ウサギのバイク 夏コミ新刊「君が忘れた恋心」
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2011-07-30 (Sat)
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「君が忘れた恋心」
静雄×臨也/小説/18禁/A5/84P/800円


記憶喪失になった静雄が臨也のことを好きになり恋人同士になるが
すぐに静雄は元に戻ってしまい何も知らないまま臨也と体だけの関係を始める
しかしある日すべてを思い出して…

切ない系シリアスラブの記憶喪失の話

表紙イラスト ひのた 様
夏に笑う

とらのあな様予約

続きからサンプルが読めます

* * *

「ねえ続きは臨也の家でしてくれないかな。そろそろセルティが帰ってくるから」
「あんた同居人が居るのか?」
「ああ恋人だよ。彼女に君の事を知られてしまったらちょっと困るっていうか、余計な心配とかかけさせたくない……」

「恋人?そうか、そうだったのか」

新羅も相変わらず自分勝手だと思ったが、シズちゃんはもっとマイペースだった。このままセルティのことを延々と話し始めるのか、という男を無視してすっきりとした表情でこっちを見ながらまたもや衝撃的なことを告げてきたのだ。

「臨也……だっけか?俺ら恋人同士だったんだろ?そうだろ?」

「こ……ッ!?」
「あはははっ!君らすごいややこしいことになってるんだね。これは面白そうだけど、続きは外でやってくれるかな」
「ま、待てよ新羅!シズちゃんがこんな状態なのに……!」

さすがに恋人同士発言には、頭がどうにかなったのではないかと焦ってしまう。とりあえずその口を塞いでやろうかと手を伸ばしかけて、新羅の容赦ない発言で我に返る。そんなことをしたら余計に誤解されてしまうということに。
早く帰ってくれと言いながら追い出そうとする男に縋りつこうとしたのだが、興味なさげに急かされて玄関まで二人で追い出されてしまう。検査をした癖に説明をしないということは、きっと記憶喪失については何もわからなかったのだろう。
俺だってだいたいそういうものは精神的なことが関わって、記憶を失うという事態になったことぐらい察することができるが、それにしてもこの対応は酷い。文句を言ってやろうとして、しかし突然手首を掴まれてぐいと引かれた。

「え……?」
「いろいろ世話になった。こいつ連れて帰るから、あんたの恋人やらにもよろしく」
「まあまた何かあったら来ていいから、じゃあね二人共」

扉の外に強引に連れ出されて、目の前でやり取りが終わるとすぐにパタンと音を立てて閉まった。記憶がない癖にこの行動力はなんだ、と横目で見ながら居心地の悪さを感じる。手を握られている、だなんて。
しかもこんなにも、優しく。

「で、どうすんだ?俺の家知ってるか?それともあんたの家に行くか?」
「ははっ、もう家に行くことは確定してんのかよ……ほんと、なんなのシズちゃんいい加減離してくれるかな!」
「なんだどうした急に」

勢いよく左手を引っ張るとあっさりと解放されたので、そのまま数歩後ずさる。向こうは目をパチパチさせて驚いているようだったが、俺は視線を外してこの浮かれた頭をしている相手に真実をつきつけてやることに決めた。
最初は利用しようと思っていた癖に、結局自分から教えることにして。

「だっきの新羅の言葉、聞いただろ?何を勘違いしてるのか知らないけど、俺達はすごく仲が悪かったの。犬猿の仲だって言われて、学生時代から毎日のように喧嘩ばっかりしてた」
「そう、なのか?」
「しかもその喧嘩の原因は、ほとんどが俺にあるんだ。君の事が嫌いで、大嫌いで嫌がらせを随分仕掛けた最低な奴なんだ」

いつものように口元を歪めて、挑発するように睨みつけながらきっぱりと告げてやる。俺は最低な人間で、ずっといがみ合っていたんだと。嫌い、なんだと嘘をついて。
けれどもシズちゃんはショックを受けるどころか、表情一つ変えようとしなかった。しかも目の前で盛大にため息をつきながら、一歩ずつ近づいてくる。

「嫌いだあ?なんだそりゃ、すげえ好きだって顔に書いてあんだろ」
「君、俺の話ちゃんと聞いてるかい?」
「聞いてるが、俺には手前が嘘ついてるようにしか見えねえんだよ。さっきだってすげえ心配しやがって、医者に電話までしてくれて、そんなん喧嘩相手にすることじゃねえだろ?まあ前の俺は覚えてねえから何考えてたかわかんねえけど、少なくとも臨也は俺が嫌いじゃねえ。そうだろ」

