ウサギのバイク 冬コミ新刊① LOVEゆーれい
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2010-12-12 (Sun)
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「LOVEゆーれい」
静雄×臨也/小説/18禁/A5/156P/1500円


二人が喧嘩の最中に静雄が怪我を負い救急車で運ばれてしまう
しかし再び臨也の前に現れた静雄は幽霊になったので告りにきたと言い放つ 
実はまだ生きているがそのことを臨也は隠し恋人同士になった二人は生活することに
ちょっぴりエッチで甘い日々を過ごしていたがやがて静雄の容態が急変して… 

切ない系ラブコメで乙女臨也です 新婚かというぐらい甘い二人です

表紙イラスト こう 様
hgk

※サンプル少し追加と値段とページ数決定しました

続きからサンプルが読めます

* * * ※話の前半部分は静雄視点なのですがネタバレなので途中の臨也視点からのサンプルを載せておきます



そうして次に目を覚ました時には、部屋の中が真っ暗になっていた。あぁいつの間にか一人で眠っていて変な夢でもたんだなと思っていたら、目の前のソファからじっと眺めてくる視線があって、恐る恐るそっちを向いた。

「よう、やっと起きたか?」

平然とかけられた声に、俺は縮みあがった。しかしさっきと違って今度は声が出た。

「な、な、なんでシズちゃんがッ!?っていうか、まぎらわしいから電気ぐらいつけろよ!!」
「あぁいやその驚く手前がおもしろくて、ついそのままにしてた」

急いで飛びあがって電気をつけると、その姿が映し出されてその異様さにまた心臓が跳ねた。

「す、透けてるッ!?」
「このほうが説明するよりわかりやすいだろうなって思ってよお。ちゃんと元にも戻せるぜ、っていうかほらこうやって浮いたりできるんだぜ」
「えっ、え、え、ええっ……ゆ、幽霊!?」
「そうだ、それだ。いや、なんでこうなってるのかしんねえけど、とにかく手前と喧嘩の最中に鉄の塊が降ってきて死んだみてえだな。いや、マジで言ってたことが当たったからエスパーかと思ったぜ」

俺の目の前でバーテン服姿のシズちゃんがふわりと浮かび、その異様さに息を飲んだ。そうして幽霊だと言えば、死んだとはっきり肯定した。エスパーだとか言っているのは、多分このまま死んだら後悔するよと昼間に言っていた時のことを指しているだろうことはわかった。
だがこっちにはそんなつもりもなかったし、たまたま当たっただけなのか。というかこうやって見せつけられているというのに、まだ俺は信じていなかった。

「え、本当に……死んでるの?」
「どう考えてもそうだろうが。こんだけ見てまだ信じられねえのかよ?バカか手前、っていうかそうじゃなくて俺は喧嘩してえわけじゃなくて!告りにきてんだよ!」
「あぁそうだよね、なんかさっき明らかな幻聴が聞こえたんだけどどういうことかな?好きとかなんとか言ってたけど……」

はははと口を歪ませていつものように笑ったつもりだったが、ひくひくと頬が震えていたのが自分でもわかっていた。普通じゃない事態に、もうなにが通常の反応なのかもわからなくなっていた。
そしてそう、シズちゃんが俺に好きだと言っていた気がしていたのだが、間違いだよねと思いながらそう告げた。

「う、嘘じゃねえよ!生きてる間からどうやら好きだったみてえでよお……まぁでも死んじまったわけだし、そらなら告白してもいいかなって」
「冗談……じゃ、ないんだよね?本気で俺の事が好きなの?」
「そう言ってるじゃねえか!別に返事はいらねえし、笑いたきゃ笑えば……」

あまりに唐突な出来事ばかりに翻弄されていて困っていたが、一気にすべてを理解した。それはシズちゃんの視線が、本気だということを示していたからだ。
長年顔を合わせてきたから、冗談とそうじゃないことなんてすぐに想像がつく。それに俺ならまだしも、彼は嘘をつくのが苦手だったのだ。

