ウサギのバイク リセット30
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2011-07-04 (Mon)
*拍手連載
静雄×臨也 

臨也が自分の願いを叶える為に静雄と一緒に暮らした後の話 切ない系

* * *

「なんで、そんなこと知ってるの?っていうか、絶対それシズちゃんの想像だよ。俺誰にも言ってないし、だから…」
「名前、言ってやろうか?」

その言葉に喉の奥でひゆっと息を飲んだ。そしてそれ以上何も言えなくなってしまう。
だって、聞きたいけれど聞けなかったから。憶測で勝手に言っているというのならいいのだけれど、もし確信を持って言うのであればそれはヤバイと。当たっているわけなんてないのだが。
もし勘だとしても当たっていた場合に取り繕うことなんてできるわけがないのだから、聞けない。聞いてはいけないのだ。
焦っている間に、再び体をまさぐられていたのだがそんなことに気を取られている場合ではなかった。どうしよう、どうしたらいいと必死に頭の中で考えていて。

「い、言わなくて…いい」
「聞きたくねえのか?」
「いや、いいんだ」

それ以上は言葉を発することもできなくなってしまって、押し黙ってしまう。急に大人しくなってしまった俺に満足したのか、どんどん行為を進める。そうして下着の中をごそごそと動いて遂にそこに。
指先を後ろに這わせて、入口を確かめるようになぞってきたのだ。すごくくすぐったくて、背筋を快感がぞくぞくと駆け上がっていったけれど唇を噛んで耐えた。

「誰だって、好きな奴に告るのは怖えよ。しかもまあ手前の場合は、こうなっちまったのは俺のせいだし」
「慰めてる、つもり…?」
「でも俺にはもっと怖えもんがある。だから」
「っ、あ!?ま、待って…!」

いきなり後ろに二本の指が添えられて、ほぐすようにぐにぐにとさわられる。それがくすぐったくて、でも少しだけ心地よくて焦った声が出てしまう。すっかり忘れていたけれど、俺はこのまま抱かれるのだ。
シズちゃんとセックスをするのだと改めて認識すると、頬がかあっと熱くなる。話に集中できなくて。

「失いたくねえから、抱かせろよ。もう待つことなんて、俺にはできねえ」

「シズちゃん……?」

俺を射抜く瞳は必死だった。そこには多分、死んでしまったというシズちゃんの好きだった人への気持ちが確実に籠められていて。俺を抱くのは、その人の代わりだ。でも悪くないと思った。
こんなに誠実で真っ直ぐな目で見られたら、こっちに向けられているものだと錯覚してしまいそうで。だったらそうしてしまえと。
だってあの夢の出来事が本当なら、俺だってシズちゃんを身代わりにしてしまえばいい話だ。夢ではない不思議な体験で会ったシズちゃんと、結ばれるのだと思えばいい。
彼は絶対に、俺の事を好きだったのだから。このシズちゃんは俺を好きではなくても。
俺の好きな相手を本当に知っていたとしても、多分こんな態度を取っているのだから俺の事は好きではないのだ。きっと死んだ誰かを想っていて、その相手が一番だろう。
シズちゃんは、好きだったら好きとはっきり言うはずだ。まどろっこしいのが大嫌いなのだから、俺に対してもきっと夢の彼みたいに好きだと言ってくる。だから、違う。
シズちゃんの好きな相手は確実に俺ではない、けれど抱きたいと言っているのだ。真剣に。

「わ、かった…俺も覚悟を決めるよ。いいよもう、本当に好きにしてくれて。その代わり、ちゃんと俺の名前を呼んでくれないかな?」

その直後にそっと目を伏せる。するとさっきまで夢だと思っていたあの最後の瞬間が、感触が、やけにリアルに頭の中に思い出せる。心の中で必死にシズちゃんの名前を呼んで。
好きだ好きだと何度も想いながら、後悔して一人死んでしまったことを。
あの気持ちを思い出すだけで、今がどれほど幸せなのかはっきりとわかる。もしかしたら、まだ俺は死に行く途中でこの世界が夢なのかもしれない。それぐらい、奇跡なことなのだ。
気持ちが俺には向いていなくても、シズちゃんと繋がれるということ自体がすごいことで。手放しで喜べはしないけれど、ここにきちんと存在しているから。
幻想なのでは、ないのだから。

「ああ俺も、呼びてえから。手前がここに、いるって」
「っ、あ…ん、ふっ、うぅ…っ、シズちゃ…!」

目の前で指先を舐めて唾液で充分に湿らした直後に、躊躇もなくそれが侵入してきた。この体に覚えなんてないはずなのに、あっさりと二本一緒に飲みこんでしまって息を吐く。
全く苦しくは無いのに、シズちゃんにされているのだと自覚すると目の端に涙が薄らと浮かぶ。当然それは気持ちが昂ぶって、幸せだからで。
中をゆっくりかき分けながらようやく根元まで指がおさまったところで、ほっと安堵した。顔をあげると、そこをじっと見つめる視線があって。

