ウサギのバイク リセット31
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2011-07-07 (Thu)
*拍手連載
静雄×臨也 

臨也が自分の願いを叶える為に静雄と一緒に暮らした後の話 切ない系

* * *
「…そうか」

好きだよという俺の言葉に、シズちゃんはかなり複雑そうに眉を顰めていた。嬉しいわけでもなく、嫌そうでもなくなんだか言いたいことがあるようだったがそれは飲みこんだらしい。
こっちには山ほど言えないことがたくさんあったので、それは咎めなかった。今の状態で口喧嘩するのも雰囲気をぶち壊すだけだし、そんな野暮なことはしない。
するとすぐさま入口にそれが押し当てられて、ごくりと息を飲む。何度も何度も夢に見てきた光景だ。でも本当に現実になるなんて、これっぽっちも思っていなかった。
だから緊張していて、体をもぞもぞと動かしていたのだが突然包帯のされた両手の上にシズちゃんの手が伸びてきて。

「え……?」
「ここまできて、逃げたりしねえだろ」

目の前で簡単に戒めが解かれて、包帯がハラリと床に落ちていき両手が自由に使えるようになる。動揺しながら、どうしたらいいか考えていると手首を取られてその手をシズちゃんの腰に置かれた。
驚きながら顔をあげると、真剣な表情できっぱりと言い切られる。

「捕まってろ。離すんじゃねえぞ」
「う、うん」

そのあまりの迫力に頷くことしかできなかった。こっちにとっては嬉しい限りなのだが、むず痒い気分ではある。そういえばこうやって二人っきりでこういう行為をするのもそういえば初めてだ。
こんな風に向き合って、見られながらするなんて今更ながら恥ずかしくなる。誰でもいいわけじゃなかったけれど、知らない相手の方が何も考えずに済んだ。
好きだから、どんな些細なことでも気になるしこれ以上嫌われたり幻滅されたくないという気持ちが強くて。でも力がこめられてそれが体の中に侵入してきた時には、何もかも消し飛んでいた。

「っ、あ、うぅうう…んぁっ、あ、は…!!」

堪えようと思っていたのに、涙が溢れてぼろぼろと滴っていく。それは当然、嬉し涙だ。こんなことを望んだわけではなかったけれど、死ぬ直前に願ったのは会いたいという気持ちで。
それがこうやって今叶ったのだと思えば、なんでもよかった。気持ちがあるとかないとか、好きとか嫌いとか。そんなことは些細なことだ。俺は今シズちゃんと繋がっているから。
これできっと、何があろうと互いの中にはきちんと残る。あの夢のような世界では、形に残るものなんて何も無かった。だからあれが本当に起こったことなんだと気づくのに時間が掛かったのだ。
けれどもうこれで、俺はシズちゃんとしたんだと確かな証拠として体に刻まれた。それがどんなに喜ばしいことか。だから泣くのを止められないのだ。

「おい、泣くなよ臨也」
「はぁ、あ、それ…無理、だからっ」

すんなりと受け入れて肩で息をしていると、目元に人差し指が当てられて涙を拭うようになぞられながら告げられた。でも俺には涙を止める術はないから無理だと言ったのだ。
すると顔をじっと眺めながら、徐々に奥へと進んでいく。乱暴なものではなく、そこには気遣いが含まれているようだった。でもそんなことをしなくても、俺は簡単に迎え入れることができるの。
だからこそその優しさが心に響いて、そうして傷つけてきた。
シズちゃんの好きな相手が、俺だったらいいのにと唇を噛みしめたその時。急に背中に手を回されて、おもいっきり抱きつかれたのだ。

「ふ、あっ、あ、ああ…っ、は、うぅ、く…はぁ、は…?」

寄り添うように密着しながら最奥まで貫かれたことを知って、肩で息をした。中に入っている異物の感触に目を細めていると、俺の肩にシズちゃんが顔を埋めて。何かが、聞こえた気がした。

『好きだ』

何も言葉は耳に届いていないはずなのに、確かに言われたと心が訴えている。だって大きくて広い背中は小刻みに震えていて、それがどういう意味かぐらいわかる。
シズちゃんの伝えたかった相手への気持ちが、きっと抑えられなかったのだ。俺だってそうだから。

『好きだよ、シズちゃん』

心の中だけで、そう呟いてそっと背に手を伸ばして縋るように抱きついた。きっといつかはそれを言わないといけないのだろうな、と悟りながら目を瞑って力を抜く。
するとまるで示し合せたかのように、激しい律動が始まって体が前後に揺れた。最初はぎことない動作だったが、すぐに本能的にコツを掴んだのか適度な快感が体を駆け抜けていく。