あまりにも鋭い指摘に、息を飲む。手にじんわりと汗が浮かんで、今までの人生でここまで緊張したことは無い。どんな最悪で危険な取引先相手でも、堂々と接してきたというのに。
それはシズちゃんが、俺の心の中に土足で入りこもうとしているからで。誰にも晒したことのない素顔を、暴かれる気分だ。

「シズちゃんの癖に……」
「さっき恋人同士だって言ったのは悪かった。でも全然違和感なかったんだよ。手前は俺が好きだし、俺だって最初からすげえ手前が気になるっつうか、傍に居るのが自然だと思っちまったし」

気になるのは俺のことが心底腹が立つからで、傍に居ても不自然じゃないのは毎日殴り合っていたからだ。なんだかいいように解釈しているが、全然違うのだと説明しようとして。
いきなり肩を掴まれたかと思ったら、真正面にシズちゃんの顔があって。

「こんだけ好かれてるってあからさまにわかりゃ、嬉しいに決まってんだろ。今までのことなんて知らねえ、なあ臨也俺とつきあえよ」
「え、っ、つ、つ……!?」
「好きだ」

言葉が耳に届いた時には、既に唇が塞がれていた。背中に回された腕がゆっくりと撫でていて、思考が停止する。
触れるだけの簡単な口づけだったけれど、まぎれもなく俺はシズちゃんにキスをされたのだ。
その事実がじわじわと効いてきて、頬が火照っていく。あまりのことにそれ以上どうすることもできなくて、腰が抜けそうになったのだが、しっかりと抱かれていたので支えられて倒れることはなかった。

「う、あ……そ、の、俺……」
「よしこれでいいな。なあとりあえず臨也の家行っていいか?どんなとこに住んでるか、とか見てみてえし。俺のことより、手前のことがすげえ知りたい」

うろたえている俺に一応聞いてくれたようだったが、既に腕を引いて歩き始めていたので拒否権はないようだった。慌てて転ばないように歩き出して、ここからそう遠くない池袋の自宅への道を説明することしかできなかった。
だって気を抜いたら、嬉しくて涙が出そうだったから。

* * *

「ダメだよ。俺なんかで童貞卒業とか、シズちゃんが可哀そう」
「こっちは嬉しいに決まってるだろ」
「ち、違う……君じゃなくて、その、シズちゃんが……」

俺が何を言いたいのか途中で気づいたのか、驚いた後に形相が変わる。それはよく知っている、激怒した時のもので。
少しだけ乱暴にシャツを捲られて、いきなり胸の辺りまで晒されてしまう。そのことに恥ずかしくなって、大慌てで直そうとしたのだが許してはくれなかった。

「なあそんなにもう一人の俺が大事か?」
「そう、じゃなくて……ッ!気持ちよくさせてあげれるかわからないし、ちゃんと勉強するからまた次に……」
必死だった。なんとかしていかがわしいことをするのを止めさせないと、とそればかり考えていたのだが。
「次がなかったら、どうするんだ?」
「えっ、どういうこと……?」
「次なんてなかったら、手前が後悔するんだぜ」

その言葉に絶句してしまう。まさかそんな風に言われるなんて全く思っていなかったからだ。何かを訴える瞳とはっきり目が合って、まっすぐな気持ちが伝わってくるようだった。
きっとシズちゃんがしたいという気持ちが大きいだろうが、俺だって後で辛い思いをすると言っているようで。おもわず全身から力が抜ける。

「もし明日起きて、俺が戻ってたら?」

「なんで、そんなことを……」
「だって手前時々すげえ寂しそうな顔するじゃねえか。喜んでる癖に悲しんでるって器用だよなって思って……でも俺がいなくなった時の事を考えてんだってわかって、胸が痛くなったんだよ」

そこまで俺の事を考えてくれていたことに、びっくりしてしまう。だってそんな素振りは一切見せなかったから。逆にこっちの方がすべてを知られているみたいで恥ずかしいぐらいだ。
確かに明日の朝起きてシズちゃんがもしいなかったら、俺はどうしたらいいかわからない。俺の事が嫌いなシズちゃんにどんな顔をして接したらいいかもわからない。

「もしかしたら臨也が一人で泣いてんのに、俺は気づかずにいるんじゃねえかって思うと」
「わかった、いいよ。エッチしようシズちゃん」

それ以上の言葉を言わせない為に、少し強い口調で告げる。
だってその想像は正しいだろうから。だって今までがそうだったのだから、これからも変わるわけはない。俺の気持ちに全く気付かなくて一人でコッソリ泣いてしまうなんて、俺には当たり前のことだ。それをこのシズちゃんに悟らせてしまったこと自体、知られてはいけなかったことなのだ。

「その……うまくできないかもしれないけど。あとシャワーぐらいは浴びたいなあ」
「俺だって初めてなんだから、同じだ。シャワーはダメだ待てねえ」
「もうせっかちだよ。でもせめてベッドでしよう、背中痛いし」
「ああ」

