ウサギのバイク リセット41
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2011-09-13 (Tue)
*拍手連載
静雄×臨也 

臨也が自分の願いを叶える為に静雄と一緒に暮らした後の話 切ない系 静雄視点

* * *


「初めてではないだろうと思ってたが、まさかここまでとはな」
「…っ、うぅ…四木、さん…」

連れて来られたのは粟楠会の事務所ではなく、見覚えのある倉庫だった。それは二度程、確かに見た。
一度目は他人から、これが自分の死に様だと言われて。
二度目はここに運ばれて、望んだように殺されて。
だからなんとなく予想していたけれど、全くその通りになるだなんて思わなかった。そうしてやっぱり、夢は夢なんかではなくただの現実だったと知る。
俺は前にここで複数の男達に犯された後に、惨たらしくナイフで腹を刺されて殺されたのだ。夢ではなく実際に起こったことで、それがトラウマになって魘されていた。
どうしてこうやって時間が戻り、やり直しているのかはわからないけれど間違いない。もしかしたらこれは、未来を指し示すコインの選ばなかったもう一つの選択肢の方かもしれないと不意に考えた。
平凡な人生を送って死ぬと言われていたけれど、その死がいつ訪れるかとは言われなかった。もしかしたら、最初からこの日に死ぬことになっていたのかもしれない。だってそう思えるぐらいに一致していたのだから。
わざわざ自分から殺されに行かなくても、本当はこうなっていたのかもしれない。つまりは願いなど関係なく、決められていた運命のようなものではないかと。
そんなもの信じる性質ではないけれど、こうも続くと認めざるを得ないのかもしれない。そう思いながらため息をつこうとして、代わりに熱い吐息が漏れた。

「はぁ…ぅ、あ…っ、く」

今はもうあの癇癪を起こしたかのような発作は現れてはいない。四木さんに薬を打たれてから一度も。
だってそれよりも強い疼きや衝動が体の奥から沸きあがってくるのだ。しかもそれを、よく覚えている。体も心も、過去に同じ目に遭った記憶があると覚えていた。この体はシズちゃんにしか抱かれていないはずなのに。
久しぶりにセックスをした時だって、そうだった。今みたいにあっさりと異物を体に受け入れて、全身が火照ったのだ。媚薬なんかなくても。

「く、るし…ぃ、っ、あ…」
「…そりゃあ仕置きだからな。苦しんでもらわねえと、こっちも連れてきた意味がない」
「はずしてっ…これ、つらい…っ」

以前打たれた薬よりも上質なものなのか震え凍えるように冷たい体は、不快感など一切なく心地よさしか与えてこない。さすが粟楠会が扱っているモノだ。完全に獲物を追いつめて、精神や体を壊さないまま最後には手に入れようとするのだから。
一応入念にローションを塗りたくられたバイブが挿入されて、勃起した根元は紐で縛られて地獄のような責めが始まった。スイッチを入れられないまま数分放置されていたが、ようやく煙草を吸い終わったらしい四木さんが近づいて来て開口一番言った。

「精神的な病気だって聞いたが、こうやって何もかも飛ばしちまえばその効力もなくなるんだな。少し荒療治とは思ったが、治ってよかったじゃねえか情報屋」
「なおる、って…まさか、そんな」
「ほら見てみろよ、手前にこうやってふれても…この間のように暴れたりしないだろ?」
「うぐ…っ…あぁ!!」

治るとか治らないという話をいきなりされてかなり驚いた。でもよく考えたら、自暴自棄になっている俺の体を治し恩を売った上で使うつもりだったのなら納得できる。わざわざ四木さんみたいな幹部が現れて、街の情報屋一人相手にここまでするとは思わなかったけれど。
使えるものなら使う。それが見知らぬ堅気の者なら相手にしなかっただろうが、俺みたいにこの世界にどっぷり堕ちきった者を使うなら問題は無い。
だから処分すると言ったのだ。本気殺すのではなく、利用する為に。二度と表舞台に立てなくても、裏で使うことぐらいいくらでもできるのだから。
バイブの根元を握り奥にぐいぐいと押しこむ手とは反対側のものが、俺の太股にふれていたけれど確かに体が震えることもない。暴れたくなる激しい衝動も、殺された時のフラッシュバックもない。多分本当に強引な方法が効いたのだろう。

「飼われてる分際で、勝手に死のうとする迂闊な奴とは思わなかったけどな。それとも俺達をこうやって本気にさせる、罠だったか?」
「あ……や、めっ…!」
「そんなに死にたければ、ここで死ね。折原臨也という存在はここで死ねばいいからな」
「ふあっ…あ、あああ!!」

ようやく玩具のスイッチに手を伸ばされて、待ち望んでいた刺激が与えられると背筋が震えた。口ではやめろとは言ったものの、四木さんには見破られている。実は欲しくてたまらなかったことを。
思った通りの一連の話をされて、返事をするように口元を歪ませて笑うと、すぐさまカチッという音と共に振動が体の内を襲った。すぐに快感が全身をかけぬけて普通だったら射精しているところだったが、塞き止められた痛みに呻いた。