「笑わないよ。驚いてるだけだ……だって、俺もシズちゃんのことがす、好きだったんだもん」

そう正直な気持ちを告げた瞬間、不安そうだった瞳が驚きに見開かれて、宙に浮いたままの体勢で近寄ってきてそのままさっきまで寝ていたソファの上に押し倒されていた。

「お、おいそりゃマジかよ!」
「本当だよ!お、俺だって出会った頃から好きだったし!っていうか入学式の前から知ってたから、こっちの方が先だよ!」
「ふざけんな、じゃあなんで黙ってたんだよ!嫌いって言ってたじゃねえか!実は男同士で気持ち悪いこと言うな、とか思ってんじゃねえだろな?手前嘘つきだからよお」
「人聞きの悪い!それに俺嘘つきじゃないし!好きだなんて素直に言えるわけないだろ!っていうかそんなのお互い様っていうか、あぁもうなんで?なんで死んでからそんなこと言うのっていうか本当に死んでるの!?」

ソファの上でもがきながらなんとかシズちゃんの手から逃れようとしたのだが、それを押さえつけようとしてきて、ドタンバタンと派手な音を立てながら騒いだ。確かにさっきは体が透けていたが今はしっかりと見えているし、さわれているし、とても死んでいる人間だなんて思えなかった。
ありえないことばかり起こってはいたが、不用意に死亡しているだなんて断定していいものか疑っていた。不審な瞳を向けていると、急に動きがぴたりと止まった。

「死んでる、に決まってるじゃねえか。っていうか今更なんて、俺が一番悔しいんだ」
「シズちゃ……ん?」

さっきまで強気だった口調が急にしおらしくなって、真剣なまなざしのまま瞳を悲しげに揺らした。その様子から、やっと現実を思い知った気がしてぞっとした。
だってこうしてふれあってられるし、体は冷たくなんかないし、どう考えても死んでるなんて思いたくなかったからだ。

「まぁいつまでこうしてられるか知らねえが、手前に俺の姿が見えてるんなら利用させてもらうぜ。今日から一緒だなあ、臨也」
「え……?」
「そういやあさっき勝手に風呂入れたんだがよお、入ってきてさっぱりしてきていいか?なんかいろいろあって疲れてるし、それにちゃんと俺も綺麗にしてくるからよお」

いきなり表情がころっと変わって、少し頬を染めながら照れくさそうに言ってきたので俺は何も言えなかった。首を縦に振って頷くことしかできなくて、詳しくは突っこめなかった。
まだお互いが両想いだったと言ったばかりなのにそれらしい話は後だとばかりに風呂に入るなんて言いだして、綺麗にしてくるってことはつまりはもしかしなくてもあそこの話で、これから先何をしようとしているのかと。
とてもじゃないが聞ける状態ではなかった。
軽い足取りで脱衣所の方に消えて行った姿を暫く呆然としながら見つめていたが、事の重大に憤死しそうなぐらい動転した。

「えっ、えぇ!待って、もしかしてセックスしようってことなの!?い、いきなり……ッ!?」

* * *

「いやだから俺はまだ仕事っつーか見えないだろうけどトムさんについてくつもりだから」
「あのねえ、見えない君が勝手に暴れ出したらそれはもう心霊現象になるんだよ?それって逆に迷惑じゃない?」
「こっそりやりゃいいんだろ。とにかく午後からの取り立て先は結構危ねえんだから一人で任せるわけにはいかない」
「あぁそう……じゃあ勝手にしなよ」

こっちがいくら言っても聞かない性格だとは重々承知していたが、こんな時にもそれが発揮されてますます苛立った。女みたいに恋人と仕事のどっちを優先にするのかと聞くことはなかったが、その気分がわかったような気がした。本当に空気というものが読めないのだ。
少しそっけなく告げて踵を返し、そのまま立ち去ろうとした。だがコートのフード部分をぐいっと引っ張られて、それ以上前に進むことはできなかった。

「なんだよ!」
「おいもしかして怒ってんのか?早く帰るからご飯でも作って待ってろって」
「はあ!?なにそれ、何様のつもりなの!女々しいこと言いたくないけど、仕事と俺どっちが大事なのさ!その癖にご飯作っておけとか、何言ってんの?俺はシズちゃんの何なんだよ、また嫁とか気持ち悪いこと言うつもりなのッ!!」
「いや、嫁だろ。男だけど」
「……ッ、な」

