ウサギのバイク 男性も安心の大人の専門店「池袋最凶」 ⑨
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2011-04-07 (Thu)
*リクエスト企画 ぷぅ様
静雄×臨也

パラレル。アダルトグッズの実演販売を臨也の体を使ってモブの前でする静雄の話

* * *


その後に四木さんと今後どうするかについての打ち合わせをして、とりあえずは今夜はいつも通りにシズちゃんと仕事をしろと言われた。でも俺は頑なに拒否をした。
もうこれ以上は巻き込みたくない、見られたくないという思いが強かったからだ。もう一人でもちゃんと男達の相手もできるし、目的が変わった。
粟楠会でも探しきれない相手を誘い出す為に、淫らな宴をすると言ってもいい。だから怖い見張りが居るだけでそいつも警戒するだろうし、近寄って来ないからと言えば渋い顔をされた。
俺は言いくるめるのに必死で、最終的にはシズちゃんが居るとうまく仕事ができないかもしれないとまで告げたのだ。さすがにそこまで言われたら、とやっと四木さんは引いてくれた。
あくまで場所はここで、会員の管理や受付等は今まで通りにしてもらって外で待機し、中の様子を一応カメラで監視してもらうという条件で。
そうして決めるとすぐにシズちゃんにもその話を四木さんからしてもらって、その間に俺は体を休めることにした。ベッドに入り目を瞑ると今までは寝つけなかったのに、すぐに睡魔に襲われた。
充分体を休めて辺りが真っ暗になってきた頃に目を覚ましてリビングに行こうとすると、明かりがついていた。夜は別のバイトに交代するのでシズちゃんが居るはずだった。
少しだけ躊躇したけれど、さわられなければ話はきちんとできるしそれを楽しみにしていたのだからと言い聞かせると扉を開いた。

「臨也、もう起きたのか?」
「あぁうん。ちょっとまだ早いけど、今日はぐっすり眠れたから」
「そうかよかったな」

シズちゃんはソファに座りテレビに向かっていて、一度もこちらを見ようとはしなかったけれど逆にそうしてくれたことで、落ち着いて話ができそうだった。一度深呼吸をして緊張しながら、告げた。

「四木さんから話聞いたんでしょ?」
「聞いた。よかったな、もう発作が出なくなったんだろ」
「そうなんだ。眠れないこともなくなったし、夢にうなされることだってない」

でもそれは、シズちゃん以外の相手だけなんだけど、とは付け加えなかった。それは向こうだっていちいち話をしなくてもわかっている。だから近づいて来ないし、こっちを振り向いたりしない。
俺にとっては悲しいことだけれど、こうやって普通に話ができたり常に迷惑を掛けているという自分自身への嫌悪もなくなってすっきりはしていた。
ふれられないのは辛いけれど、何を考えていたのかとかそういうのが全くわからなかった今までを考えると嬉しかった。よかったな、と言葉できちんと伝えてくれたのだ。


「シズちゃんのおかげだよ……ありがとう」


ずっと言いたくて、今までまともに言えなかった感謝の気持ちを込めてそう告げたのだが間髪入れずに不機嫌そうな声が返ってきた。

「礼を言われるようなことをした覚えはねえ。二度と俺にそんなことを言うんじゃねえ」

「そ、そっか…ごめんね」

胸がズキッと酷く痛んで、締めつけられた。まるで精一杯の気持ちを真正面から否定されたみたいで、鼻の奥が痛くなった。何を話そうか期待していた気持ちが萎んでしまった。
でも確かによく考えてみればシズちゃんは俺の為にしていたというよりは、強制的にさせられていたのだ。粟楠会の監視の元に、嫌々こんな面倒事をしているのだ。
あの事件がある前まではただ普通にいがみ合っているだけで、まるで俺に興味を示していなかった。けれど今ではすぐ傍に居るのだから、幸せだった。それが酷い犠牲の上に縛りつけたとしても。
だって俺が犯された姿を見て退学処分にされるほど怒ってくれたのは本当で、それが同情だとしても純粋に嬉しかった。それに対してもお礼を言いたかったけど、きっとそれは受け入れて貰えない。
きっとシズちゃんにとっては、忘れがたい苦々しい思い出になっているに違いなかったのだから。

「手前だって、嫌だっただろうが。何も説明受けずに一方的に虐げられて、怖い思いをして。そんな相手に気を遣わなくていいんだよ」
「別に俺はシズちゃんにされてたことが怖いとか嫌だとか、そんなこと…!」
「いつも泣いてたじゃねえか。それに、初めて人前でエロいことさせられてた時だって怯えて困ってただろ」
「それは、そうだけど」

確かに最初にこの仕事を始めると言われた時は意味が解らなくて、どうしてシズちゃんだけじゃダメなのかと戸惑った。怯えたりもした。でもそれは、好きな相手の目の前で淫らなことをするのが嫌だったからだ。
シズちゃんに酷いことをされて嫌がっていたわけじゃなくて、今でも好きだからそれを見られたくなくて嫌がっていたのだ。
けれどもそれをここで伝えたとして、迷惑がられるに決まっている。こんなにも汚くて、普通じゃない俺から告白されたって喜ばれたりはしない。伝える気はなかったけど、一生その機会は消えた。
言いたいことが、伝えたいことがあるのに口に出来ないのが悔しくて、唇を噛んで俯いた。こんな話をしたかったわけじゃないのに、どうしてうまくいかないのだろうかと。
でも俺達の関係は昔からこうだったし、喧嘩腰で言いあうことをしないだけで、何も変わっていないのだ。体を無理矢理繋げて近い気がしたけれど、気持ちはもっと遠くなったのかもしれない。