「こりゃあ相当慣れてるじゃねえか。まあお前の仕事内容なんて知らないが、男に足を開いていたなんて初めて聞いたな。それとも、あの男か」
「んあぁ、は…っ、うぅ、は、だれの…こと?」
「目の前で倒れたのを助けてやったというのに、睨まれたぞ。キレやすい奴とは聞いてたが、まさかあの程度のことで平和島が必死になるとはな」
「……っ、それ」

突然何のことを言いだすかと思えば、この間俺が倒れた時のことだった。でもこうやって四木さんの口から状況を説明されて驚く。新羅が大袈裟に言っていた気がするけど、本当の事だったのだ。
俺を助けたのがきっかけでいろいろと新羅と仕組んだのかもしれないが、間違いなくこの時は何の打算もなかっただろう。シズちゃんが、反射的に駆け寄ってきてこの人に、相手がヤクザだとわかっていて凄んだなんて信じられない。

「そうか、やっぱりあいつと寝てたのか。だからこんなに…苛められてるのに悦んでやがるんだな?」
「ま、って、なか…かきまわさない、で、っ、あ、んはあぁ、あ!!」

冷酷な瞳のままほとんど無表情でバイブを差し入れ、それからすぐに引き抜いた。たったそれだけのことなのに、頭の中には快感がかけ巡っていって口の端から唾液がこぼれる。
必死に考えようとするのに、心地よさで、薬のせいで何も考えられなくなる。理性が飛んでしまったら、ダメだと思った。
夢の中で見た、現実の、熱に浮かされた淫らな自分の姿がぼんやりと浮かぶ。前は九十九屋だったけれど、今は四木さんに全部を晒してしまうのかと。
好きな相手には、シズちゃんには見せなかった癖に。
途中でかなり意識を飛ばしかけていたけれど、かろうじて本性を出すのは免れた。きっといきなりあられもなく乱れ始めたら、驚かれたに違いない。だから頑なに自分を保っていたけれど、媚薬のせいもあってそれができなくなっていた。

「おい臨也」
「…っ!?」

その時四木さんが突然俺の名前を呼んだので、驚いて勝手に肩がビクンと震えた。こうやってくだけた口調で話をされるのも、名前を呼ばれることも滅多にない。だから嫌な予感がする。

「隠してんだろ、本性を」
「な…っ」
「こんなもんじゃねえって、お前の体が訴えてるぜ。全部曝け出してみろよ、これからは平和島じゃなくて俺が飼い主になるんだ。見せてみろよ」
「い、嫌だっ…おれはっ…!」

冷たい表情は変わらないまま、淡々と告げられることに心臓が跳ねる。こういう世界で仕事をしているのだから、慣れているか慣れていないかは簡単に見抜けるのかもしれない。だから俺がどっぷりと淫らな行為に漬かって、戻れないところにいることも見抜いたのだ。
こんなにも簡単に。
そうして九十九屋のように茶化すわけでもなく、真実だけをつきつけてきた。もうシズちゃんとは、二度とできないと。
ここで折原臨也は死んで、四木さんの、粟楠会のものになると。

「さっさと、イきやがれ」
「や、め…っ、あ、ひあっ、やぁ、あ、うぁ、あ、ん…あああっ、あ、きもちいいっ、いい、っ、これ、らめえっ!!」

バイブの振動が最大までひきあげられて、そこからはあっという間だった。絶望的な気持ちになると堪えられなくなることも、既に知っている。鮮明に思い出したのだ。
同じ場所だから、かもしれない。九十九屋に追いつめられて、自分から犯してとねだり、ナイフをつきつけられるまでに何を口走ったか。でももう二度目なのだから、そんな失敗はしない。
シズちゃんに助けて欲しいだなんて、そんな本心は言わない。
代わりに、溜めこんでいた快感を一気に吐き出した。前立腺をバイブで刺激されて、ドライオーガズムに浸るのは久しぶりでただ気持ちいい気持ちいいと心の中でも繰り返す。

「やっぱり後ろだけでイけんじゃねえか。何もしなくても、相当いい値で売れそうだぜお前」
「ひゃあんっ、あ、とまんないっ…きもちひぃ、の、とまんないっ、あ、もっろ、もっと、してぇ…!」
「一線を越えたら壊れんのは早いな。なあ、本当にいいのか…このままで」

足を開いてわざとらしく腰をくねらせながら、最高の快感に浸り再び絶頂していると四木さんが俺に向かって真剣に尋ねる。バックにいる組織は相当なものだけれど、この人が実は結構甘いことは知っていた。
だから礼儀として確認を取ろうとしているのだろうと思った。一瞬驚いたけれど、すぐさま虚ろな瞳を向けながら笑って答えようとして。

「おれ、は…」
「よくねえよ」

その時俺の声でも、四木さんの声でもない、低く唸る声が聞こえてきて耳を疑った。そこでようやく、さっきの確認が俺に向けられたものではなく、もう一人の相手に向けたものだったのだと気づいて息を飲んだ。
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