ウサギのバイク 愛縛 ①
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2011-01-22 (Sat)
*リクエスト企画 lean様
静雄×臨也 ※今後の展開で18禁シーンが含まれます

静雄が臨也を監禁する話 切なめ→甘め和姦 微ヤンデレな二人

* * *

それは、ちょっとしたアクシデントだった。
池袋でいつもの喧嘩の最中、道路標識を片手に振り回しながらパルクールを使って人一人がギリギリ通れる路地裏を逃げていく臨也を必死で追いかけていた。
ここ最近姿を見せないと思っていたらやっと現れたところだったので、俺自身もいらいらしていたし、正直殴りたくて殴りたくてしょうがなかった。
やっとのことであいつの背中まであと数メートル、という距離まで追いつめたところで牽制する為に近くにあったゴミ箱にわざとぶつかるようにして、おもいっきり蹴りあげた。
中身が空っぽだったのでそれは勢いよくぶっ飛んで、狙い通りぶちあたる予定だった。けれど寸前で体をずらして避けて、カランという虚しい音だけが響いた。

「あ、ははっ!シズちゃんざーんね…んっ!?」

しかしものすごく狭い場所で急激に方向転換して、咄嗟の事でその先にある物には気がつかなかったらしい。足元には壊れかけた看板が転がっていて、そのコードが足に絡まったのだ。
走ってきた勢いのまま倒れて、受け身も取れないまま地面にぶつかっていった。顔をから突っ込んでいくことはなかったが、転んだ先にもゴミの山があり派手な音が響き渡った。
そうして俺がかけつけた時には、臨也は静かに気を失っていた。

「あぁ?おいなんだあ?なにのびてやがんだノミ蟲くんよお?」

本当に眠っているのか、頭を軽く小突いて確かめるが返事はまるでなかった。それでも信じられなくて、おもむろに頬をつねってやる。
おもいのほか柔らかい肌が俺の指の間に摘ままれたが、何も反応は返ってこなかった。驚きに目を見開きながら、しかし俺の行動は素早かった。
臨也の足に絡みついていたコードを引き抜くと、それを使って手首を縛って動けないようにして、ぐったりとした体を肩に担いで立ちあがったのだ。

「やべえな」

そう口走りながら、既にもう俺は歩き出していた。当然向かっているのは自宅だった。仕事はとっくに終わり、ちょうど煙草を吸ってた時に現れたので飯もまだだった。
こいつの分まで必要かどうか一瞬考えたが、確かコンビニ弁当は嫌だとか高校時代に昼休みの屋上で喚いていたのを思い出した。面倒くさいなと思いながら、足は勝手にスーパーに向かっていた。
何の覚悟も、策略も無く、ほとんど衝動に任せた行動だったが随分と落ち着いていた。
それはここ数日臨也に会っていなかったからだ。その間に必死に頭を巡らせていたのだ。
次に会ったら、絶対に捕まえてもう逃がさねえと。

「しょうがねえな、俺はこいつに惚れてんだし」

ため息をつきながら、数日前に上司であるトムさんに相談したことを思い出していた。



「は?静雄…今なんつった?」
「いや、だからその、イライラしてんのかよくわかんねえんすけど、あいつのことばっか考えてなんかこの辺がもやもやするっていうか苦しいっていうか、これって病気なんですかね」
「俺にはそのあいつって奴が誰か知らないが、それって…恋の病じゃねえか?」
「やっぱり病気なんすか!やべえ、こんなに頑丈な体してんのに病気になるなんてメスも通らねえのに治るわけねえだろ…」

俺が真剣に頭を抱えだしたことに驚きながら、慌てて肩に手を置いて違うと一言告げてきた。そうして恋の病とやらがどういうものなのか、丁寧に説明してくれた。
バニラシェーキを飲みながら静かに聞いていると、とてもわかりやすくてすぐに理解することができた。そうして感嘆のため息を漏らした。

「まさか俺もそんな一般的な感情があるなんて、思わなかったっす。ちょっと驚きました」
「まあ確かに静雄にゃ普通より障害が多いかもしれねえが、一途なお前のことだから大丈夫だろう。頑張れよ」