シズちゃんは至って真面目な顔で答えた。どう考えても悪いのも、言っていることがおかしいのも向こうなのに、まるで俺が悪いことをしている気分になってしまう。どういうつもりか知らないが、嫁イコール大事な相手と思ってくれいることは伝わってくる。嘘なんてつけないって知ってるから、わかる。
だから、嬉しい。純粋に嬉しいのだが、このままその気持ちに流されてうやむやにしたくはなかった。だってこのままだと、いつ消えてしまうかわからないのだ。

「喜んでんじゃねえか」
「う、うるさいッ!違うそうじゃなくて、シズちゃんは今幽霊なんだよ?誰の役にも立てないのに、そんな無意味なことをするよりは、もっと大切な……」

そこまで言ったところで、急にこっちを睨みつけてくる視線の雰囲気が一変した。優しくてあたたかい空気から、一変して冷ややかで怒りを含んだものに変わったのだ。息を飲んだ時には遅くて、自分が言ってはいけないことを告げてしまい、傷つけてしまったのだと自覚した。
幽霊だから役に立てないことなんて本人が一番よく知っていて、それでもいいからとさっき言っていたというのに、追いつめてしまったのだ。
自分自身の気持ちを優先するあまり、言ってはいけないことを告げてしまったのだ。

「……っ、その、ちが……だから、俺は、俺だって……!」

喧嘩がしたいわけではなかった。むしろこれまでいがみ合ってきたのだから、せめてシズちゃんが生霊になっている間ぐらいは、喧嘩なんてしたくなかった。だったら謝ればいいというのに、俺だって悪気があって言ったんじゃないから、あっさり謝罪するのもおかしい話だった。
ただ今までの距離を埋めるように、二人で一緒にいたいと思っただけなのに。パクパクとただ開いたり閉じたりを繰り返す唇は、本当の気持ちを明確な言葉にはしてくれなかった。
だから結局、聞きたくないと、望んでなかった方の言葉をぶつけられることになった。

「誰の役にも立てないからって、無意味なんかじゃねえ!他に大切なこと?なにがあるってんだ、なあッ!!」
「そ、そんなの考えたらすぐにわかるだろ!シズ、ちゃんの……バカッ!!」

これまで長い間喧嘩をしてきてたくさんの暴言を吐かれたが、にここまで心が引き裂かれるような気持ちになったことはない。胸が苦しくて、苦しくておもわず左手で心臓のあたりをぐっと押さえつけた。
自業自得だ、と頭の中では冷静に現状を把握していた。でも感情的な心は、泣いてしまいそうなぐらい訴えていた。なんで?俺は好きな相手じゃないの?俺より大切なことなの?と。
けれどもそれを口にしないのは、後ろめたさがあったからだ。
本来なら生きていて、今日も普段通りに仕事をするはずだったのを引き留めているのは俺なのだ。全部、全部自分のせいなんだと。だからバカ、と叫ぶのが精一杯だった。
気がついたら俺はシズちゃんに背を向けて、駆け出していた。
悔しさやどうしようもできない歯痒さに耐えきれず、結局俺は逃げる方を選んだ。いつもそうしてきたように、逃げることにしたのだ。
いつものように追ってくる気配はない。当たり前だ。怒らせたのは、俺なのだから。
そのまま一度も休むことなく、振り返ることもなく仮のマンションの前まで着いてようやく息をついた。このぐらいの距離ぐらい、いつもの追いかけあいに比べれば軽いものだった。本当は新宿の事務所に帰ってやろうとも考えたが、さすがにそこまで取り乱してはいなかった。それこそ今の状況でシズちゃん以外を相手にするなんて、面倒だった。
そのまま部屋に戻ろうとしたが、ふとそこで起きてから何も口にしてないことに気がついた。食事を取らなくても問題はないのだが、腰はズキズキと痛いしいつもよりふらふらするのは確かだった。目と鼻の先に小さなお店が目に入って、そこでさっきの言葉を思い出してしまった。

