ウサギのバイク 新刊 好きだから言えなくて
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2011-03-20 (Sun)
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「好きだから言えなくて」
静雄×臨也/小説/18禁/A5/100P/900円


好きだと一方的に告白されてつきあうことになったが臨也の態度が信じられない静雄は
何度もデートの約束をすっぽかして最終的に別れてしまう
暫くして男と淫らなことをしている姿を見てこれが臨也の本性だと知り再びつきあうことに
うまくいっていると思っていたが臨也が男に襲われているビデオが届いて真実を知って…

臨也が静雄をすごく好きだけど静雄はすぐ気がつかなくてすれ違い勘違いで切ない系
一途だけど可哀そうな目に遭う臨也と不器用で鈍感な静雄がテーマの話

※モブ×臨也の表現がありますのでご注意下さい
※以前発行したコピー本『赤く赤く舞い踊ろう花のように散らして』の完結&修正版です


表紙イラスト一部:静岡おでん様
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続きからサンプルです
※コピーで発行した内容+新しい部分なのでいつもより長めです
* * *

「その、俺の事が嫌いなのはわかってるけどさ……チャンス、っていうか、試しにつきあってくれないかな?少しの間で、いいから」

それまでこっちを頑なに見ようとしなかった瞳が、やっと俺のを向いてあまりにも予想と違うものに戸惑いを隠せなかった。表情を見てしまって、なんとか断りの言葉がないか探していた思考が、停止した。
真っ直ぐな瞳に頬を紅く染めて、その目元にうっすらと涙が滲んで潤んでいるような気がしたからだ。もしかしたら気のせいだったのかもしれないが、それでもすぐに見間違いだと切り捨てることはできなかった。ざわざわと、胸の中が嫌な感じに揺らいでいる。
こんなのは、いつもの敵対する仇敵の折原臨也とは違う。
なにもかもが違いすぎて、混乱しかなかったのだ。

「それに、何でもしてあげるから……ねえシズちゃん、俺の調べが確かならまだ童貞だよね?気持ちいいこととか、してあげるからさ……」
「な……ん、だよそれ……ッ!」

やっとそこで喉の奥からはっきりとした言葉が出た。呆けていた意識が強引に戻ってきたのは、その言い方や誘い方が普段の臨也だったからだ。
認めたくはないがこいつは男の経験が豊富で、仕事にも自分の体を使うというか、自分の利益の為に身を差し出すことぐらいしていてもおかしくなかったからだ。真実は知らないが、俺は勝手にそう思い込んでいた。そういう素振りを今までこいつが何度と無くしていたからだ。昔からこいつの周りには女よりも、男の方が寄ってきていたのだから。
だから一瞬だけその時の様子を勝手にを想像して、不覚にも下半身が少しだけ反応した。ほとんど無意識だった。

「今日は口と手だけで、いいから……さ、その……さ、せてくれない、かな?」

* * *

しかし次の日おかしな電話がかかってきた。

『ごめんね……その、実は仕事でトラブって昨日は約束の時間に行けなかったんだ』
「……そうか」

時間は真夜中で、すっかり寝入っていたのに着信を取ってみればいきなり神妙な声で謝られて、こっちが面食らったぐらいだった。
待ち合わせに行かなかったのは俺の方なのに、臨也は自分が行けなかったから俺を待たせたのだと言ってきたのだ。本当に行けなかったかどうかなんて確かめようがなかったが、普通の神経なら約束をすっぽかされたら怒っているはずで、だったら本当にそうだったんだろうと思い込むしかなかった。
しかしここで同じように俺も約束を守れなかったと言うのは癪だったので、返事をするだけに留めておいた。するとまた次のデートの約束をしようと切り出されて断りきれなくて、結局はまた夜に会うことになったのだ。
けれど当然俺は行くつもりなんてなかった。
どういうつもりか知らないが、もう少し様子を見る必要があると思ったからだ。例えば待ち合わせに行ったら罠が仕掛けられていて、嵌められるとかそういうことが頭をよぎったのもある。また同じようにホテルに入ってもセックスなんてしない、なんて惨めなことをされたくはない。
それに一度でもその会う現場を見に行って臨也の姿を一目見てしまったら、この間のように流される気もしたからだ。だからあいつが来なかった真実なんてどうでもいいから、とにかく俺は絶対に行かないとはっきり決めた。
そうして今度こそ完璧に約束を破ってやったと思ったら、次の日も同じ内容の電話が掛かってきた。そうして同じように何か事情があって行けなかった、と説明を受けた。
さすがに二度目となるとおかしいと感じるしかなかった。

『ごめんね、でも今度はちゃんと待ってるから。シズちゃん……大好き』
「はあっ!?って、おい!あぁ畜生切りやがって!!」

* * *

「こんなところでなにやってんだ?臨也くんよお?」
「シズ、ちゃん……」

向こうは男達を蹴散らしたことに心底驚いた表情をしていたが、突然乱入してきたことに対してはいたって冷静だった。こいつなら男達に逃げろと指示を出したりそういう余裕が出来たはずなのに、一言も口に出さずに目の前でなぎ倒されていくのをただ見ていたのだ。もしかしたら、俺が覗いていた気配を感じ取っていたのかもしれない。
だからこっちが鋭く睨み付けても、全く怯むことなく呆れたような表情を浮かべていた。数日ぶりに見たが、俺に愛を囁いてた時の表情とはまるっきり違っている。これが本来の、よく知る折原臨也という人間だ。

「久しぶり、だね。で、どうしたの?こんなことしてくれちゃってさ。あーあ、俺どうしたらいいんだろうね」
「手前の事情なんて知らねえよ。一方的に別れだけ告げられて、納得してると思ったか?簡単に逃れられると思ったか?」
「え……今、なんて……?」

