ウサギのバイク 男性も安心の大人の専門店「池袋最凶」 ⑧
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2011-04-03 (Sun)
*リクエスト企画 ぷぅ様
静雄×臨也

パラレル。アダルトグッズの実演販売を臨也の体を使ってモブの前でする静雄の話

* * *


「おい、臨也」
「一人に、して欲しいんだ…ごめん」

俺はその日、始めてシズちゃんを拒絶した。二人しか居なくなった店の中で、動けなくて床にうつぶせになりながら呆然としながら小声で呟いた。
昔のドラッグはもう克服できたはずだった。きっとももう、症状は出ないと自分自身で確信している。だって、今日の方がもっと酷い状態だったのだから。
男達の欲望は尽きなかったし、結局深夜前から始めて翌朝まで続いた。何十人も受け入れて、汚されて、本当に精液の水たまりが俺の周りにはできていた。
バケツでぶちまけたかのような大量の白濁液がどろどろに散り、当然体もまみれていた。玉を受け入れていた時とあまり変わらないぐらいお腹が膨れていて、中は精液しか入っていない。
全身が疲れ切って動けなかったので、手を貸して貰えば早くここを綺麗にできるのに、床を見つめたまま何も言えなかった。わざと言わなかった。

それはもう、俺が決めたことだ。

シズちゃんにはこれ以上、こんなことに関わって欲しくない。汚い俺にふれて欲しくない。本当は抱きしめて一番に慰めて欲しかったのに、それを本心で喜べないのがわかっていたから、拒んだ。
足音がゆっくりと去っていくのを聞きながら、枯れ果てたはずの瞳から涙をこぼした。聞かれて欲しくないので、声はあげない。ただ目の端からポロポロと静かにこぼした。
完全に気配が消えたところで、少しだけ下半身を動かすと、そこからどばっと大量の白濁液がこぼれておもわず甘い悲鳴があがった。

「ふあ…っ…ぁ…」

こんなにも心の中ではショックを受けているのに、浅ましい体は微かに快感を覚えていた。その事実に唇の端が歪み、喉の奥からククッと笑いがこぼれた。
チラリと時計を眺めると店の開店までそんなに時間は無い。だから床に手を突いて、ゆっくりと体を起こす。さっきまで動けないと思っていたのに、一人になった途端に動けるようになった。
もうシズちゃんが助けてくれなくても、俺一人で何でもできるんだと改めて思い、嬉しいことのはずなのに胸が締めつけられた。

退院してから一緒に暮らした日々は長くは無かったけれど、幸せだった。好きな相手の傍に居れることが嬉しかった。でも、もう終わりにしなければいけなかった。
決意すると行動は早かった。いつもと同じように少し離れたところに置いてあった店の椅子にはタオルが置かれていたので、それを取り汚れた全身を拭きはじめる。

「もう、大丈夫だから…」

自分自身に言い聞かせるようにしながら、少しだけ強い力でゴシゴシと肌を拭った。肌が赤くなるのも構わず、暫く続けた。



それからシャワーを浴びている間に通常営業のお店の方が始まったようで、部屋の中にシズちゃんの姿は無かった。それにほっとしながら、久しぶりに自分の携帯を手に取った。
あの事件があった後はもうほとんど見ることはなかったし、そんな気分にもならなかった。だからメールは随分とたまっているようだったが、それには目を通さなかった。
アドレス帳を開き、とある相手に手短にメールを打った後にソファへと座った。返事が来るまで休もうと目を閉じると、すぐに睡魔に襲われた。

「大丈夫か、臨也?」

「ん…っ、え……?」

そうして暫くして誰かに揺すられたことで目を覚ますと、目の前には仕事をしているはずのシズちゃんが立っていて驚いた。驚いた、なんてものじゃない。


(なんでっ!?どうして、シズちゃんが…俺の傍に、さわって、ふれて、だめ、だめだ…こんな汚い俺なんてさわらないで、見ないで、お願い、お願いだから…ッ!!)


頭の中は一気にパニックになり、慌てて大袈裟に一歩後ろに移動すると、全身がガクガクと勝手に震え始めた。そうして、呼吸も苦しくなる。

「なんだ?いつもの発作と、違う……?」

「だ、め…ッ!さわら、ないで…っ、あ、はぁ…は…!!」

大声で叫ぶと伸ばされた手が途中で止まった。でも俺は悠長にそれを見ていられなくて、体を折り曲げてソファにしがみつきながら呼吸を整えようとした。
その時、部屋のチャイムが鳴った。俺達がここに住んでいるのを知っているのは、今の所一人しかいない。さっき、メールで呼び出した相手だと思ったので体が痛むのも構わず立ちあがり玄関まで駆けた。
そうして既に扉を開いて中に入ってきていた人物に向かって声をあげ、全身で体当たりする勢いで飛びついた。

「四木さ…んッ!」
「どうした臨也?おい、何があったんだ…?どういうことだ、平和島ッ!!」
「違うっ、シズちゃんじゃない、から!待って…二人で話、したい」

突然俺が取った行動に対して拒むこともせず、逆に胸の中に抱きこんでくれた。優しい声で尋ねてくれながら、背後に居たらしいシズちゃんに対しては厳しい口調で問い詰めた。
だから慌ててスーツの端を握り、違うと訂正した。そうして服にすがりついて懇願すると、俺達のすぐ横をシズちゃんが無言で通り過ぎていくのを感じた。
怖くて顔をあげることができず、扉が閉まるまでの数秒が長い時間のように感じるぐらい感覚がおかしくなっていた。そうして下に下りて行く足音が完全に消えたところで、話始めた。