「あーもう、別にシズちゃんの為なんかじゃない。俺の為だから。そう、こんなことなんでもないんだから」

* * *

「それぐらいわかってんだよ。俺が好きなんだろ?好きな相手と一緒になりたい気持ちぐらい当たり前だ。聞きたいのはそんなことじゃなくて、昼間手前が言い掛けたことだ。なんではっきり言わなかったんだ、今までうぜえぐらいしゃべってたのに今更なんで遠慮してんだ。何を隠してんだ?」
「な……なんの、ことっ……あ、ちょっと待って!もう一本とか絶対無理だって、え、あ、やああっ!」
「図星の癖してだから信用ならねえんだよ。恋人に隠しごとだなんて、ありえないと思わねえか臨也」

全く別次元の話をしているようだった。確かに俺はシズちゃんに対して隠し事をしているが、それと俺が昼間言わなかったことは別件だ。
生霊であることは絶対になにがあっても隠さなければいけないことだが、仕事より俺を優先してくれという恋人としての要望はただ躊躇しているだけだった。前者は話す話さない以前に、この関係自体が脅かされるもので、後者はもし言ってしまったら嫌われるおそれがあるものだった。似ているようで全然違った。
本能的に俺が隠しごとをしていることには気がついているが、内容については知らない。この危機をなんとか脱さないといけなかった。
だというのに、バイブが半分ほど埋まっている隙間に横入りするようにもう一本のバイブが押し当てられて、さすがにそれには背筋が寒くなる。それを受け入れるなんて不本意だが、あっさりと隠していたことを話したところで疑われるのは明白だった。
つまりは。

「頭のいい手前ならわかってんだろ?どうあってももう逃げれねえんだよ。苛めねえと気が済まねえ。そこまで本気で俺を苛立たせることを言ったんだよッ!」
「ひ、あ、んはああっ……入らないっ、入んないってえぇ、やだ、あつい、ねえっ、助けて、許して、あ、んうぅっ」

いくらローションで濡らして慣らしているとしても、そんなところに入るわけがない。そう頭でわかっているからこそ、恐怖のあまりに瞳からぼろぼろと涙をこぼしそこに衝撃が訪れた途端に大声で喚いた。思いつく限りの言葉を吐いてなんとか引き抜いてもらいたかった。そこにはもうプライドや意地などは存在していなかった。
しかし予想に反して実際には中を拡張されるように広げられながら、二本目もしっかりと埋め込まれていった。そうして体に変化をもたらした。

「なんだしっかり飲み込んでんじゃねえか。よかったな血も出てねえし、やっぱり淫乱の素質があったんだな」
「ふあっ、あ、はぁん……あっあ、ち、違うっ、て……おかしい、んっ、これ、なんか、俺おかしっ……は、ふっんぅ」
「おかしくねえよ。エッチなことが前から好きだったんだろ?そういう体してたんだよ、そりゃ嵌るに決まってるよな。ほら自分で気持ちいいって言ってみろよ頭撫でてやるから」
「あはぁ、っ、あ、誰が……そ、んなのっ、言うかぁ、んあっあ、気持ちいいなんてっ、感じてなんていない、からぁ、あうぅ」

急に嬉しそうに笑いながら優しげな瞳で見つめてきたが、その奥に欲望が見え隠れしていることは見逃さなかった。こんな風に俺一人だけが乱れているなんて許し難かったが、この状況で冷静でいられる方がまずおかしいのだ。
二本同時にゆっくりと奥へ奥へと押しこまれていって、それぞれが存在を主張しながら中を擦ってくる。すっかり効いていた媚薬の力も借りて、痛みは完全になかった。逆に心地よさを引き起こしていて、そっちのほうが空恐ろしくてしょうがなかった。
痛みには耐性はあるが、勝手に引き出される悦楽に対する耐性はまるっきりなかったからだ。
頭を撫でてやると言われて、そうしてもいいかと考えかけたのも事実だが、だめだだめだと否定した。

「ほら奥まで入ったぞ?中でわかるか?これ結構柔らかいみてえだし、痛くはねえだろ。あぁそっか、よすぎんのか?」
「んはぁ、あ、は……ちがう、って言ってるのにっい、あ、そこっ、ぐりぐりしちゃ、やらああっ!」
「ああ?ここがいいのか?我慢しなくていい、俺は素直な奴のほうが好きだし手前がかわいく喘いでんのもっと見てえ。もっと頭飛ばしてやるからな」