「んあっ、あ、ぅ…っは、あ、うぅ…ん」

なるべく声を押し殺そうとはしてみたが、それは無理だった。もともと抑えるなと言われて、散々淫らな言葉を吐きながら犯されていたのでどうしてもそれが抜けない。
もっと、もっととねだりたくなるのを寸でのところで飲みこんで代わりに腰から下をくねらせて心地よさを得る。きっと向こうも、それなりに気持ちがいいはずだ。
すると突然動きが止まり、何かを探るように真っ直ぐな瞳でこっちを見つめてきた。驚きながら見返すと、きっぱり告げられる。

「我慢なんてするな」
「っ、なに…?」
「こんなもんじゃねえだろ?もっと俺の前で曝け出せよ、手前の本当の姿」

その瞬間かあっ、と頬が熱くなった。まるで何もかもが見透かされているかのような言葉に、喉まで出かかった気持ちを留めるのがどんなに大変だったか。
でもやっぱり、まだ怖い。もう少し時間が必要だ。頭の中に浮かぶのは、つきあってくれと叫んでそれに応えられたのだと喜ぶ滑稽な自分の姿で。
後で鋭いナイフを一つ一つ粉々にされるのを、無感動に見つめ失望した時の気持ちを忘れてはいなかった。あれが本当に起こったことなら、尚更忘れられない。
結局その後に好かれはしたけれど、そこから全部諦めたのだ。男達に脅されることも、死んでしまう運命も。

「えらそうに、っ…言う、な…っ」

そう応えるのが精一杯で、顔を横に背けた。すると顎を掴まれてまた正面を向かされる。人の気持ちも知らないシズちゃんに、怒鳴りつけようかと息を吸いこんで。
でも叫ぶ前に唇が塞がれて、ズルイと思う。逃れようとする体をがっちりと抱えこまれていたので、熱い舌が口内を蹂躙していくのを受け入れるしかない。

「うぅ…んっ、く…はぁ、あっ」

その間も硬い塊が内側から押し広げるようにぐいぐいと押してきて、それに合わせて締めつけてしまう。こんな時に、と嫌悪しながらも全身は小刻みに揺れる。
相手を悦ばせようと、ぎゅうぎゅうと食いついていると体が離れていってぬくもりが消える。しかし腕は腰の横を掴み、眼前に額に汗を浮かべながら必死な形相をしているのが見えて。

「臨也ッ…!」
「えっ、あ、んああぁ…っ、ひぁ、あ、うぅ…は、はげしっ…!!」

さっきまでの動きはわざと生ぬるくしていたんだと、肌と肌がぶつかりあう大きな音を耳にしながら思う。余裕なんてあっという間になくなって、背中を掴む手のひらに力が入る。
でもいくら引っ掻いても、そこに傷はつかない。いつも俺の言葉には惑わされず、堂々と自分の意見を押し通してくるのだから、きっと心も傷つかないのではないだろうかと。
多分、俺では傷つけられない。唯一それができるとしたらそれはシズちゃんの好きな相手で。
俺だっていくら男達に酷い目にあわされようとも、大したことない大丈夫だといつも言い聞かせてきて、でも結局殺されたことがトラウマになってしまった。多分それは心が弱い証拠なのだろう。

「はぁ、あ、く…っ、ぅ…して、よ」
「なんだ聞こえねえ」
「も、もっと…して、よ…シズちゃんっ、う」

こうやって繋がったことで、少しはシズちゃんの強さが俺にも伝わればいいのにと不意に思った。そうすればもう、魘されることもいつまでもうじうじ悩むこともないのに。
断られてもいいから、告白するという行動にも出ることができるのに。好きだって、伝えられるのに。

「ああそうしてやるよ」

一瞬面食らったような表情をしていたが、すぐに不敵に笑うといつもの喧嘩をしている時のような鋭い視線で睨みつけてきた。でも不思議と嫌な感じはしなくて、逆に納得する。
こらがシズちゃんなんだと、俺の知ってる彼なんだと。気遣ってくれるのは嬉しかったけれどこれが、俺に対する態度なんだと安堵してこっちも同じように睨み返した。

「んあぁっ、あ、うぅ…んうぅ、はぁ、あ、は…っ、く!」
「一度なんかで終わると思うなよ。俺が満足するまで、離さねえからな」
「あ、あつっ、ひうぅん、っ…あ、ふぁ、シズ、ひゃ…ん、くぅ……!!」

そうして考えていた以上の衝動で貫かれて、すぐに互いの限界が訪れて俺の中にも熱いものが注がれたが、言葉通り終わることはなかった。そのまま続けて責められて。
気持ちもなにもかもぐちゃぐちゃにするぐらい引っ掻き回されて、最後の方には何を言っていたのかさえも覚えてはいなかった。ただ時折、本当に愛おしそうに名前を呼ばれたことだけは残っていて。


「臨也…臨也ッ…」


涙は最後まで止まらなかった。


※続きの32話は拍手で連載しています PCからだと右側の拍手です

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