ウサギのバイク 男性も安心の大人の専門店「池袋最凶」 ⑩
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2011-05-30 (Mon)
*リクエスト企画 ぷぅ様
静雄×臨也

パラレル。アダルトグッズの実演販売を臨也の体を使ってモブの前でする静雄の話

* * *

「昨日大丈夫だったのか?」
「…仕事のこと?」
「それ以外にねえだろうが」

食事を口に運びながらぶっきらぼうに尋ねられて、でも悪い気はしなかった。心配されている、という気持ちはあったけれど俺の事を考えてくれるのなら、話ができるならなんでもよかった。
どう答えようか頭の中で考えていると、唐突に告げられた。思ってもみなかったことを。

「もう暫くは、するな」
「は…?え、どういうこと?」
「だからしなくていいっつってんだよ。あのヤクザの男も、なんか目立つから動くなって言ってたから大人しくしてろ。今までみたいに、俺と店に出ろ」

一瞬頭の中が真っ白になって、首を傾げた。確かに今までは俺を犯せるわけでなく、虐げて遊ぶだけだったのが男達の欲望を受けるだけの集まりになってしまったのは事実だった。
だからその行為が目立ってしまうから大人しくしていろ、という四木さんの言い分はわかる。でも俺はあれだけ自分でどうにかすると言ったのに、と納得いかなかった。
しかもこれまでみたいに、シズちゃんとあの店で働くなんて。卑猥な玩具の商品説明の為に、また体を使われるのかと。しかも今度は、俺自身も使えるのだ。

「とにかく、危ねえから傍に居ろっつってんだよ。仕事は仕事で、割り切って今まで通りにするからよ。ひでえことも言うかもしれねえが、我慢しろ」
「ええ、やだなあ…シズちゃんって結構鬼畜で言葉責めとかしてくるじゃない?そういうの、苦手なんだけど」
「うるせえな、とにかく今晩は休んで明日の昼から一緒に出ろよ。その…例の薬のこととか探してんのは聞いたから、俺も協力してやるし」
「え…?」

また驚きのことを告げらて、目をパチパチと瞬かせた。一体四木さんはどこまでシズちゃんにしゃべってしまったのかと。それを探ってもよかったけれど、とりあえず黙っていた。
確かに俺の体さえ元に戻れば、ここに居る理由もなくなる。全く関係ない話ではなかったので、情報を探る為に協力してくれるというのは頼もしい。でも本当は巻き込みたくないんだ、とは言えなかった。

「守って、やるからよ…」
「……っ!?」
「悪い奴だったら追い払ってやるし、話を聞きだしたかったら俺が脅してやっから、手前は立ってるだけでいい」

一体何が起こったのかと、頭の中はパニックになっていた。これは断じて俺の事を守ると言っているわけではなく、シズちゃん自身の為にも協力してくれると言っているのだと。
そう必死に自分に言い聞かせたけれど、嬉しいことには変わりは無かった。いがみ合いから始まって、虐げられることばかりされていたのに、それが今では守るだなんて。

「…さすがに俺だって突っ立ってるだけってわけにはいかないよ。まあその、また傍に居てくれるのは嬉しいから」
「そうか、ならよかった」

満足したのか一通り話を終えると、食事を再開した。けれど俺はまだ現実が受け入れられなくて、ぼんやりとしたまま目を細めた。
まるで俺のことを気遣うような言葉の数々に、驚きはしたものの違和感はなかった。それがただの同情だとしても、また関われるのならよかったのだ。
早く探し出さなければいけない、という追いつめられていた気持ちが少しだけ軽くなって、もう少しこのままでいいのかと頬が緩んだ。



