ウサギのバイク it's slave of sadness 14
2ntブログ
04≪ 2024/05 ≫06
12345678910111213141516171819202122232425262728293031
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2010-10-20 (Wed)
津軽×サイケ前提 静雄×臨也 ※18禁注意

続き 『好きだ』

* * * 「シズ、ちゃん…シズ、ちゃ……っ、あ、はあぁ、んうぅ……ッ!」

両足をはしたなく広げて腰を突き出しながら、うわごとのように何度も何度も好きな相手の名前を呟いた。誰にも聞かれないからこそ、声をあげてその名前をしっかりと呼べる。
扉一枚を隔てた場所に津軽が居るだろうことはわかっていたが、きっとサイケのことに頭がいっぱいで俺を追いかけてはこない。
ここでオナニーをしていようが、そんなことは関係ないのだ。
本当はすぐにでも事務所からから離れたかったけれど、熱く疼いた体がそれを許してはくれなかった。
こらえられないほど、犯してくる声が。

『好きだ』

「あぁ、ぅ…っ、おれも…すき、すきだよ…だい、すき…」

耳から聞こえてきた声が脳まで届き、そのまま全身をぞくぞくとかけあがる快楽に変換されるのでバイブを出し入れする手が休まることはなかった。
媚薬のおかげで異常なまでに昂ぶられされた性欲と、偽りの告白が繰り返し責めてきて、ただでさえ男達の精液で汚れていたというのにもっとぐちゃぐちゃになっていた。
隙間からこぼれた白い液体が太股を汚し、数滴地面にもこぼれている。その中には自分自身の白濁液もほんの少しだけ混じっていた。

「んあぁ、あ…き、もちぃい…シズ、ちゃんきもちいぃよ、やっぱりシズ、ちゃんじゃ、ないと…だめ、だよ」

確かに何人もの男を受け入れたが、そのどんな突きよりもこの声だけの方が数倍よかった。
ただの声だけにこんなに感じているのだから、本人だとどんなにすごいのだろうかと興味はあったけど、サイケみたいにそれを実践することはできない。
多分サイケだって同じことを津軽には、できないはずだ。俺だったら津軽になら、迫って効果を確かめることはしたかもしれないが。

「はぁ、は…こわい、からね…おれは、きずつきたく、ない…もう…」

そういえばもうシズちゃんに随分と長い間会っていないような気がしていた。津軽に毎日会っていてそれで何ら問題ないと思っていたから、すっかり忘れていた。
本人と直接顔を合わせられなければ傷つくことも無いと思っていたが、サイケとシズちゃんとの現場を見てしまったり、津軽を通じて向こうの潔癖さを知ってしまったり散々だった。

「でも…あいたい…な」

次がいつ会えるのか、次なんてあるのかもわからない。

数日は疼きが続くと教えられた体がどこまでもつのかは知らないが、それを鎮める為にはあの男達の元に戻らなければいけならなかった。
そうして犯されて、精神力が耐えられるわけがない。今の何もかもがズタズタに引き裂かれたかのように辛い気持ちを抱えたままでは、行為に耐えられるわけがないのは自分で理解していた。

「だけど、むりだ…こんなに、なったおれじゃ…はは」

ただの嫉妬心から自分の分身を陥れて、その報いを受けて予想以上に快楽がいいものだと知ってしまった今では、シズちゃんになんか会える気がしなかった。
これまでと同じようにナイフを取り出して、切り裂くどころか不敵に笑うこともできないかもしれない。一目会いたいけれど、会えないと思った。

「だ、ってぇ…き、もちいぃ、のすき…になったんだもん。快楽に、にげるのは…すごくきぶんが、いいんだ…っ、ああ、はッ!」

一層激しく指先でバイブの柄を押して中にぐりぐりと擦りつけると、強い振動が襲ってきて同時にぐちゃっと水音が静かな廊下に響いた。
淫悦を味わった瞬間に、いろいろと考えて悩んでいたものが飛んだ。
数秒前まで頭にあったことが、離散して行為に没頭しはじめた。口をだらしなく開いてあえぎ、熱の籠った吐息を漏らし続けた。

