2010-03-25 (Thu)
静雄×臨也
続き ズタズタに引き裂いてやるよ
* * *
「侮ってた、完全にシズちゃんのこと侮ってたよ。なにこれ?俺も大概だけどさ…」
自己嫌悪のようなため息を吐きながら、臨也はベッドの上にあられもない状態で転がったまま動こうとはしなかった。
シーツや布団は完全に乱れていて、当然下半身は白い液体でどろどろに汚れきっていて結合部から垂れるものも未だにとまらない。
こんなものはいつもの事に過ぎないので、俺はさっさとシャワーを浴びて服も着替えてあがってきたところだった。
さっきまで放心状態だったにも関わらず回復は相当早いようだった。媚薬を使っていないのだからこれが当然なのかもしれないが。
「なんかすごくかっこよく見えたよ?惚れちゃいそうだなぁ」
「嘘つけ」
心にも無いことを言ってからかってくるとは、もう充分正気に戻っているということだ。
そういえば今日はボロボロに泣き崩れて気弱になっているところしか見ていなかったので、まぁ憎たらしいがいいかと思った。
「いや、でもほんとに。てっきり童貞で乱暴なプレイしかしなさそうって思ってたからびっくりしちゃったよ。なんであんなに弱いとこ知ってるの?」
「帰る」
どうやら雲行きが妖しくなってきたのでそろそろ退散することにした。これ以上調子に乗って聞かれても困る。
まだ夜明けには早いが池袋まで歩いて帰ればちょうどいい時間になるだろう。
「え、ちょっと!ま、ってよ……!うわっ!?」
臨也の声に振り返る前になにかが落ちるようなドサッという音が響いてどうしたのかと思ったら、ベッドから見事に頭ごと転げ落ちている姿が目に入った。
痛さに呻き声をあげているところにわざと近づいていって、体を屈めて間近でじっと眺めた。コイツがこんなことをするのが珍しかったからだ。
「クソッ、腰全然動かねぇ…ってなにじっと人のこと見てんの?」
「別に?で、なんだよ」
ゆるゆると起きあがりながら腰をさすっている奴にどうして引きとめたのかと尋ねると、そこでやっと思い出したという顔をしたがどうしてかすぐに視線を逸らした。
「いや…その、ねぇ。えっと……」
眉をひそめながら困惑している表情でなにかを言いあぐねているようだった。これではさっきの状態とまるっきり同じではないか。
さすがに切れた俺は大声でおもいっきり怒鳴りつけていた。
「言いたいことがあるならはっきり言いやがれ!」
「う…う、うん。そう、だね」
肩をビクッと震わせて明らかに怯えたような反応を示したが、やっぱり口を開くことはなかった。これはもう暴れ出してもいいぐらいのレベルだ。
やっぱりこんな奴なんか放っておいて帰ろうと腰をあげかけたところで、ピタリと硬直した。
「なにやってんだ」
「あ…っ、そのこれは…」
無意識なのかなんなのかはわからないが、いつのまにか臨也が俺の服の裾を右手でぎゅっと握りしめていたのだ。
こんなの振りほどこうと思えば簡単にできるのだが、やっぱりなにかあるんだと思いもう一度根気よく尋ねた。
「なんだ」
「うーん…っと…あぁそうだ!さっきのあれ、なんでもするってやつ考えておいてよ。暴力以外ならなんでも叶えてあげるからさ」
そういえばコイツがそんなことを言っていたことなんてすっかり忘れていた。もうほとんどどうでもいいような事だったのだが、今後を考えて返事だけはしておいた。
なにがあるかわからない。その時にこの約束が使えるかもしれないのだ。
「そこまで言うなら考えておく。しっかし願いを叶えて欲しいのは俺じゃなくて臨也のほうじゃねぇのか?」
適当に言っただけだったのだが、次の瞬間ものすごい真剣な表情で俺のことを凝視してきていた。
ヤバイなにか気がついたかもしれないと、内心焦りはじめたのだが。
「なにか……知ってるの?」
「知らねぇよ。たださっきのがヤバそうだっていうぐらいこの俺でもわかるって言ってんだよ」
「あぁそっか、そうだよね」
コイツに口で勝てるはずがないと思ったのだが、あっけないぐらい早く引いてくれた。これ以上つっこまれたらいくらなんでも感づかれていただろう。
そっとため息を吐いていると、やっとなにかを決意したような表情でこちらを睨みつけながら言った。
「気が向いたらでいいよ。また来てくれないかな?」
「わ、かった……」
これまであまり見たことが無い真面目な物言いに戸惑いながらもあっさりと了承した。どういうことなのかと内心怪しんでいると、衝撃的なことを告げられた。
「ま、また…エッチしよ?」
今度こそ完全に目線を外して俯きながら、でもはっきりと言っていた。急に頬を染めていてどうやら言った事に自分で照れているらしかった。
(そういうことかよ……)
なんとなく臨也がこんなことを言った理由がわかった気がした。ほんとうに俺とセックスがしたいわけではないのだろう。
どちらかというと俺としているうちはレイプ犯がきても大丈夫だと、味をしめたからこうやって頼んでいるのだと思った。
こいつが快楽に素直になって縋ってきているなんて考えづらい。
「じゃあ…来れたら明日な」
今日言ってきたことを後悔させるぐらいにズタズタに引き裂いてやるよ、と心の中だけでほくそ笑みながら答えた。
