ウサギのバイク LOVE ELECTRON DRUG ⑧
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2011-03-26 (Sat)
*リクエスト企画 アッシュ 様
静雄×臨也+サイケ ※18禁注意

静臨前提でブラックでヤンデレなサイケが電子ドラッグを使って臨也を襲い静雄が助けに来る話
サイケは臨也が大好きで静雄が嫌い 臨也が割と酷い目に遭います

* * *

(やばい、やばい、やばいバレちゃう…!?だめ、それだけは絶対に……!)

焦りとは裏腹に真っ直ぐこっちを見る視線とはっきりと目が合って、胸の奥がズキンと痛くなった。本当に好きな相手に、久しぶりに見られているのだからこの反応は当然だった。
でも俺の心は不純な方へと働いてしまう。さっきまではうっすらとしか開いていなかった唇が大きく開き、扉に縋りつくように片手を当て反対側の手は後ろに延びた。
こんな時に何をしているのだろうという考えは、一時的に消えていた。オナニーをしておいてというサイケの言葉だけが、頭の中を占めていた。
だから俺は、大好きな相手と数メートルの距離で自慰を始めた。当たり前のように埋まっているバイブをゆっくりと引き抜くと、中が擦れて甘い声が漏れた。

「ふぁっ…ぁ、ん…っ」
「おいなんだよこんなところにクローゼットなんて置いて、なんだ?こんなもん無かっただろ」

不審に思ったのか興味を持ったのか、シズちゃんがゆっくりと近づいてきてクローゼットの目の前に立った。手を伸ばせば届くほど傍にいるのに、何も言えないのがもどかしかった。
その気持ちの変わりに、どんどん手の動きが早まっていく。元々中に埋まっているバイブと、出し入れして振動させているバイブが擦れ合って信じられない刺激を与えてきた。
うっとりと快感に酔いながら、目線は離せない。極力声を出さないようにはしているが、深いため息が漏れた。

「は、あっ…あ…うぅ、ん…やぁ、あ」

ぐちゃぐちゃと卑猥な水音はクローゼット内に響き渡っていて、もしかしたら聞こえるのではないかと危惧したが、全くそんな様子はなかった。
おかしいなと思っていると、今になって俺に成り代わっているサイケが説明するのが耳に届いた。

「それね、変わったクローゼットなんだよ。中に入ってれば防音もすごいし、もし誰かが急に部屋に忍び込んで来た時に役に立つかなって買ったんだ。まだ二階に運べてないからそこに置いてあるだけだよ」

多分シズちゃんに対しての言葉なのだろうと思ったが、目線は明らかに俺の方を捉えていた。じっと見つめて、口元を歪めて笑っている。
じろじろとクローゼットを観察している本人には、どんな顔をしているかは伝わっていない。サイケが俺に対して、もっと声をあげて自慰をしていいよと言っているように見えた。だから。

「ん、あっ!あ…き、こえ、ない…っ?」

少しだけ声を大きくして喘いだのだが、扉の外は全く変わりは無かった。本当に防音設備が整っているのだろう。それを悟った瞬間から、たかが外れたように止まらなくなった。
必死にバイブを前後に抜き差しさせ、自分の腰も合わせて振る。そうして快感をしっかりと得ながら、滅茶苦茶に言葉を吐いた。

「あ、あはぁ、あ、シズちゃ…シズちゃあんっ、おれ、ここにいるよぉ…ねえ、きづいてっ、それで、あ、きもひいぃこと、してぇ…!」

助けてと言うところなのに、俺はそれを口にしなかった。変わりにセックスをして、気持ちよくしてと言った。今一番願うことがそれだなんてバカだと思いながら、懇願するのを止めなかった。
これまで何度もサイケにいろいろなことをされて淫らにされてきたが、一番興奮していた。シズちゃんの前で自慰をすることに、最高の悦びを感じていた。

「ふあっ、あ、シズちゃんに、おかして、ほしいよぉ…ぐちゃぐちゃに、して、せーえきぶっかけられて…イきたいよぉ…んあぁ」

荒い息を吐きながら、バイブの入った後孔からぽたぽたと粘液がこぼれていく。それはサイケが中に出したままの精液だったり、俺が感じて濡れているものだったりとにかく混じり合っていた。
だらしなく口の端から唾液を垂らし、上半身までも扉に押さえつけて乳首が冷たい扉に擦りつけられるのにまた喘いだ。全身を揺すり、とにかく快感を得ようと蠢く。

「なあ、中は見れねえのか?」

その時、すぐ傍で掛けられた声に驚きを隠せなかった。手を伸ばせば、開けられる距離。しかも力を込めれば、シズちゃんだったら簡単にそれができる。やばい、と本格的に危険を感じた。
それなのに、手は止まらなかった。逆に、もっともっとと言うように動きもなにもかもが早まっていく。そうしていつバレるかわからない恐怖と、悦楽の狭間で悶え続けた。

「やあっ、あ、みちゃ、らめぇ…あ、でも、みられ、たいっ、あうぅ…シズちゃんに、みられてぇ、もっときもひよくなりたいよぉ、あん」
「まあ実は、厄介なものがそこに入っててさ。企業秘密だからシズちゃんにも教えられないんだよね。あぁ死体じゃないよ?」

クスクスと笑いながら言うサイケに、俺は少しだけ安堵のため息吐きながら、残念とも思った。ここまできたら、見つかってもよかったのに。だって今の俺はサイケなのだ。
いざとなったらいくらでもいいわけなんてできるし、折原臨也は居るのだから、俺自身と入れ替わっているだなんて思わないだろう。だから本心を見られてもいいのにと。

