ウサギのバイク 監禁遊び③
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2012-01-13 (Fri)
*リクエスト企画 まな 様
静雄×臨也

静雄×ショタ臨也の鬼畜性教育の話。

* * *


次の日はたまたま学校も休みだったので、泣き疲れたイザヤをベッドに寝かせて俺も傍で眠ることにした。こんな小さな子供が深夜まで起きていること自体驚きだったので、寝息をつきながらあどけない顔をしているのをつい眺めてしまう。
最初の生意気な態度や口調とは違い、眠っている姿は本当にかわいらしいと思った。小さい頃に弟の幽と一緒に寝ていたことを思い出し微笑ましくなる。

「まさかこんなことになるなんてな」

呟きながら指先でそっと頬を撫でると予想以上に柔らかくて、ぎょっとした。そういえばさっき衝動的に尻を叩いたりしたが、今になってなんてことをしたのだろうと実感する。
幼いけれどこいつは絶対にもう少し成長すれば、それなりに整った顔になるだろうと考えて頭を左右に振り乱す。一瞬頭に浮かんだことに、自分でもぎょっとした。
いくらなんでも想像力が豊かすぎるだろうと体を起こし、不意に落ちていた首輪の残骸を見てまた動揺が走る。さっきは手首に巻きつけたけれど、横で眠っているイザヤの首に嵌っているのを想像して。

「いや…おい待て俺は正常だ!そういう趣味なんかねえ!」

思わず口に出して叫んだが返事は全く無い。静かな寝息だけが聞こえていて、ほっと胸を撫で下ろす。起こしてしまうわけにはいかなかったから。

「チッ、どうしたんだよ。ただのガキだろうが、ちょっと一人で可哀そうとか思っただけなんだよ落ち着け」

自分に言い聞かせると、すぐに布団に戻り頭から布団を被る。あんな寝顔なんか見てしまったから、混乱しているだけだと軽くため息をついた。イザヤが全部悪いんだと。
俺が今まで会ったことのない変わった奴で、いきなり人を誘拐犯よばわりした上に盗みに入るなんて普通じゃない。

『……シズちゃんならいいかなっておもったんだもん!!』
「ッ!?」

しかしすぐに何気ない言葉が頭の中に浮かんで、肩がビクンと震えた。何気ない一言に意味なんてないだろうし、俺なら財布を盗みやすくてちょうどいいという意味だったに違いない。
だけど素直で無邪気な子供の言うことが、嘘だとも考えられなかった。だとしたら少しばかりの好意があって、俺にだけだと名前を教えてくれたのかもしれないと考えて。
今まで自分の持っている力のせいで苦労をしてきた。あまりに強い力に誰も近寄ろうとはせず、いつも一人きりでそれでいいと思い続けてきた。
だからあんな風に自分よりも年下の相手に無邪気に懐かれるなんてはじめてのことで。ほんの少しだけ嬉しいと勘違いしてしまった。きっとそれだけのことなんだと自分に言い聞かせる。

「…イザヤ」

それなのに気がついた時には手を伸ばし、また頬を撫でてしまっていた。柔らかい感触とあたたかさを感じながら、胸が熱くなっていく。
この気持ちは何か普通と違うのではないか、とわかっていたのだが止められなくなっていた。きっと夜が明ければ目を覚まし自分の家に帰るだろう。だから一晩だけだ。

「今だけ、だからな」

そっと呟くと髪をかきあげて目を瞑ると額に唇を押し当てる。こんなの昨日初めて会った近所の子供にするような行為じゃない。
懐いたからといって、寝ている相手にしていいものではないだろう。でももしイザヤが俺と同じ年だったら、高校生として傍に居たとしたらもっと別のことをしていた。
さすがに小学生にすることじゃないと理性が働いたからこれぐらいで済んだのだ。体をそっと離すとわざと背を向けるようにしながら反対を向く。そして火照る体を落ち着かせようと瞳を閉じた。
何も知らない子供でなければよかったのに、という気持ちは次の日には変わってしまうと知らずに。


「シズちゃん、起きてーー!!」
「うおっ!?な、なんだ!!」

突然お腹の辺りに軽い重みと怒鳴り声を感じて目を覚ますと、俺の腹の上にイザヤが跨って馬乗りになっていた。嬉しそうにキャッキャと笑いながら。

「いつまで寝てるの?お腹すいたーーご飯食べたい」
「飯って、まだ…あ、れ?もう昼なのか?」

慌てて枕の横に置いてある目覚まし時計を見ると、そろそろ正午を回ろうとしている時間だった。いくら夜中に騒いだとはいえ随分とゆっくり寝すぎだ。これはさすがにマズイと体を起こす。
すると当然乗っかっていたイザヤがコロンと布団に転がり、短く悲鳴をあげた。子供だからいいものの、同い年ぐらいだったら馬乗りになるなんてエロすぎると勝手に考えて。

