性行為を強要されなかったとしても、自分から誘ってしまったかもしれないのだ。
それぐらいなにもかもが、切羽詰っていたのだ。

「あの…四木さん…?」

まるですべてを見透かすかのように、じっと俺のことを眺めていたがやがてゆっくりと口を開いた。

「先に言っておきますけど、これはあなたへのおしおきです。だから勝手にイったりしたら、ただじゃ済まないですよ?」
「なんだかヤクザみたいなことを言うんですね。怖いな」

皮肉を篭めて言ったのだが、向こうは笑ったり表情を変えたりすらしなかった。それが至っていつもの四木さんで、なんでこんなことになっているか一瞬忘れかけてしまった。
いつまでたっても俺をガキ扱いする癖に、仕事の件では絶大な信頼を寄せてくれている。今回もそうなのだろうかと、思った。
愛人だのなんだのは結局は戯れでしかなく、俺の体とかそういうのはほんとうにどうでもよくて、仕事や組の為には非情になれる人だ。
崩せるなら、その仮面を剥いでみたかった。焦った顔を見てみたい、と。


「あんまりヤケを起こさないほうがいい。俺を誰かの変わりにするのは、困りますよ折原さん」

「な…っ」

しかし先に釘を指されてしまった。俺がわかりやすい顔でもしていたのかと思ったが、そんなわけはない。読もうと思えば俺だって、これぐらいは読める。ただ今は思考能力が低下しているだけで。
すっかり気分をそがれてしまったが、ちょっとぐらい困らせてやろうという意志は残っていた。

「そうですね、俺も心をあげるつもりなんてありませんよ。でも体の相性がよかったら、どうかな?溺れちゃうかもしれないですよ?」
「それは、おもしろいかもしれませんね」

はっきりと否定も肯定もしなかった。さっきは俺のことを飼い慣らしたいとか言っていた癖に、と思いながら笑った。所轄は本気ではない、ということなのだ。
そしてそこで話は終わりだ、と言うように後ろの入り口に昂ぶった熱い塊を押し付けてくると一気に挿入された。

「っ、あ、やっ…あ、は、んうぅぅっ…!!」

待ち望んでいた刺激が全身を襲ってきて、衝撃に打ち震えた。想像以上の大きさと長さのモノが深々と突き刺さり、一瞬で瞳が蕩けて頭の中が真っ白になった。
翻弄してやろうという気持ちも忘れて、欲望に任せて搾り取ろうという動きに自然となっていた。
頭の隅で、もう肉棒であればなんでもいいんだと、冷めたような悲しさが浮かんだ。きっとこれがシズちゃんであっても、変わらずにただ気持ちいいんだろうなと。

「やぁ、これ、無理っ…お、っき、あつい…は、んぅ、あぁ…ッ!」

すぐに律動が開始されたので、動きに合わせて自分も腰を振って快楽を逃すことなく享受しつくした。派手なあえぎ声をあげて頭を左右に揺らしていたので、四木さんの顔は見えなかった。
ただ低い息づかいが聞こえていたので、それなりに感じてくれているのだろうことは理解できた。
ここでもまた大人の余裕というものなのかと癪だったが、それを抗議するほどの余力は俺にはもう無かった。媚薬の効果も相まって、限界が近づいていたのだ。


「も、だめっ、あ、あぁ…だ、って…き、もちいい、からさあ?は、あぁっ、ん……ッ!!」

「おい待て!堪え性がねえのか、お前は!」

そこでようやく耳元で慌てるような声が聞こえてきたが、止められる程性欲をコントロールすることは不可能だった。


「ひ、あぁっ、イくぅ…っ、はああぁっ、あぁ、あ…!!」


焦らされたせいかはわからなかったが、先端から一滴だけ精液がとろりと零れて絶頂を迎えた。そして数秒遅れて体の中にも白濁液が注がれたので、腰が勝手に跳ねた。
俺だけがイければいいと思っていたのだが、どうやら四木さんまで巻き込んでしまったようだった。怒られるなと思いながら、口元が歪んでいた。

「は、あぁ、は…っ…四木、さんも…イっちゃい、ましたね…っ?」

呼吸を整えるのも忘れて、喉から声を絞り出して嘲笑うように見あげた。すぐに視線が絡まり合い、冷酷を貫こうとしていた表情に焦りが少しだけ浮かんでいるのがわかった。
あの四木さんを手玉に取ったのかと思うと、喜ばずにはいられなかった。ということは体がどうしようもなく淫乱になっている証拠なのだが、そんなの関係なかった。

「ねえ、ど…んな…っ、おしおきをして…くれるんですか?楽しみだ、なあ…」

艶然と娼婦のような笑顔をしながら、自分から腰をずらして中に入ってたペニスを引き抜いて誘惑した。

「ほらこれ、全部…はぁっ、四木さんの、精液…ですよ?元気じゃあないですか…充分」

そこを両手で広げるととろとろと中身が溢れだしてきて、床の上に小さな水溜りを作った。そして四木さんの濡れている先っぽの精液を指で掬い取って、ぺろりと舐めた。
すっかり小さくなるだろうと思われていたそれは、まだ硬さも大きさも保っていて、まだ終わりそうになかった。当然俺の体もまだ疼きまくっている。


「参ったな、こりゃ重症だ。俺はとんでもないもんを、手に入れちまったのか?」
自嘲気味に呟いたが、表情は変わっていなかった。ある程度は想定の範囲内だったのだろう。


「だから…俺は、誰のモノにもっ…なりません、よ?これから、も…ず、っと…」


そんなことを言いながら、未練がましくシズちゃんのことを思い浮かべているあたりが女々しかった。本当に俺はどうしようもない、と。
四木さんと繋がって、ますます忘れそうにないなということを実感していた。
いくら体でよがっていようと、無意識に心の中で振られた相手のことを想ってしまう。逆にそれがあるから、こんなに酷い状態でも保っていられるのだと。


「あぁ、よくわかった。いくらこっちがいろいろ画策しようとも、どうしようもないってな。お前を生かすも殺すも、平和島静雄だけが握ってるってことだな」
「もう振られてますから、死んでるようなもんですけど」
クスクスと、笑い声を漏らした。それにつられて四木さんも笑ったように見えたのだが、違ったようだった。
「その割には全然諦めてなさそうに、見えるが」
「そうですか?」

何の根拠もない話だったが、それ以上はシズちゃんの話なんて聞きたくなくてそっと頬に手を伸ばして言った。


「とりあえず、続きしましょう?ここには道具もたくさん揃ってますから、どんなおしおきでもいいですよ?」


そのまま首筋まで腕をなぞってやると、呆れたような顔をしながらその手を掴んで、床の上に押しつけられていた。


「おしおきって言ってもただお前を喜ばすだけじゃねえか。ほんとだらしねえな」

「褒め言葉として受け取っておきますよ」




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