「なんか、臭うんだよなあ。なんでだ?変だぞ」

言葉の後シズちゃんの視線が、間違いなく俺と合った。と言っても向こうからは全く見えないので、疑似的でしかない。でも間違いなく俺の体をじっくりと眺めていた。
だから俺は興奮した。心臓がバクバクと早くなり、一気に絶頂へと駆けあがっていく。そうしてそのまま、果ててしまった。

「ふあっ、あ、んあああっ、あ、イっひゃうぅ…シズちゃ、んにみられてぇ、あくめしちゃうううぅあ、ああんんううぅう……!!」

下手したら部屋中に響き渡るのではないかと思うぐらい大声で叫んだ。そうしてガクガクと腰から下を揺らすと、つられてヘッドフォンから延びたコードが根元を締めつけた。
それがまた気持ちよくて、でもペニスの先端から精液は全く出なかった。もう出さなくてもイくのが当たり前になっていて、その方が癖になるほど気持ちよかった。
だから常にコードで戒められていても、何ら問題はなかった。むしろ、ずっとこうしてて欲しいとさえ思った。

「はぁ、あ、っ…きもひ、よかっらぁ…シズちゃん、すごいよかったよぉ…んあぁ、あ」

肩で息をしながらそう感想を述べたが本人に伝わるわけがない。とりあえず呼吸を整えるようにクローゼットの中の床に手をついて、肩で息を繰り返した。
その間もシズちゃんから目を逸らさなかったが、唐突に背中を向けられた。その瞬間に、胸が酷くズキッと痛んだ。これまでにないぐらい、苦しいものだった。

「おかしいな…くそっ。妙なことしてんじゃねえぞ臨也」
「えっ、シズちゃん…行っちゃうの?ここに、俺が居るのに…っ、ねえ!俺はここ、だよ、臨也は俺だから…違う、違う、ちがうっ!!」

しかし必死の叫びは虚しく響くだけで、誰にも届かなかった。そのことに愕然として、打ちひしがれた。目の前がぐらり、と揺れた。そしてそのままクローゼットの奥の壁にもたれかかり座り込んだ。
まだ二本のバイブは刺さったままで、振動は激しいままで中で蠢き刺激を与えてくる。でも、そんなことは関係なくなっていた。

結果として、シズちゃんは俺とサイケを見分けられなかった。それほど完璧に、サイケが俺を演じられたという悲しい事実だけがわかった。淡い期待も何もかも打ち砕かれて、俺は呆然としていた。
暫く放心状態でいると、扉がゆっくりと開かれて目の前にサイケが立っていた。そうして、嬉しそうにニコニコしながら言葉を吐いた。

「残念だったね。あとちょっとだったのに、シズちゃんは気がつかなかった。面白かった?」
「サイケ…っ、お願いが、ある」
「ん?どうしたの臨也くん?」

今の状態がおかしいこと、サイケもウイルスに侵されていること、俺の体も人ではなくなっていること、全部わかっていて、でもそれを告げた。

「全部、消してよ記憶を。サイケのことだけでいい…もう、俺はサイケだけでいい。辛いんだ…シズちゃんのことを思い出したって、苦しいだけだった」
「せっかく思い出させてあげたのに、いいの?臨也くん自身がそれを選んで、後悔しない?」
「いいんだ…俺はもう、サイケだけいればいい。サイケが好き、だから…なんでもするから、だからっ…」

ぼろぼろと瞳から滝のように涙を流しながら、感情のままに言葉を吐いた。苦しいから逃げるなんて、随分と憶病だったが俺は昔からそうだった。
サイケに励まされてシズちゃんに告白したけれど、きっとそうされなければいつまでも一人だった。恋人として楽しい日々があったけれど、今はそれを思い出すのも苦痛でしかなかった。
最後の希望は断たれて、後には苦い想いしか残らなかったから、もういいと決めた。こんな俺でも好きでいてくれる相手と幸せになったほうがいいと、選択した。
きっとこのことをシズちゃんが知ったら、どうして勝手に決めたんだと怒鳴られるだろう。でもこんなにも無様な姿は見せたくなかったし、拒絶された時を考えると怖かった。
こんな体の俺なんかいらない、と言われた時のことを思うと、もう諦めるしかなかった。

「ごめんね、ちょっと苛めすぎたかな?そこまで追いつめるつもりはなかったのに」
「でもこれでよく、わかったから。サイケだけを好きになる決心がついたから。最初からずっと俺だけを見てくれた君を、やっと心から好きになるから」
「嬉しい、嬉しいよ臨也くんっ!」

俺の言葉にぱあっと笑顔になり、勢いのまま体を抱き上げられてそのまましっかりと二人で抱擁した。俺は一度だけ目を閉じて、それからゆっくりと見開いた。
すると眼前にサイケの瞳があって、俺と同じピンク色に輝いていた。それが嬉しくて、うっすらと微笑みを浮かべながら自分から顔を寄せた。
そうして、お互いの唇と唇がふれあった。

「ん…っ、う…ふ、はぁ……」

熱い舌が絡まり合い、その度に頭の中で何かがバチバチと音を立てていくような気がしていたが構わなかった。直接ふれあうことで記憶が消えていくことも、知っていた。
知っていて自分から求めた。だから必死にサイケの事だけを考えながら、応えた。
本当は誰の事が好きだったか、自分は人間だったとか、それらも全部放棄して快感に溺れることだけを選んだ。
ごめんね、と心の中で謝ったがそれはシズちゃんに対してだったのか、サイケだったのかわからなかった。

でも、勝手にいなくなることと、サイケをウイルスから助けてあげられなかったことだけが心残りで、それが記憶の片隅に残った。

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