そうして、また俺とシズちゃんがあの変な名前の店で一緒に働くことになった。店にやってきた、何か情報を持っていそうな相手にあたりをつけて誘いいろいろ聞き出すのだ。
ネットにも折原臨也に似た奴が働いていて淫らなことをしてくれる、ということをわざと流してそれを確かめに来た者と話をする。
見るからに野次馬みたいな奴はシズちゃんの顔を見て逃げ出すし、それでも怯えることなく食いついてきたターゲットにいい思いをさせて終わった後に脅すのだ。
まるで悪徳商売のようだったが、俺ができることは体を差し出すことだけだったので、そんなことはしなくていいと言われたが続けた。シズちゃんの前で、喜んで犯された。
嫌がっていることぐらいわかっていたけれど、まだちょっと調子が悪いからたまにはいいじゃないかと適当なことを告げると渋々受け入れてくれた。
気を遣ってくれるのはありがたいことだったけど、大きな餌で釣った方が暴力で脅迫して怯えさせるよりはよかったから。そうして少しずつだけれど、薬のことがわかってきた。
でもやっぱり肝心なところは掴めなくて、どちらかというと粟楠会に有益な別の薬の情報ばかりが集まっているようで仕方が無かった。四木さんが面倒を見てくれるのはいいけれど、もどかしかった。
そんな生活が、仕事として少しだけエッチなことをして、それ以外の時は普通に過ごすけれどふれあわない生活を続けて一ヶ月が経った。
その頃にはすっかり慣れていて、嫌悪感や羞恥心も幾分か薄れていたし、傍に居られるだけでいいと思っていた。シズちゃんと言葉を交わせるだけで、ふれあえなくても嬉しいと。
最近は大きな情報も入らず、平凡な毎日を送っていたのでそれはそれで幸せだった。俺はそれで、充分だった。

「ねえ…さっきのデリックって言ったっけ?やけにシズちゃんにそっくりだった、っていうか双子?」
「そんなもんいるわけねえだろ。こっちだって驚いたんだよ」
「なんか嬉しそうに帰って行ったし、ああいうの見てると俺は微笑ましい気持ちになるね」

差し出されたタオルを受け取って、汚れた下半身を拭きながら話をする。俺はもうすっかり自分だけで縄を縛って拘束したり、それこそマニアックな縛りだってできるようになっていた。
シズちゃんは、俺に直接さわれないのだから自分でするしかなかったのだ。でも慣れれば簡単だったし、習得する度にいちいちびっくりした顔をするのが楽しかった。
すっかり俺は満足していて、だからこれでいいのだと浮かれた気持ちだった。同じ気持ちなわけがないことぐらい、少し考えればわかったのに、見ないようにして。

「こっちは、すげえいらいらしたけどな…」
「え?なんか言った?」
「別に何も言ってねえよ」

小声でボソボソ何かをしゃべっていたので尋ね直したのに、急に顔を逸らして不機嫌な表情を顕わにしてきたので首を傾げた。一体どうしたのかとため息をつきながら、とりあえず目線を逸らした。
今日現れた男はどんな偶然かは知らないが、顔も髪の色や声までほぼそっくりで、店の前をウロウロしていた時からシズちゃんにお願いして話し掛けた。
するとやけに純粋な瞳をしながらこっちの話に乗ってきたので、童貞だと言うしセックスまでしてあげたのだ。本当に嫌だったら俺が嫌だとはっきり文句を言う所なのだが、それはしなかった。
終始嫌な表情をしていたけれど、自分とこれだけそっくりでそいつが目の前で卑猥なことを始めたのだから見たくはなかったのかもしれない。きっとそうだろうと納得した。

「ああいう奴がいいのか手前は?」
「はあ?うーんまあこっちが勝手に動けるのはいいけど、やっぱり強引さが少しぐらい欲しいよね。って何を聞いてんのさ!」
「そうか」

突然尋ねられたことに答えたのはいいけれど、自分で言いながらもやもやとした気分になった。俺は本当はシズちゃんが好きなのに、本人に好みを聞かれるなんて複雑だった。
実は、君が好きなんだよと言えればいいのにと思いながら密かにため息をついた。
けれどこれが実は最後のチャンスだったのだが、その時の俺は知らなかった。このまま続くと、信じきっていたことはあっさりと崩れた。

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