一通り俺の思っていることも話して事情を察してくれたトムさんは、とても嬉しそうに笑いながら応援してやると力強い言葉を掛けてくれて、感動していた。涙さえ出そうだった。
自分の中だけで考えていた時は辛くて胸のあたりがキリキリ痛んで不可解だったが、今はもうすっきりとした顔で晴れ晴れとしていた。やっぱりいざという時に頼りになる人だ。
それでもい一応恥ずかしかったので、相手の名前は伏せていたのだが、言わなくてよかったと内心思っていた。

「しかし案外独占欲が強えんだな、お前。そういうのは相手に合わせるか、気にしねえだろうと勝手に考えてたんだけどよ」
「はあ…まだそのよくわかってないんですけど、そういうの迷惑なんすかね」
「いやあ、でもその相手って結構浮気性っていうかふらふらしてることが多いんだべ?だったらそこが引っかかるのはしょうがねえだろ。告白した時にでも言ってやりゃいいんじゃねえか」

その相手の気に掛かる点について、誰にでも愛想よくしていて捕まえようとしても捕まえられないと表現したのだが浮気性だと取られたようだった。そう指摘されて妙に納得した。
浮気という言葉からして、あまりいい言葉ではないがあいつのはお似合いだと思ったのだ。
額に青筋が浮いて空になった容器を潰してしまいそうになったので、慌てて呼吸をして心を落ち着けた。隣でもトムさんが、あんま怒るなよと宥めてくれていた。

「なんていうか、俺から見て静雄には強引さが足りないような気がするんだが、この際後の事は気にせずにガツンと言ってやれよ。な?」
「わかりました、努力してみます」

そうして俺の想い人の話はそこで終わったのだが、頭の中で何度も反芻していた。
これが、恋…好きな相手、好き、そうか嫌いじゃなくて好きだったんだ――臨也のことが。
あまりにも衝撃過ぎる事実にびっくりはしたが、考えれば考えるほどそうとしか思えなくなっていた。


そんなことを相談した日に、単独で行った取引先で俺はすごい光景を見てしまった。
金を回収する前にあまりにもいらついた男を気絶させてしまい、仕方なく無断で部屋に入ると、その場で固まってしまった。
部屋中を覆い尽くす写真やポスターに、雑誌の切り抜きなど様々でその中に映っているすべての人間が似たような格好をしていてある意味圧巻だった。
一歩後ずさってよろけたところに本が積み上げてあったようで、足が当たってそれらがバサバサと床にこぼれ落ちた。その表紙に書いてあった文字をおもわず口にしてしまった。

「束縛、監禁…?」

目を疑う文字に驚きはしたものの、心に引っ掛かるものがあって、他にも傍に落ちて開かれた雑誌のページには漫画が載っているようだった。
チラリとそれを覗きこむと、ある台詞が頭の中に飛び込んできた。

「好きだから、離さない、逃がさない…だと?」

その瞬間ドクンと全身の血が熱く滾るような感触がして、頭の中の誰かの姿と今現在目に映っている写真の姿とが想像の中で一つになった。あまりのことに額を押さえながら、これはヤバイと呟いた。
男が気絶から覚めるのが待ち切れなくて、頬を引っ叩いて起こしてやると、脅すような口調で言った。

「いいか借金滞納して逃げようとしやがるなんて最低な行為だ。けど金をきっちり払って俺の言うことを聞いたら、ボコボコにして警察に突き出すのだけは許してやるよ」

実際にはこいつは夜逃げしようとした意外に犯した罪などなかったので、警察に突き出す必要なんてなかった。けれども俺は、自分の目的を達成したくて嘘をついたのだ。
でも不思議と罪悪感は沸かなかった。相手が最低な下種野郎だとわかっているからだ。
だからきっと、あいつにも嘘はつき通せるだろうと、確信した。
まさか手に入れた物をこんなにも早く使うことになろうとは、思わなかったけれど。


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