「元に戻った、と思ったのに…さっきシズちゃんにふれられたと思った時に、急に息苦しくなったんだ。他の人相手にはそんなこと、もうならないのに、どうしてかシズちゃんにだけは…」
「戻ったってそんなに発作が簡単におさまるもんか。何をしでかしたんだ」
「何十人もの男相手にセックスしたんだよ。全身に精液ぶっかけらるだけじゃなくて、中に入れられて喘いで気持ちよくなって、前の事件以上に酷いことになった。でも、いつもみたいに変に震えたり怖いなんてまるで思わなかった。だから戻ったと思ったのに、どうしてだろう」

俺がポツリポツリと話し始めたので、背中に手を回して上下に撫でてくれながらずっと四木さんは聞いてくれていた。あの事件の後も、ずっと気遣ってくれていた。
でもその時の俺はシズちゃん以外の人間とは怖くて話もできなくて、けれども最近は随分と良くなっていて前のように振る舞えるようにもなった。そうして今は、完全に戻っているはずなのに。

どうしてか、怖かった。シズちゃんにだけ、ふれられるのが。

これまでは、シズちゃんしか俺にふれられなかったのに。

「そりゃあ、俺のせいだな」
「え?どういうこと……?」
「荒療治かもしれねえが、トラウマは別のトラウマを与えることで相殺できねえかっていう話だ。言いだしたのは元々岸谷先生だったけどな」
「新羅が?ということは、シズちゃんに全部指示してこんなことをさせていたのは四木さんなんだ?」

突然の告白に息を飲んだが、そこでやっとすべてのことに納得ができた。やっぱりシズちゃんは、俺の事を好きとかそういうわけではなくて、そうするように言われていたからしていたのだ。
あの事件の罪悪感から、きっと拒まなかったに違いない。でも、それでも俺は嬉しかった。その気持ちだけで充分だった。何も言わずに一緒に過ごしてくれたことが、ただ幸せだった。
荒療治とか新羅がどうこうとか、もうそんなことはどうでもよくなっていた。提案したのは二人かもしれないけれど、実際にそれを実行してくれたのはシズちゃんだ。

でもだからこそ、シズちゃんにだけふれられなくなった理由がわかったような気がした。

「別に俺は新羅や四木さんがしてくれたことに対して怒らないし、感謝してる。どんな酷い方法でも、これでもうシズちゃんに迷惑を掛けることはないから。これでよかったんだ、ありがとう」
「そうか…」

はっきりと四木さんの顔を見て、お礼を言った。まだ何か言いたそうだったが、そこで口を噤んでさっきまでと同じように背中を撫でてくれた。出会った頃からそうだったけど、この人は俺に甘い。
子ども扱いされていることが嫌だったけれど、今だけはそれを受け入れた。本当は一番慰めて欲しい相手がいるのだけれど、それはできないから。変わりをしてくれるこの人に、甘えた。

「ねえ四木さん、まだクスリの出所とかわかってないんだよね?これからは俺も協力するから、探し出して欲しいんだ」
「そんなことお前がしなくても、こっちでやる。だから大人しくしてろ」
「これは俺の問題でもあるんだよ?本当に体が戻ったかもわからないし、使った奴らはいなくなったけど、俺が探さないとそのうちシズちゃんが見つけてしまう。そうしてまた、同じことを繰り返してしまうよ、次は退学どころの話じゃないでしょ?」

目を細めながらはっきりと今後の事を話すと、四木さんが険しい表情をした。基本的にシズちゃん以上に感情を表に出さない人ではあったけれど、流石に驚いたのだろう。でも俺の決意は変わらない。
口元にニヤリと笑みを浮かべて、はっきりと告げた。

「それにほら、発作は出なくなったけど散々シズちゃんともエッチなことしてたんだから、それがなくなるのは辛いんだよね。自分の体も発散しながら調べられるなんて、ある意味天職だと思うんだけどな。俺しかできないし、きっと四木さん達が探すより早いよ」
「本当にお前は、しょうがねえな」

四木さんは一瞬大きく目を見開いた後、ため息をついてやれやれと言いたげに眉を顰めた。反論できないのは、確かにその方が早いと思っているからだ。
クスリでおかしくなった折原臨也とセックスができる、なんて噂を流したら当然開発者や関係者が直接確かめに来るに決まっている。自分の体を囮にした最高の作戦だった。

「いいか、人は俺達が集めるからお前は絶対に自分で行動するな。それと、今まで通りここで平和島と一緒に居ろ。いざという時は、俺達よりあいつの方が頼りになる。だからそれだけは約束しろ」
「えーシズちゃんと?まあ一緒に居てくれた方が安心だけど……じゃあ早くそいつらを見つければいいよね?俺はさ、お金なんていらないから金儲けするならいくらでも使っていい。ただしクスリのことがわかった後は、もうシズちゃんを解放してよ、ねえ四木さん」
「わかった」

必死な願いは届いたようで、すぐに四木さんは頷いてくれた。もしかしたら、俺がこう言うことだって予想していたかもしれない。だってシズちゃんのことが好きなのは、この人も知っているから。
もうこれから先は一人で生きていくと思っていたのに、少しだけ猶予ができたことを心の隅で喜んだ。お互いふれられないかもしれないけど、同じ空間で過ごすことはできるのだ。
それだけでも、俺は嬉しかったしまともに話をするのはあの事件以来なのだ。だから、そのことに少しだけ胸を弾ませた。

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