控えめにお願いすると、ベッドですることだけは了承してくれた。強張っていた表情が少し緩み、俺の腰と足を掴むとそのまま抱えあげられる。そうしてすぐさま俺の部屋に移動して、ベッドに優しく乗せられてそのままなだれ込むように、体が乗っかってきた。
さっきみたいに押さえつけられることはないが、耳元に顔を寄せてそれからボソリと小声で告げられたのだが。

「ゴムつけたほうがいいのか?」
「ゴム!?いや、その……な、生でいいよ。多分その方がシズちゃん気持ちいいだろうし」
「ローションは買ってきたからこれ使うんだろ?」

* * *

「嘘つき……」
「手前ッ!人を嘘つき呼ばわりしやがって、もうやめろって言ったって絶対聞いてやらねえからな!!」
「俺の話を聞いて貰ったことなんて、一度もない。これから先もないだろ?」

自分自身を追いつめているだけだと思いながら、口を閉じることなんてできなくて。その言葉を発した次の瞬間、腕が離されてそのまま下を向いた。すぐ傍では衣服の擦れる音と、カチャカチャと金属が揺れる音が聞こえてきて。
もう一度顎を掴まれて眼前に出されたものに、少しだけ驚いて言葉を失った。

「これでできないって?手前の泣き叫ぶ顔を想像したら、案外いけるもんだな」
「な、んで……?」

目の前に突き出されたのは見覚えのあるペニスで、しかしそれは予想に反して硬く勃起していた。俺はてっきり萎えているから大きくしろと言われると思っていたというのに。
ここまではできないだろう、と心の中で余裕ぶっていて。でも大嫌いな俺を惨めな目に遭わす為だけに、シズちゃんはここまでできるのかと軽く見ていた自分に舌打ちをした。

「どうせ男としたことあるんだろ?」
「あるよ」

その質問には間髪入れずに答えた。でもまさかその相手が目の前に居るだなんて、思ってもいないだろう。
一度目はどれだけ優しくされたのかも、知らない。

「じゃあ口でするぐらいできるだろ?歯なんて立てやがったら、後でやり返すからな」
「嫌だしない。シズちゃんにだけは、したくない」
「なんだと?」

したくない、というのは本音だ。
だって俺はシズちゃん以外とはそういう淫らなことはしないとあの時言ったから。だからそれを守りたいと思うのは当然で。いくらドラッグで性欲を高められたとしても、自分から求めるなんて決してしないと。だが。

「言ったばかりだろ?やめろっつったって聞いてやらねえってな!」
「っ、ぐ……う、んぐぅ、っ……!!」

向こうの方が力は強いので、唇に肉棒を押し当てられぐいぐいと力強く押されてしまえばそのまま口内に受け入れてしまうしかなくて。くぐもった声をあげながら、必死に外に押し出そうとする。でも喉奥に押し付けられて強引に擦り始めたら、それ以上は抵抗ができなかった。
元々全身は熱いし前にした行為のせいで気持ちいいことを知っている力の抜けた体が、拒むことなんてできなかったのだ。心の中で決めていた覚悟を打ち破られて、放心状態になる。

(シズちゃん意外としないって決めたのに……シズちゃん、シズちゃん、ごめん)

「ふ、むっ……ぅ、ん……!」

俺が諦めたのを快く思ったのか、そのまま壁に手を当てながらシズちゃんが腰を揺らしてきた。前後に激しく出し入れをして、中で暴れ回る。
あまりに性急すぎる動きに、喉奥に痛みが走る。硬い先端部分がごりごりと当たって擦れて思わず目を瞑ってしまう。そんなつもりなんてないのに、生理的な涙が目尻に浮かんでしまったので慌てて堪える。
乱暴にされて泣いてしまうだなんて、とんでもない。そんな易々と涙なんて見せてやるつもりはないのだから。

「んうぅ、っ……ふうぅ、く……」

必死に息を吸い込みながら耐える。でも独特の雄の匂いが微かに漂ってきて、体がセックスを思い出してしまう。大事に抱かれて、気持ちがよくて幸せだったあの時のことを。
そのせいで下半身も反応を示す。媚薬の効果もあるかもしれないが寒かった体が、いつのまにか妬けるように熱くなって腰がそわそわと揺れてしまう。これでは誘っていると言われてもおかしくないかもしれないのだが、衝動的な快感は抑えられない。

「俺にだけはできねえっつてたのに、無理矢理口を犯されてる気分はどうだ?」
「ぐ、ぅ……っ、うぅ、ふ」
「答えられねえよな?まあいい、一度出してやるよ。なかなか気持ちいいから、我慢できねえ」

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