ウサギのバイク 俺達の愛玩ペット1
2ntブログ
04≪ 2024/05 ≫06
12345678910111213141516171819202122232425262728293031
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2012-10-18 (Thu)
*リクエスト企画 のえ 様
幽+静雄×臨也(基本シズイザです) 18禁

シズイザ前提で静雄と幽の二人に楽しみながら調教される臨也の話
※幽×臨也の表現がありますので注意下さい

* * *


「こんにちは」
「こんにちは、中どうぞ」

玄関の扉が開いてすぐに部屋に入るように促されたので、黙ってそれに従う。勿論警戒は解かないし、動作から感情を読み取れないかしっかりと行動を見つめる。
しかし向こうもさすが俳優という仕事をしているだけあって、まるっきり読めなかった。そういう性格なのかもしれないが。

「お茶入れてくるので座ってて下さい」

ソファを指差されたので、従う。彼はすぐんい台所の方へと消えたので、室内を見渡した。俺の新宿にある事務所も相当広いが、売れっ子の羽島幽平の部屋だ。
とても一人で住んでいるようには見えないぐらいリビングは広く、ソファも二つあり真ん中にテーブルが置いてある。五、六人ぐらいは座ることができるだろうし、室内にはテレビが二台もあった。
きっと寝室にもあるに違いない。型は少し古いものだったがCMに出演した時にでも貰ったのだろう。
随分と整頓されていて、生活感がほとんどない部屋を一通り見渡しソファに座るとすぐにトレイにカップと紅茶を乗せて戻って来た。彼の兄とは違い、随分と几帳面らしい。
温めてあるカップに紅茶を注ぐと、茶葉のいい香りが広がる。目の前にカップが置かれて、それからミルクの入った小瓶と砂糖壷を差し出された。

「お好みでどうぞ」
「ありがとう。でも俺はストレートが好きだから」

多分ミルクと砂糖は、時折尋ねてくる兄の為のものなんだろう。甘い物には目がないらしいし、不愉快だなと内心思いながら笑顔を作って話し掛ける。

「それで、俺に相談したいことがあるって何かな?」
「そう、ですね…」

話に耳を傾けていたが、彼はすぐに切り出そうとしなかった。自分の分の紅茶をカップに注ぎ、まるで時間を稼ぐみたいにゆっくりと口をつける。
もしかしたら緊張しているのかもしれない。直接俺の元に連絡があったのもはじめてだったし、なるほどと納得する。仕方なくこっちもカップに指を伸ばして持ちあげて、香りを嗅いだ後に飲んだ。

「臨也さんは、情報屋ですよね?もし知っているのでしたら、教えて頂きたいことがありまして」
「俺にわかることなら、内容と値段によっては」

暫くして切り出されたことに少し驚いた。てっきり彼の兄の平和島静雄とのことだと思い込んでいたからだ。
おもむろにポケットに手を伸ばすと、机の上に何かを置いた。見たことがあったが、そんなものが差し出されると予想していなかったので驚く。

「へえ…これ」
「ご存じですか?芸能関係の知り合いから頂いたものなんですが」

その一言でハッとする。そういえば芸能界にも黒い影が常にあり、一般人が考えているよりも簡単に暗い闇へと落ちることができるのだ。

「ふーん、全部薬は違うねえ。でもどれも同じ効果があるみたいだ。なんて言われて受け取ったのかな?」
「好きな相手に飲ませると、いいことが起こると」
「まあそうだねえ、確かにいいことが起こるかもしれないね。これ全部媚薬だから」

透明な袋に入っている粉薬に、錠剤に液体の入った小瓶。どれもが強烈な媚薬だった。見たことがあるのは、よく裏で流れているものだったからだ。

「これが本物かどうか、知りたいんだろ?」
「ええ、そうです」
「シズちゃんの弟ってことで、タダで教えてあげるよ。それは本物だ。結構値段も高いけど合法のもので、持っているだけでは捕まったりはしない。まあいらない、っていうのなら俺が処分してあげてもいいけど。ちゃんとお金は渡すから」

一気に捲し立てた後に、半分ぐらい紅茶を飲み干した。俺としては、彼に借りを作りたかったのでいい機会だった。普段なら金を要求する情報をあっさり自らしゃべる。
カップを皿の上に置き、薬に手を伸ばそうとしたがそれは途中で遮られる。口角を吊りあげて笑った。

「おや、いいのかい?彼女にでも使う気かな」
「あなたには関係ありません」
「そうだね。しかし見たところ、随分と多いじゃないか。こんなにどうやって集めたのかな?そのルートを知りたいな俺は」

机の上に置いてる薬の種類は五種類だ。貰ったと言うには多すぎる気がする。押しつけられたのかもしれないが、もしかしたら他の人間に頼まれて本物かどうか確認したかったのかもしれない。
簡単に口を割ったりはしないだろうが、一体どういう知り合いがいるのかと問い詰めようとしたその時。

「ん?」

玄関の方からガチャッ、バタン、となにやら音がしたのだ。どうやら勝手に誰かがの家に入ってきたらしい。もしかして一緒に暮らしている彼女だろうか、と思ったが荒々しい足音が聞こえてきて違うと気づく。
しかしわかった時には本人が部屋の中に現れて、心底驚いた。その場で硬直してしまう。