わざとではなかったが、たまたまシズちゃんが両手で交互に出し入れをはじめて当たる箇所が、前立腺のようだった。やけにそこだけ擦られるとひくついて、ぎゅうぎゅうと自ら食いついては思考を薄れさせていった。
あえぎ声に合わせてうまくしゃべれなくなってきたし、唇がだらしなく開きっぱなしだ。いつの間にか気持ちよくなりすぎて、体と心が別の反応をし始めたのだ。
呆然としていたら手が今度は胸の周辺に伸びてきた。嫌な予感がしているというのに熱い吐息をこぼすしかなくて、案の定胸に取りつけられたローターのスイッチに手がふれてカチッという音と共に振動が伝わってきた。

「あ、やっ、ああはあああっ……ふるえ、てっ、やだぁ、こんなとこっ、んはあっ、ふうぅ、ん!」
「すげえ気持ちよさそうじゃねえか。ほらこんなに乳首勃ってんぞ」
「やあああっ、おしつけ、ないでぇ……っ、いたいっ、びりびりして、それ、あ、はぁ、んあっ」

シズちゃんはいきなりなりふり構わず暴れ出した俺の体を押さえつけながら、ニタニタと笑ってテープで固定されてるローターを掴みそのまま押しつけてきた。するとただでさえ敏感になっていたそこが、もっと刺激されて堪えきれないぐらいに愉悦が押し寄せてきた。
痛いと口にしたけれど明らかに違う類の痛さで、ビクンビクンと陸に打ち上げられた魚のように跳ね続けた。

「痛くねえだろうが、もういい加減素直になれよ。ある意味ここまで耐えてるのがすげえけど、そろそろ本当の手前を見せてくれよ」

言いながら胸から手を離し、今度は体の中に埋まっているバイブのスイッチのあたりに手を置いてきた。今それを入れられたら、どうなるかなんてすぐ想像がついた。だから必死に抵抗をした。

「はぁっ、あ、だめ、だめって、やだぁ!お願いだからぁ、スイッチ入れないでよ!シズちゃん、っ、やめて!!」
「強情なのがいけねえんだよ。恨むんなら自分の性格を恨め」

そうしてカチッという音が耳に届いた瞬間には、体を盛大に震わして悶えまくっていた。

「や、っ、あ、あああああっ……あ、はぁん、あ、やあぁっ、助けてっ、これ、らめ……イっちゃ、うからあ、あ、ふはあぁ!」

* * *

「いや、だからほんと離してよ!こんな凶暴なの俺やだよ!」
「わがまま言ってねえで観念しろって。とりあえずその車の陰で後ろからしてやるからよお」
「待って待って!ねえ考え直してって、後で家に戻って頑張ってフェラしてあげるからさあ」
「戻ったら戻ったでまたやり直しすりゃいいだろ。大丈夫だ」

あまりにも横暴で自分勝手で、セックスすることしか考えていない頭に堪忍袋の緒がぶちっと頭の中で切れる音がしたようだった。キッと睨みつけて、口を開き怒鳴り散らしてやろうとしたところで、タイミングを見計らったかのように顔が近づいてきて、そのまま唇に噛みつかれてしまった。

「なっ、あ、んうぅ……っ!んぅ、う!」

慌てて閉じようにも遅く、ぬめってほんの少し熱い舌が口内に侵入してきてそのまま蹂躙を始めた。しかもそれだけではなく、おもむろに俺の体を抱きあげてその恰好のまま数歩歩き出したのだ。体がゆらゆらと揺らされてしまい、余計に動きが掴めずに翻弄されてしまう。
変に体に力が入って硬直し、息までも急速に乱れてしまっておもわず自分からシズちゃんの背中に抱きついて、足を腰に絡めるようにしてしまった。
そうしてようやくトラックの前のドア部分まで辿り着いて、背中をそのまま押しつけられながら一層深く舌が潜り込んできた。