「もういきなり起きないでよ!うー鼻痛いんだけど」
「おい出掛けるぞ、さっさと支度しろイザヤ」
「ほんと?やったあ、ちょっと待ってて!」

暫くは両手で鼻を押さえていたけれど、俺が言うとすぐに嬉しそうに笑ってパタパタと脱衣所に駆けて行く。顔でも洗いに行ったのだろう。
あんな年の離れた子供の行動の一つ一つに振り回されるなんて、とため息をつきながら立ちあがる。寝間着に使っているジャージを脱ぎ捨てながら、午後からどこに行くかをぼんやりと考えた。


「財布あってよかったじゃねえか」
「うん、お金も全部あったね」

真っ先に近くの交番に寄って事情を話したら、すぐにイザヤの財布はみつかった。半信半疑だったけれど、本当になくしてしまっていたのだからそれ以上は文句は言えない。しかもこのガキはお礼がしたいと言い出した。

「とめてくれたお礼ぐらいしてあげるよ」
「手前みてえなガキに言われると腹立つんだ」
「でもほらシズちゃんお金持ってなかったし、今日もとめてくれるんだからお昼ご飯はおいしいもの食べたい」
「金持ってなくて悪かったな。っつーか自分がうめえ飯食いてえだけだろうが……って、おい今なんつった」
「シズちゃんびんぼうでかわいそう」
「うるせえな!そうじゃねえ、今夜も泊まってくとか言わなかったか?ああ?」

スーパーの中に入り買い物かごを手に取りながら、顔を顰めてイザヤに詰め寄る。周りなんて見ていなかったので、ついいつもの調子で声を荒げて叫んだ。すると。

「こわい、こわーい!きゃーおそわれる!!」
「なんだと!?勝手なこと言うんじゃねえ!くそっ、わかった、わかったから口を閉じろ!!」

ハッと我に返った時には店内に居た主婦やレジの店員がジロジロとこっちを見ていた。さすがに俺とイザヤは全然似てないので兄弟とは思われないだろう。舌打ちしながら仕方なくわかったと叫ぶとぴたりと止んだ。
まるでそう言うのを待っていたように。そして子供らしい笑みでニコリとこっちを向いた。

「やったあ!じゃあまたシズちゃん家でおとまり!!」
「ああ、くそっなんでだ…」

ため息をつきながら乗せられたことを悔やむ。こいつは俺が思っている以上に頭が良くて計算高い奴なのかもしれない、とかなり年下の子供相手に思ってしまって。
その時不意にさっきの主婦達が見つめる視線とは違うものを感じて何気なく振り返った。すると商品棚の向こう側に誰かが居たような気がした。

「どうしたの?」
「なんでもねえ」

おかしいなと首を傾げながら不意に籠が重いような気がして中を覗いて。そこには到底一人じゃ食べきれないだろう菓子がどっさりと入れられていた。

「イザヤ!おいなにやってんだ!!」
「俺のお金で買うんだからなにを買ってもいいだろ?シズちゃんが好きなお菓子は?」
「昼飯食うんだろうが!しかもこんなに食べきれねえ!それに俺はプリンが好きなんだよわかったか!!」
「なるほどねえ、じゃあおいしいプリン持ってこよう」
「走るな!」

無邪気に笑いながら菓子をいくつか戻した後に、デザートコーナーへと小走りで駆けて行く。その後を急いで追いながら、こいつは本当に厄介だとため息をついた。どこの遠足前の小学生かと、籠の中に残った物を見た。
しかもちゃっかりと俺の好物をさり気なく聞いてくるあたり、絶対にあいつは将来すげえ奴になると感じる。どうしてこんなにも懐かれているのかよくわからない。

「あっほらこれ見てよ!新商品のプリンだって、おいそうじゃない?」
「じゃあ俺と手前の分入れろよ」
「ははっ、嬉しそうな顔してる。食べ物でなんでも許してくれそうだよねえシズちゃんって」
「どこまで怒らせりゃあ気が済むんだ!」
「痛いっ、いたた…!」

さすがに腹が立ったので頬を引っ張ってつねってやる。すると抵抗できないままみるみる目の端に涙が溜まっていく。左頬が少し赤くなったところで手を離してやると、大袈裟に叫ばれる。

「鬼、悪魔!暴力反対!!」
「どこでそんな酷え言葉覚えてきやがったんだ、ああ!?」

再度怒鳴りつけてやりながらやっぱりまた変な視線を感じていて、俺は嫌な予感と妙な胸騒ぎで息苦しい。このクソガキに一体なにがあるんだ、と顔を険しくしながら視線を彷徨わせたが相手は見つからなかった。

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