「えっ?シズちゃ…」
「よお、臨也」

金髪にバーテン服でサングラスというあまりに特殊な恰好で現れたのは、勿論天敵の平和島静雄だ。ここは彼の弟の平和島幽の自宅なのだからはちあわせるのも当たり前かもしれない。
しかしあまりに突然すぎるし、互いに顔を合わせてもいつもみたいにシズちゃんが激怒していなかった。おかしい、と一瞬で悟る。

「なんで…ッ、え!?」

すぐさまポケットに手を伸ばし折り畳み式のナイフを取り出そう、としたのだがそれが遮られる。それどころか、手首に痛みが走った。慌てて後ろを振り返ると、幽が俺の背後に立ち右手には注射針を持っていた。
先端がどこに刺さっているのか確認する前に薬液が注入されはじめて、肩がビクンと震える。シズちゃんが目の前に現れて、それ以外が急に見えなくなったせいだ。

「クソ…っ、うわ!?」
「おいどこ見てんだ手前」

慌てて体当たりして引き離そうとしたのだが、その前に左腕が掴まれて聞き慣れた声がした。背筋がゾクリと震えたが、先に弟の方をなんとかしないと手に力をこめた。だが。

「離せ、って…んぐっ!?む、うぅっ!!」

大声で叫んだ直後に、横から布のようなものが伸びてきて鼻と口に押し当てられた。あまりのことにパニックになり、暴れてしまう。呼吸が乱れて、鼻に強烈な匂いが漂ってきた時には視界が歪み始めていた。
すぐに思い浮かんだのはさっき机の上に出された薬だ。薬液を染み込ませたハンカチと、直接注射器を使って体に打たれたらすぐに効いてくる。
情報屋という仕事をしているので、何度も窮地に陥ったことはある。それでも今回ばかりは、逃げられなかった。
だってまさか、平和島静雄と平和島幽が俺を嵌めたのだから。一人だけではなく兄弟でだ。そんな卑怯なことをするような人間ではない、と二人をある意味で信じていたのが崩れる。

「…ぅ、っ」

それと同時に足からガクンと力が抜けてしまい、薄れゆく意識の中懸命に体を捩って相手を見た。俺にハンカチを押し当てて笑っている、シズちゃんを。倒れる直前まで。


「……合ってるな」
「そうだね」
「んっ、う…?」

やけに近くで話し声がして、ぼんやりとした意識を懸命に覚醒させて瞳を開いた。眩しくて一瞬何も見えなかったが、すぐに焦点が定まり誰がそこに居るか、気を失う前のことも思い出す。

「えっ?なに…ッ!?」
「目覚めたか?」

真っ先にバーテン姿の天敵が目に入ったが、いつもと様子が違っていた。あまりのことに思考は停止して、呆然としてしまう。怒りも動揺もすべて吹き飛ばすぐらい、シズちゃんは嬉しそうに笑っていた。
視線は真っ直ぐ俺を捕えている。どうして、なんで、と疑問の言葉が浮かんだ。

「兄さん、混乱してるみたいだ」
「えっ、え?」

すぐ傍に弟の幽がいて、すかさず俺の動揺を察してシズちゃんに説明する。視線が数秒だけ逸れたので安堵したが、さっきよりも優しく微笑みながら言った。とんでもないことを。

「幽に頼んで手前を呼び出したんだ。捕まえる為によお」
「捕まえる、って…まさか」
「そんでよお、今日から俺と幽のペットにすることにした。ちゃんと可愛がってやるからよ」
「……え」

聞き間違いだと思考が判断して、言葉が耳を通り抜けた。しかし向こうは上機嫌に何かを引っ張る仕草をした。すると聞き慣れない音がしたのだ。
ジャラッ、と金属が擦れ合う音でまるで鎖を引っ張ったみたいだと思う。そして不意に顔を下に向けて、またもや驚きで目を見開いたまま固まった。ありえないものが、体につけられていたからだ。

「ペットだからよお、首輪が必要だろ?臨也にすげえ似合ってる」
「ペット…首輪?え……ッ!?」

そこでようやく言葉の意味を理解する。冗談だと、そんなことをシズちゃんが言うはずがないという常識が脆く崩れた。証拠のように首につけられた赤い革でできた首輪の先に、鎖がしっかりと絡められている。
鎖の伸びた先には、腕があった。しっかりと掴んでいて、息を飲む。これは本気だと。

「ま、待てよ!ペットって、俺が?あははっ、まさか冗談…」
「冗談じゃないですよ、臨也さん」
「幽く、ん…?」

俺の笑い声を止めたのは、感情の無い冷たい声だった。慌てて首をそちらに向けると、シズちゃんと同じように彼も笑っていた。さすが俳優をしているだけあって、綺麗に整った笑顔だ。
急に不安がこみあげてきて、逃げようと体を起こそうとしたのだがまた耳障りな鎖の音がした。腕をあげると、手首に枷がついていてそこにも鎖が伸びている。今度こそ本当に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

「これ、本気…なの?」
「そうだ。俺達二人のもんだからな」

| 小説 |