「はっ……んぅ、く……ふぅ、ん」

暫くは目を細めて見守っていたが、やがて観念して力を抜き瞼を閉じて口淫を受け入れることにした。ここまで本気になったシズちゃんを止めることもできないだろうし、流されてしまえと頭の中で誰かが言った気がしたのだ。こんなことで意地を張っているのもバカらしい素直になれと告げてきたのは、目の前の想い人なのだ。
俺も随分と懐柔されてしまったなと思いながら、自分からも舌を突き出して唾液を塗りつけるように絡めた。より一層ぴちゃぴちゃという水音が響いて、ぞくぞくと背筋が震えた。
お互いの息があがっていくのを感じながら、神経を研ぎ澄ましているとドクンドクンと心臓の音が聞こえてきて、もう何度もこうしているのに未だ慣れない自分に笑ってしまった。大抵の事はすぐに覚えて要領よくできるというのに、ただの口づけにどうしてここまで緊張しているのかわからなかった。
向こうだってうまいわけでもないのに、一方的にされていつしか快楽に流されているのは、やっぱり好きな相手だからなんだろうなと考えていた。そうでなければこんなにも、一挙一動に心を乱されることはないだろう。
シズちゃんは俺が変わったとは言ったけれど、向こうだって随分と優しいしこんな必死な姿を見せつけられたら悪い気はしなかった。どうしても甘くなってしまう自分自身に苦笑しながら、行為に没頭した。

「は、あっ……」
「キスだけでその気になってるじゃねえか。そんなにうまかったか?」
「調子に乗るなって、もうっ……う」

やがて唇が離されたので、そのまま全身の力を抜いて後ろにもたれかかっていると、ニコニコと笑いながら平然とした顔でシャツの中に手を差し入れてきた。すぐに全身がビクンと大げさに揺れたが、抵抗はしなかった。するとあっという間に胸に到達して、指先で弄ぶようにしながら尖ったそこを弄りはじめた。
一方的にされる行為を真正面から眺めるのは恥ずかしかったので顔を背けようとしたのだが、その途端に人差し指と中指に挟まれてきゅっと摘ままれた。

「……っ、あ!」
「おいちゃんとこっち見てろ。エロい顔をしっかり俺に見せろよ、わかるだろ?」
「横暴だね、ほんと……っ、自覚してる?」

脅すようにドスの効いた声で言ってきたので、激しい刺激に顔を歪めながら精一杯の抵抗の言葉を吐いたが、どうやら聞いていないらしい。いきなり一気にシャツを胸の上までたくしあげたと思うと、そこに舌を這わせてきたのだ。
これはヤバイと身を縮ませた瞬間に、生あたかい滑りを伴った舌が乳首全体をゆっくりと舐めあげてきた。電撃が全身に走ったようにビクンと震えて、すぐに羞恥心と照れくささで頬が染まった。

「うぅ……っ、く、は」
「もっと声出せよ。どうせ誰も見てねえだろ」
「あ、あっ……舐めながら、しゃべるなって!こんなの勝手、すぎるっ、う」

ただ舐めているだけだったがいきなり話し掛けてきて、そのせいで肌にシズちゃんの息がふっとかかって、少しくすぐったくてむず痒い気分に陥った。そこでようやく自分自身も少し反応を示しはじめていることに気がついた。じんじんと疼くような悦楽が、下半身にも集まって熱をもっている。
まだ少し弄られただけだというのに、どうしようもないぐらい恥ずかしかった。必死に押し殺していた声も、徐々に悦楽の色を帯びてきて甘く響き渡った。

「胸すげえいいみてえだな。乳首勃起してんぞ、このままイくか?」
「っ、う、バカじゃないの!そんなことにはならないし、俺はそこまで変態じゃない!!」
「試してやろうか?」

そこまで言われてやっと、この俺がシズちゃんなんかの口車に乗せられてしまったことに気がついた。いつもはこっちが罠に嵌めたり言いくるめたりしていたので、さまさかそんなことをされるとは思ってもいなかったのだ。いくらなんでもこれは悔しすぎると、唇を噛みしめながらしかし口からは勝手にすればと言葉が出ていた。
頭もぼんやりとしてきていたし、こんないつ人に見つかるかもわからないようなところでしているので別の所に気を使っていたというのもある。だがそれにしても自分からこんなわかりやすい誘いに乗っかっていくなんて、信じられないという気持ちだった。