「ちょ、っと…み、なくていいから…っ、あう」
「いいじゃねえか。っつーかよくこんなすぐ入ったよな、もっと大変なもんだと思ってたんだが」
「それ、は…その」

俺にはシズちゃんがこういうことをする為に事前に男同士の性行為のことを知っていた方が驚きだったが、始めからこうしたいと思っていたのなら当然だ。
そうして指をあっさり受け入れられたことに疑問を持つのはしょうがない。普通じゃないのだから。この体が淫らなだけだから。

「中掻き回すぜ、痛かったら言えよ」
「ふ、あっ…ん、ぅ…っ、あ、はぁ!」

まさか気遣われるとは思わなくて面食らっているうちに中の指が蠢き始めて、快感が体の内から駆け抜けてくる。多分念入りにこんなことをしなくてもすぐに入りそうだったが黙っておいた。
やけに真剣な表情で必死に股間に顔を埋めて、慎重に指を動かしているからだ。強引そうなセックスをしそうなイメージだったので、まるで違って内心驚く。
さっきから心臓の音が煩くて聞こえないか不安だったのだが、ここまで没頭していれば大丈夫だろう。もしかしたら、俺のことではなくて好きな相手のことでも考えながらしているかもしれない。
嘘でも俺には好きだという言葉を言えないとはっきり告げてきたのだから、きっと相当想っているのだ。俺がシズちゃんを好きな気持ちよりも、強いかもしれない。

「ん、やあっ…!?あ、そこ、っ…ぅ、う」
「どうした?」

その時、唐突に指がとある箇所を引っ掻くように掠り一層甘い声が漏れた。俺はそこが前立腺と呼ばれるところで、感じやすいことは知っている。そこを執拗に責められて何度も達した。
普通の射精などではなくて、根元を縛られたまま我を忘れてはしたない声をあげて泣き叫んだ。そのことを思い出して、怖くなる。いくらなんでもそんな姿を見られたら、引かれるに違いない。

「な、なんでもないから…その、もうそろそろいい…」
「ここになんかあるのか?」
「や、やだ、だめ…っ、ひゃ、ああぁんっ、う、あ…!!」

少し強く内側から押されて、すぐに全身を凄まじい愉悦が電流のように駆け抜けていく。気持ちが良くて、一瞬で何もかも忘れてしまう。さすがにすぐに達することは無かったけれど、変わらない。
腰をくねらせて自分から心地よさを得ようとし、瞳からは溜まっていた涙がこぼれた。やろうと思えば手で制することだっていくらでもできるというのに、それをせずに浸って。

「もしかして、気持ちいいのか臨也?」
「やぁ、あ、っ、ふぁ…んぅ、はぁ、あ、ひぅ…あんぅ」

嫌だとはっきり言わないのは肯定の証拠で。首を一度縦に振り潤んだ瞳で眺めると、目を丸くして驚いていた。でも一度火がついたら、止まらない。もっともっとと浅ましく求めてしまう。
抑えなければという気持ちはあるのに、常にすべてを曝け出すように調教された体がいうことを聞かない。せめて酷い言葉を吐かないようにするのが精一杯だ。
いつもだったらもうとっくにぶといのを入れてくれとはしたなくねだるのを、少しばかりの理性で留める。しゃべるなと言い聞かせながら唇を噛んでいると、益々指の速度はあがっていく。

「っ、手前すげえエロすぎんだろ…!」
「んあぁ、あ、あ…ゆび、っ、あ、つよ…い、あうぅ、は、ひぅ…」
「くそっ、もうやめだ!我慢できねえ、俺のを入れていいだろ?」

少しだけ睨みを強くして苛立ちを顕わにしながら、そう告げてきた。今度こそはっきりと頷くと、すぐに指が引き抜かれる。そうして乱暴にズボンを脱ぎ捨てて、股間のモノを近づけてきて。
一瞬呆けてしまったが、その大きさは今まで見たどれよりも大きくて少し驚く。体の奥がかあっと熱くなった気がした。

「すご、っ…そんな、のはじめて見た」
「そうか、そりゃあよかった」

一応褒めたつもりだったのだが、眉間に皺を寄せて不機嫌な表情をした。もしかして、俺がこういう行為に慣れていて何本もそれを見てきた上ですごいと言ったから腹が立ったのだろうか。
好きな相手に褒められたならまだしも、俺に言われてもあまりいい気はしないのかもしれない。でも俺は純粋に自分の気持ちを告げた。

「おっきいの、すき…だ、から…」
「あ…?」

「シズちゃん…の、それ…すき、だよ?」

含ませるようにそう言いながら、本当は君が好きなんだと心の中で呟いたけれど届くわけがなくて、うっとりと微笑むしかなかった。


※続きの31話は拍手で連載しています PCからだと右側の拍手です
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