ウサギのバイク リセット
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2011-09-25 (Sun)
inf37

「リセット」
静雄×臨也/小説/18禁/A5/404P/2300円

サイトで連載していたリセット・リセットantherの加筆再録+書き下ろし別ED有

臨也が静雄に振り向いて貰う願いを叶える為に一緒に暮らし最後には死んでしまう
残された静雄は臨也の本当の気持ちを知って助ける為に二つの選択肢を選ぶ
※途中で臨也が死んでしまうけれど最後はハッピーエンドです
※モブ×臨也の表現がありますのでご注意下さい
※加筆部分は18禁シーンのみです
※書きおろしの話にはモブ臨はありません


書きおろしのあらすじ
臨也に起こったことを全部知った上で告白された時に戻せと脅し時を戻った静雄
でもそれを全部聞かされた臨也は自分が好かれているのではないと勘違いをして…
捻くれた臨也がまたすれ違いを起こしてでも最後には結ばれる話 エロ度高め

表紙イラスト NONO様
nostalgia

続きから書きおろし部分のサンプルが読めます

* * * 「あなたの二つの選択肢の意味が、わかりましたか?」
たった今聞かされたことを必死に頭で考えながら、正直に思ったことを告げた。
「何が幸せな選択肢だ。全然ダメじゃねえか、どっちも俺は納得できねえ」
「……それは、選択を放棄するということですか?」
「だから俺は、あいつがどうやって死んだとか理由とか全部知りてえし助けてえんだよ!それ以外は受け入れねえ!そうだなんで手前に指図されなきゃいけねえんだ?」

コインを握りしめたまま、目の前の老紳士を睨みつける。すると向こうは驚いた表情のまま固まっていた。それも当たり前だろう、だってどっちの選択も受け入れないと言ったんだから。
けれども決意は変わらなくて、わざとそいつに近づいてさっきから少し偉そうにしてるのも気に食わないと思いながら胸倉を掴んでいた。

「な、なにを……!?」
「いいか、俺は本気なんだ!あいつのことが好きだ、好きで、だからそうだ……最初に戻せ」
「最初とは、まさか?」
「あいつが俺に好きだって言っただろ、そこに戻せよ。どうせなんでもできんだろ?臨也のこと弄んで殺しやがったぐらいだからできんだろ、なあ?」

こいつは臨也に二つの選択肢をつきつけて、願いを叶えるからといい加減なことを言って死ぬように仕向けた奴だ。そんなことをしなければ、あんな悲惨なことは起こらなかった。だから全部こいつが悪いんだとようやく知る。
未来を指し示すなどと言って命令口調なのがやけに引っ掛かって、始めから気に入らなかったのだ。臨也を嵌めるぐら悪い奴なんだと直感的に気づいていた。
だから俺の一番の願いを、言った。それを叶えなければ、この場でボコボコにしてやるという気持ちをこめて。

「脅すと言うのですか!そんな人間、聞いたことがない……!」
「いいから、さっさとしろよ。俺は手前みてえな辛気臭え相手には、容赦しねえぜ」
「わ、わかりました…!!」

最後に低い声でいつも取り立ての仕事をしている時に出すように凄みながら言った。すると焦っていたそいつがはっきりと首を縦に振って、こっちを眺めてきたので離してやる。
すぐさま目の前で俺が持っているのとは別のコインをポケットから取り出して弾くと、くるくると回転しながら舞いあがって左手の上にそれが落ちた。普通に受け取ったと思ったのだが、一瞬目の前が真っ暗になってそれから次に自分の意識を取り戻した時には見覚えのある場所に居た。

「……っ、はは、あいつやればできるじゃねえか」

額を押さえながら目をパチパチと瞬かせて周りを見回しながら、携帯を取り出す。そこにはありえないことだが数日前に戻っていて、口元を歪めた。
さっきコインを受け取った後に、臨也が何をされたのかも勝手に映像が頭の中に流れ込んできて全部知ったのだ。その上で本当に最初に戻ったのなら、これから起こることは全部先回りできるということで。
俺は機嫌よく、数メートル先に居る黒コートの男に声を掛けた。