「すいませんでしたって謝るなら今のうちだぞ?」
「……ッ、そんなの絶対に言わないから!だいたい謝るのはそっちでしょ!人の事好き勝手にして……っ、あ!」
「これじゃあ簡単に勝てそうだなあ臨也くんよお?」

煽るように告げられて、その言い方にいらっとしたので文句を口にしたのだが、不意打ちで舐められているのとは反対側を指で摘ままれてつい声が出てしまった。はっと我に返った時には既に遅くて、自分自身が窮地に追い込まれたことを悟ってしまった。
男だからそんなところで感じるわけがないと信じていたのに、敏感になって硬くなって震えている胸の両突起が憎らしかった。

「卑怯者っ、あ、うぅ……ん、ぅ……」
「まさかそれを手前に言われるとはなあ。でも俺が死んでから完全に立場逆転してるから、しょうがねえか。ほんと実はこんなにかわいい奴だなんて、反則だろうが」

二箇所から同時に与えられる心地よさに、瞳が潤み薄く涙が滲んでいた。イくほどではないが、とても心地いい刺激でもう完全に下は硬くなっていた。それどころか少し焦らされているような気がしていて、もう少し激しくしてもいいとまで考えていた。
でも自分の口から言うわけにもいかなくて、吐息を堪えながら必死に悶え続けた。俺に対してかわいいと言いながら嬉しそうに柔らかく微笑んでいる表情と、痴態を晒している己ではあまりに違いすぎて淫らな行為をしているというよりは、玩具で苛められた時のような疎外感を感じた。
本当は二人で気持ちよくなりたい、早くしようと言いたいのに、唇は震えて言葉を紡ぎだすことはない。それがもうもどかしくてもどかしくて、しょうがなくなっていた。

「はぁ……は、ぁあ……っ、ふうぅ」
「まだ根をあげねえか?もっと素直になれって言ったばかりじゃねえか、守ってくれねえのかその約束?」
「あっ、う……そ、んな約束なんてしてないっ、て!」
「じゃあ本気でやってやるよ。泣いても知らねえからな」

息も絶え絶えの状態だというのに、恥ずかしい本音を口に出来ない俺は、やってしまったと内心ガックリしながら次の刺激に耐えようと瞳を閉じて身を硬くした。しかしそれがいけなかったようで、予想していたのとは違う刺激に派手に声をあげてしまった。

「ふ、わっ……!ちょ、っとど、どこ舐めてるの!」
「怯えてんのがいいなって思ってよお、びっくりしただろ?悪かったな、次は期待通りにしてやるよ」
「えっ、あ、は……っ、あ、あぁ、あ……!」

突然目元に溜まっていた涙を拭うように舐め取られてしまって、あまりの驚きに慌ててしまった。いい意味で予想とは外れてほっとしたが、全身がかあっと熱くなってしまってまともに顔が見れなくて俯いてしまった。しかし次の言葉の意味を理解した時には、鋭い衝撃が胸の辺りを襲った。
握られていた先っぽは滑らかな動きでくりくりと撫でられて、舐めていた方の乳首は舌を尖らせてつんつんと突くようにしたと思ったら裏側でベロベロと舐めてきて、頭が真っ白になった。意志とは関係なしに肩がビクビクと動いて、もうズボンの上からでもわかるぐらいにパンパンに張りつめていた。

「待って、っ……これ、やめてっ、ねえ……んあ、ぁ、シズちゃ、ん?」

さすがに理性が耐えられなくなってきて、やんわりとやめてと懇願したのだが、まるで聞こえていないかのように無視をして、行為に熱中していた。酷すぎない刺激が、どんどん快感を広げていって体の内側から侵食していって、もどかしさを生んでいた。
完全には満たされたい欲求がむくむくと沸きあがってきて、さっきまで頑なにいだいていた羞恥心をそぎ落としていく。

「どうして、っ……もう、苦しいっ、切ないよぉ……あ、熱いし……返事、してよ?」

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