さもついさっきまで臨也と別れたことを悩んでました、という言い方で脅すように告げたがが、本当はつい数秒までは別れたことすらそんなに後悔はしていなかった。随分と都合がいいが、どうせ知らないんだろうから騙しても平気だと思った。
こいつだって俺にいろいろと隠して、まんまとそれに騙されていたのだから。俺が唯一嘘をつくのは、こいつにだけだ。

「なあ、俺の知らないいつの間にこんなことしてやがったんだ?実は最初からこんな淫乱だったのに騙してたんだろ?まぁどっちでもいいけどよお、これおさめてくれんだろ?」
「はは、あははははっ!本当にシズちゃんったら、野獣並の性欲だよね!そんなに俺のエッチな姿見て興奮しちゃった?しょうがないよね、俺って魅力的だからさ」

こっちの脅しに対して屈しないどころか、いつも以上に楽しそうに笑いだして一度殴ってやろうかと思ったぐらいだった。しかしそんな時間も惜しいぐらいで、体はすぐに行動していた。
床にぺたんと座り込んでいる臨也を正面から引き倒して、四つん這いの格好にさせると後ろから尻にしがみつくように手を伸ばした。

「もう……っ堪えるってことを知らないんだね。いくら今まであいつらとしてたからって、そんないきなりなんて……」
「ああ?できるだろうが。あんなに嬉しそうに咥えてたじゃねえか、それとも俺のがでかすぎて入んねえとか?」
「ふ、ははっ、上等だよ。いいよ、もう散々ヤってほぐれてるからさっさと突っこめばいい。あぁ、フェラして濡らしてあげようか?」

* * *


「どうして……っ、うぅ……俺の、せい?でも、助けに来て……くれたってっ、約束に来てくれれば、何かおかしいってことぐらい……う、あっ」

ただの言い訳にしかすぎないのに、責めずにはいられなかった。
本当は最初に確認しなくて、自分の都合のいい解釈で浮かれていたのが悪かったのだ。優しいから怒らないのだと、勝手に思い込んでいたのが余計にこんな事態を招いてしまったのだ。だから自業自得なのに。

「俺は……っ、シズちゃんの何だったの……?もしかして、ただの嫌がらせ……?そうだよね、シズちゃんが……本当に俺の事をっ、うぅ……」
こんな真実、気がつきたくなかったのにと思いながら口にした。
「好きに、なるわけが……ないんだ……」

涙で視界が歪んで何もかもが曇って見えた。考えても考えてもどうしてこんなことになったのか、根本的な理由がわからなくて最終的に出した結論がこれだった。
だって、証拠がみつからなかったのだ。
言葉も、態度も何一つ。
俺の事が本当に好きだという証拠が、何一つみつからなかったのだ。

「嫌いだって……言わなかったのは、っ……俺をこんな風に傷つける、為だ……全部全部俺は、なんてバカなことをっ」

溢れ続ける雫を止めることもせず、ぼろぼろと流し続けてひたすらに泣いた。けれどもそう簡単に、おさまるものではなかった。
最高の嫌がらせをされていたのだとしても、だから復讐しようとか、嫌いだとかそういう気にはなれなかった。まだ、好きだった。騙されても、気持ちは変わらなかった。
男達に襲われたことも、酷いことをされたことも、後悔はしていなかった。

* * *

「逃がさねえ。どこにも行かせねえ、行くな。大人しくしてろ」
「……ッ!ちょ、っといきなりこれはないんじゃない?強姦プレイが好みなの、知らなかったなあ」

我に返った時は、臨也の手首を掴みすぐ傍の壁に体ごと押さえつけて動けないようにしていた。ただの嫉妬とわがままな独占欲、という言葉が頭をよぎったが考えないようにした。
とにかく必死だったのだ。こいつを外に出したらダメだと、そればかりを考えていた。
鋭く睨みつけながら、違う違う、本当は優しくしてやりたいのに、と相反する感情がせめぎ合っていた。

「ねえシズちゃん……ちょっと、落ち着いてよ?あのさあ、一つだけ言っていいかな。すごく大事なことなんだけど」
「なんだ?言ってみろよ」

なんとなく、嫌な予感がした。臨也の顔が笑っていなかったから。
そうして、衝撃的なことを告げられた。

「実はさあ……最初に好きだって告白したのあれ、嘘なんだ。君と体の関係を持ちたくて、気を引く為に言っただけなんだ。シズちゃんが童貞だっていう噂を聞いて、からかってやるつもりだったんだよ。まあ相性がいいのはわかったからだらだらと関係を続けてたんだけど、そろそろ……」
「そろそろ飽きたって言いたいのか?」

なんとなくそんな気はしていた。俺の事を面倒くさいとか言っていたのはしっかり覚えていたので、いつこう言われてもおかしくないだろうと予測はしていた。まさかこんなに早いとは思わなかったのだが。
でも、それにしても許せなかったのは俺に対して嘘を平気でついたことだ。
あの告白までが嘘だった、なんてそんなことを言う必要があったのかと。

「そうなんだ。俺は自分の目的なら何でもできるような最低な人間だって忘れてたでしょ?君との数日は楽しかったけど、でも」
「でも終わりだって言うのか?前言ったみたいに、別れようとでも言うのか?」
「ははっ、だからさあ、つきあってなんかいなかったんだって。俺はシズちゃんのことは今でも嫌いだし、毎日連絡あって迷惑だって思ってたんだ。全部好奇心で数日過ごしたいだけで、これっぽっちも好きなんかじゃなかった。ねえ、ムカツクでしょ?ショックだったんじゃない?」

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