「あ、の……えっと……」

話があるから聞いてくれないかと声を掛けたのはいいけれど、唇が震えてまともに顔さえ見れないぐらい動揺していた。告白するなんて考えたこともなかったから、どう言えばいいのかよくわからないし、不安で胸が押しつぶされそうだった。
でもいつもだったらとっくに怒鳴ってそうなのに、煮え切らない態度の俺の話を真剣に聞いている。もしかしたらあからさますぎて、感ずかれているのかもしれない。
これ以上いろいろと考えれば考えるほど何も言えなくなりそうだったので、もうはっきりと決意して顔をあげた。俺はシズちゃんに、気持ちを伝えると。

「俺はシズちゃんが好きだ!君とつきあう為なら何だってする!情報屋なんてやめて、もっと人の役に立つような仕事をしてもいい。だから……俺のこと受け入れてくれ!」

自分で決めた癖に、しゃべりながらすぐに後悔していた。やっぱり言うべきではなかったのではないか、と。でも結局最後まで言い切って、いつの間にか興奮して頬が赤くなっている。一瞬だけ二人の間に沈黙が流れて、バクバクと鳴り響く心臓が煩く響いた。
でもすぐに、返事を告げられて。


「受け入れてやるよ、俺も手前のことが好きだからな」


そう言いながら、それはもう見たことが無いぐらい爽やかな笑顔でニッコリ笑った。あまりのことに、つい俺は口走る。

「う、嘘だ……ッ!?」
「ああ?」
「ちょっと待って、それはおかしい!なんでシズちゃんまで俺のことが好きなんて言うんだよ、話が違う!!」

未来を指し示すコインをくれた男は言っていた。願いは叶うけれど簡単ではないし、幸せにはなれないと。好かれるけれど死んでしまうのだから、確かに幸せにはなれないだろうけど想像していたのとは全然違っていたから否定した。
シズちゃんも俺のことが好きだなんて、言ってはいけないのだと。
何かがおかしい、とにかく変だと思った時には勝手に足が動いていて逃げようと一歩踏み出した。でも、体は前に進んではくれない。

「おっと逃げんじゃねえ、臨也くんよお?」
「は、離せって……!!」

しっかりと手首を掴まれて引き止められたので、慌てて暴れて逃れようとする。でも当然のようにびくともしなくて、一人で焦ってしまう。このままじゃ本当にマズイと。
けれどもその時、落ち着いたやけに真剣な口調で名前を呼ばれた。

「臨也」

「え……?」

それに動揺した時には、唇にあたたかい感触がふれていて目を見張る。何が起こったのか理解できなくて、息がうまくできない。
でも眼前にあるのはシズちゃんの顔で、背中にしっかり手が回されて優しく抱きこまれながらキスをされていた。

「やっと言えたぜ」

「……っ」

ふれるだけのキスだったけれど威力はすさまじくて、唇が離れていった後も暫く呆然としていた。そんな俺を相変わらず抱きこんだまま、頭に手を置いてどうしてか撫でられる。
もうあまりのことに頭がついていかない。少し照れ臭そうにでも穏やかに微笑むシズちゃんが別人に見えた。でも間違いなく平和島静雄だ。

「体もあったけえし、まだ誰にもさわられてねえんだよな?俺のもんにしても、いいんだよな?」
「なに……言って、るの?」
「俺のもんになれ、臨也」

まるでしっかりと言い聞かせるように、ゆっくりとけれどもきっぱり言った。数秒考えて、それがシズちゃんなりの告白なんだと気づいた時には恥ずかしくてしょうがなかった。でも弱気だった俺なんかよりはっきりと言って、かっこいいと思った。
こんなのズルイ、と。