「ごめんね、なんか嫌な話しちゃった。もうしないから、許してね」


それだけ言うと喉が渇いたので冷蔵庫の方に行く振りをして、背中を向けた。これ以上は辛くて俺からも話しができないからそうしたのだが、すぐに苛立ちを隠さない声で言われた。

「待てよ、なんでそうやってすぐ謝んだよ」
「え?」

言っている意味がわからなくて慌てて顔だけ振り向くと、射抜くような視線でじっと俺の事を見ていた。やっとお互いに顔を見て話ができるところだったのに、目を逸らしてしまった。
何が悪かったのだろうかと必死に頭の中で考えていると、はっきりと言われた。

「もう俺は何もしねえから、機嫌取るみてえなことすんなよ。そんな風に変えちまったのはこっちだけどよお、それ見てるとイライラする。普通にしろよ」
「あぁうん、そうだね。あははっ、そうだよねシズちゃんに対して謝るなんて確かに俺らしくないね。指摘されて気づくなんて、ほんと最悪だね」

そうか、そういうことなのかと心の中で納得した。こんな弱気に縋っている俺が折原臨也らしくないから苛ついてたのだと言われて、傷つきつつ頷いた。
全部本心からの言葉だったのだが、折原臨也はそんなことは言わない。普通の生活に戻った今、シズちゃんが好きでその気持ちのまま話していた俺はいらないらしい。それは当たり前だ。
元々馴れ合うような関係でも、こうやってまともに話をする関係でもなかったのだ。その頃に戻るだけなんだと言い聞かせるが、胸中は複雑だった。でも吹っ切れた気がした。
忘れようと、シズちゃんのことは、この数日間のことは忘れようとその時決意した。どうせ、気持ちも伝えられないし、ふれられもしないのだから。

「そうだ、遠慮なんていらない。だからシズちゃんも、俺に同情するなんて絶対にしないでね。可哀そうな奴だなんて思ってたら、殺すよ?」
「わかった。それに同情なんて今まで思ったこともねえよ。あいつらをぶちのめしたのは俺がそうしたかっただけで、そこに手前は関係ねえんだからな」

俺が自分自身に対して余計な勘違いを起こしたくなくて同情しないでと言ったのに、同情してなんてしてなかったと教えてくれた。それは喜ぶべきことなのに、苦しかった。
自分が望んだことなのに、関係ないんだとはっきり言われて息が詰まった。でも、表情には一切出さなかった。そんな弱い自分なんて、消えてしまえと心の中で思ったからだ。
せめてシズちゃんの前では、そんな自分はもう出さないとはっきり誓った。

「あーすっきりしたらなんかお腹空いちゃった。ねえシズちゃん何か作ってよ、俺一応まだ本調子じゃないし」
「ふざけんじゃねえ!人に頼みごとするならもっとしおらしく言えよ!くそっ、元に戻ったと思ったらすぐこれじゃねえか」

ブツブツと言いながらも立ちあがり、俺の横をすり抜けて冷蔵庫の中身を覗きながらオムライスぐらいなら作れるかと呟いた。その背中を見ながら、クスクスと笑った。
もうこれで無理矢理されることもないし、まるで脅迫するように厳しく命令されることもないなと思った。ああいうシズちゃんも嫌いじゃなかったけれど、あれは平和島静雄じゃない。

「ははっ、ほんとシズちゃんってなんだかんだ言って優しいよね。そういうところ、嫌いじゃないよ」
「うるせえな!これはついでなんだよ!俺だって腹減ってたから手前の分は嫌々、作らされてるだけだからな!」
「素直じゃないね」

なんだか学生時代に戻ったみたいで、沈んでいた心が浮上した。もう好きではいられないけれど、これから先離れ離れになるとしても、相変わらずの関係は続けられのだと安堵した。
喧嘩さえしなければ、まるでそれなりに仲のいい友達みたいに見えた。それが少しだけ嬉しくて、自然に笑いながら勝手に席に着いた。気負っていたものがなくなると、楽だった。
あとは俺が自分で、薬を作った奴を見つけてケリをつけるだけだ。そして完全にシズちゃんとのこの妙な繋がり完全に消して、また始めからやり直せるとそう思った。
全部終わったら、また情報屋という仕事を始めてもいいなと先のことに思いを馳せながら待っていた。きっと現実はそんなに簡単じゃないけど、希望はあると。
昨日までの、先も見えず自分のこともできず不安定だった生活からやっと解放されたのだとすがすがしい気持ちになっていた。

実はこうやってシズちゃんと食事を一緒にするのもはじめてだった。俺は普通じゃなかったから、食事だってまともにできていなかったし、せっかく作って貰っていたのにそれを喜ぶ余裕さえもなかった。

「はりきって大きいのとか作らなくていいからね。まだそこまで食べられないだろうし」
「いちいちうぜえんだよ!出されたものは絶対に残すんじゃねえぞ!!」

忙しなく作業をしながらもきちんと返事をしてくれる律義さに、また笑みがこぼれた。こうやって笑うのも本当に久しぶりだった。
恋は諦めてしまったけれど、それ以上に大きなものを手に入れたような気がしたのでもう涙は出なかった。きっとこのまま忘れられる、とテーブルに肘をついてぼんやりと考えていた。

でも強い想いは簡単には忘れられないんだと知ったのは、その日の夜に初めてシズちゃんの居ない前で、何人もの男とセックスをしてからだった。

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