「あぁ…っ、はあぁ、んうぅ、き、もちいぃ、シズちゃん…」

『好きだ』

「すき、っ…もっとぉ、おれに…おれを、かんじさせて…ねぇ、イきたい…っ、シズちゃんのこえ、で…」

『好きだ』

遂には目を閉じて、見えなくなったのをいいことにバーテン服姿が乱れているのを想像した。サイケとシズちゃんの情事を見てしまったのだから、想像するのはたやすかった。
切羽詰まったかのような表情をしながら、激しく獣のように突いてきているんだと変換する。

「はひぃっ、んうぅ…あ、そこ、いぃ…か、んじちゃうぅ、から…もっと、もっとぉ、んぅ…!」

空想の中のシズちゃんが、耳元で好きだと囁きながら真下から追い上げてきて、正直もう出してしまいそうだった。けれどこの時間を長く堪能したかったので、少しだけ動作を緩める。
するとすぐに欲しい欲しいと中がひくついて、与えられる微弱な振動に合わせてそわそわと下半身が揺れた。

「じ、らさないで…は、やく…っ、ぜんぶ、ほしい…からぁ…ん、うぅっ、は!」

ねだる言葉を吐きながら、再び律動を開始した。するとすぐに心が満たされるぐらい的確な刺激が与えられて、背筋がびくんと跳ねた。
そうしてすぐ後ろの扉にもたれかかって、絶頂に向かって追い上げるべく腰を振りながらめちゃくちゃにバイブでそこを抉った。

「ん、やあぁっ…これ、すごい…も、やだ、や…あぁ、らめぇ…っ、いぃ!」

『好きだ』

「うん、おれ、も…す、きぃ、これ、おちんちん、すきだよ…んあぁ、はっ、は…お、っきぃの、もっとぉ」

『好きだ』

「シズ、ちゃんのぉ…すき、だから…イって、いぃよね?もう、これ…っ、むり…」

幻の中の姿が、俺の頭を撫でて微笑みかけていた。そんな表情なんて、シズちゃんも津軽も一度もしたことが無かったけれど、照れた時にサイケに向ける表情と少しだけ似ていた。
それだけで満足だった。本物なんて俺にはいらない。
ニセモノだから、イイのだ。
ありえなくて、儚くて胸が苦しいのが、似合っている。
そんな価値しかないだろうことは、自分が一番理解していた。

『好きだ』

「あ、っあ…も、もうぅ…やあぁ、イくっ、イく、でるううう、あ、シズ、ちゃ、あ、はあああんうぅっ、あはあぁんうんん!!」

ビクンと一度だけ大きく全身が跳ねると同時に、腹の上にほんの少しだけ熱い液体が飛び散った。
こんなにも出しているというのに、まだそこから汁液が出ることに純粋に感心していた。人間の体は素晴らしいんだなと冷静に考えながら、肩で息をして整えた。
そこではっきりと意識が戻ればよかったのだが、それを許さないかのように声が囁いてくる。

『好きだ』

「はっ、あ…おれ、もすきだよ」

自慰の最中も繰り返した言葉を、また呟いた。するとすーっと心が軽くなっていくと同時に、ずぷずぷと泥沼に埋まっていくような気がした。纏わりついた泥は、いくら洗い流しても残る。
きっと泥なんかじゃなくて、男達の精液にこれから変わるんだろうなと思いながら、汚れた部分をティッシュで拭きとって身支度を整えて立ちあがった。
壊れるのがわかっていて自分から身を捧げるなんて俺らしくもなかったけれど、この胸に突き刺さった痛みが和らぐのならば、喜んでなんでもしようと決意しながら一歩を踏み出した。


『好きだ』


繰り返される最愛の人の言葉が少しだけ虚しく感じてしまったので、電源を落とした。


NEXT
| 小説 |