「っておい、そんなに嬉しかったのかよ。泣くなって」
「……は?」

言われてハッとしながら目の端に指先を押し当てると、そこが濡れていた。どうして泣いているのかわからない。でも一度許してしまえば、どんどんこぼれていく。
自分でもどうして泣いているのか理解できないまま、言いようのない満たされた気持ちがこみあげた。まるでずっとこうされることを待ち望んでいたみたいに、嬉しくて肩が震える。

「ちがう、なんかちがう……その、これなんか、おれじゃなくて、っ、う」

口走っている意味もわからないまま、長年抱えてきた気持ちを吐き出したのとは違う何かを感じていた。もっと重くて深く傷ついてズタズタになった心が、優しく包み込まれて初めて本当の気持ちを曝け出したみたいな。
自分でも何を考えているのか理解できないまま、ただ涙した。
そうして暫くして落ち着いたと思って不意にシズちゃんから視線を外したら、大変なことに気がついてしまう。ここは池袋の街でも割と目立つ通りで、犬猿の仲だと言われていた二人が道の真ん中で抱き合ってしまっている異様さに。

「うわっ、やばい!シ、シズちゃんとにかく逃げようここはマズイ!!」
「だから逃がさねえって言ってんだろうが」
「違う!一緒に逃げるんだって!!」

頬を真っ赤に染めながら怒鳴ると、ようやく周りを見回して事情を察したらしいシズちゃんがびっくりした表情をしていた。でもすぐに口元に笑みを作って声をあげて笑いながら。
俺の手を取って走り始めた。

「ははっ、俺らのことこりゃあ噂になるぜ!」
「誰のせいだよ、もう!!」

機嫌良さそうに笑いながら前を走るシズちゃんを見あげて、それから繋がれた手を強く握り少しむず痒く感じながらも悪い気はしなかった。まだ手放しでは喜べないけれど、まあいいかと。
でもその勘は当たっていて、俺はすぐにショックを受けることになった。



当然池袋に居ることはできなかったので仕方なく俺の事務所に行くことにした。こうやってシズちゃんを中に入れるのは初めてで、俺はそれなりに緊張していたけれど別の意味で驚かされてしまう。

「臨也……」
「うわあっ!?ちょ、っとな、な、なに急に……!!」
「臨也、臨也、臨也……俺の臨也」
「シズちゃん……?」

ずっと俺の前を歩いて、まるで自分の家みたいに堂々と入ってきたシズちゃんが急に体を振り向かせてこっちを振り向いた。そのまま真正面から抱きしめてきたので、抵抗もできないまま顔をシャツに埋める。
一体どういうことかと戸惑っていると、今度は切羽詰まったように俺の名前だけを呼び始めた。こっちはただぽかんとして意味がわからなかったけれど、どこかおかしい。
これは絶対におかしいと思った。

「もう逃がさねえ、どこにも行かせねえ……死なせねえよ」
「えっ、なんで……!?」

その時唐突に告げられた言葉に動揺する。死なせない、とはっきり聞こえた。
どうしてそのことを、俺が死ぬことを知っているのかと問いかけようとして喉から出かかった声を止める。これはただの偶然で、願いを叶えることとは関係ないんだと言い聞かせる。未来を指し示すコインを使って、何をしようとしているかなんて知らないはずだ。
でも、決定的な一言を聞いてしまう。

「わかってんだよ、手前の願いは俺と恋人同士になることなんだろ?そんなもん死ななくても叶えてやるから、もう余計なこと考えるな」
「それ……それどういうことだよ!!」

反射的にシズちゃんの体を突き飛ばすと、あっさりと腕が俺を解放してくれた。目の前が急に真っ暗になって、息苦しく感じる。これは、一体何なんだと。
戸惑いに対して、俺が知っているようで知らないそいつは瞳を細めて告げた。

「俺は手前を助ける為に、時間を戻って来たんだよ」

その意味を頭の中で理解する前に、はっきりと感じた。
これは違うと、この恋は実らないんだと。


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