NEXT
続き ズタズタに引き裂いてやるよ
* * *
「侮ってた、完全にシズちゃんのこと侮ってたよ。なにこれ?俺も大概だけどさ…」
自己嫌悪のようなため息を吐きながら、臨也はベッドの上にあられもない状態で転がったまま動こうとはしなかった。
シーツや布団は完全に乱れていて、当然下半身は白い液体でどろどろに汚れきっていて結合部から垂れるものも未だにとまらない。
こんなものはいつもの事に過ぎないので、俺はさっさとシャワーを浴びて服も着替えてあがってきたところだった。
さっきまで放心状態だったにも関わらず回復は相当早いようだった。媚薬を使っていないのだからこれが当然なのかもしれないが。
「なんかすごくかっこよく見えたよ?惚れちゃいそうだなぁ」
「嘘つけ」
心にも無いことを言ってからかってくるとは、もう充分正気に戻っているということだ。
そういえば今日はボロボロに泣き崩れて気弱になっているところしか見ていなかったので、まぁ憎たらしいがいいかと思った。
「いや、でもほんとに。てっきり童貞で乱暴なプレイしかしなさそうって思ってたからびっくりしちゃったよ。なんであんなに弱いとこ知ってるの?」
「帰る」
どうやら雲行きが妖しくなってきたのでそろそろ退散することにした。これ以上調子に乗って聞かれても困る。
まだ夜明けには早いが池袋まで歩いて帰ればちょうどいい時間になるだろう。
「え、ちょっと!ま、ってよ……!うわっ!?」
臨也の声に振り返る前になにかが落ちるようなドサッという音が響いてどうしたのかと思ったら、ベッドから見事に頭ごと転げ落ちている姿が目に入った。
痛さに呻き声をあげているところにわざと近づいていって、体を屈めて間近でじっと眺めた。コイツがこんなことをするのが珍しかったからだ。
「クソッ、腰全然動かねぇ…ってなにじっと人のこと見てんの?」
「別に?で、なんだよ」
ゆるゆると起きあがりながら腰をさすっている奴にどうして引きとめたのかと尋ねると、そこでやっと思い出したという顔をしたがどうしてかすぐに視線を逸らした。
「いや…その、ねぇ。えっと……」
眉をひそめながら困惑している表情でなにかを言いあぐねているようだった。これではさっきの状態とまるっきり同じではないか。
さすがに切れた俺は大声でおもいっきり怒鳴りつけていた。
「言いたいことがあるならはっきり言いやがれ!」
「う…う、うん。そう、だね」
肩をビクッと震わせて明らかに怯えたような反応を示したが、やっぱり口を開くことはなかった。これはもう暴れ出してもいいぐらいのレベルだ。
やっぱりこんな奴なんか放っておいて帰ろうと腰をあげかけたところで、ピタリと硬直した。
「なにやってんだ」
「あ…っ、そのこれは…」
無意識なのかなんなのかはわからないが、いつのまにか臨也が俺の服の裾を右手でぎゅっと握りしめていたのだ。
こんなの振りほどこうと思えば簡単にできるのだが、やっぱりなにかあるんだと思いもう一度根気よく尋ねた。
「なんだ」
「うーん…っと…あぁそうだ!さっきのあれ、なんでもするってやつ考えておいてよ。暴力以外ならなんでも叶えてあげるからさ」
そういえばコイツがそんなことを言っていたことなんてすっかり忘れていた。もうほとんどどうでもいいような事だったのだが、今後を考えて返事だけはしておいた。
なにがあるかわからない。その時にこの約束が使えるかもしれないのだ。
「そこまで言うなら考えておく。しっかし願いを叶えて欲しいのは俺じゃなくて臨也のほうじゃねぇのか?」
適当に言っただけだったのだが、次の瞬間ものすごい真剣な表情で俺のことを凝視してきていた。
ヤバイなにか気がついたかもしれないと、内心焦りはじめたのだが。
「なにか……知ってるの?」
「知らねぇよ。たださっきのがヤバそうだっていうぐらいこの俺でもわかるって言ってんだよ」
「あぁそっか、そうだよね」
コイツに口で勝てるはずがないと思ったのだが、あっけないぐらい早く引いてくれた。これ以上つっこまれたらいくらなんでも感づかれていただろう。
そっとため息を吐いていると、やっとなにかを決意したような表情でこちらを睨みつけながら言った。
「気が向いたらでいいよ。また来てくれないかな?」
「わ、かった……」
これまであまり見たことが無い真面目な物言いに戸惑いながらもあっさりと了承した。どういうことなのかと内心怪しんでいると、衝撃的なことを告げられた。
「ま、また…エッチしよ?」
今度こそ完全に目線を外して俯きながら、でもはっきりと言っていた。急に頬を染めていてどうやら言った事に自分で照れているらしかった。
(そういうことかよ……)
なんとなく臨也がこんなことを言った理由がわかった気がした。ほんとうに俺とセックスがしたいわけではないのだろう。
どちらかというと俺としているうちはレイプ犯がきても大丈夫だと、味をしめたからこうやって頼んでいるのだと思った。
こいつが快楽に素直になって縋ってきているなんて考えづらい。
「じゃあ…来れたら明日な」
今日言ってきたことを後悔させるぐらいにズタズタに引き裂いてやるよ、と心の中だけでほくそ笑みながら答えた。
NEXT