ウサギのバイク 鬼畜静雄全集『香水』
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2011-05-02 (Mon)
「鬼畜静雄全集」
スパコミ発行新刊 静雄×臨也/小説/18禁/A5/324P/1900円
無料配布再録集+追加書き下ろし
【香水】 サンプル


変な香水のせいでモブに襲われた臨也を静雄が助けるが… 静雄がすごく黒い話■書きおろし
※サンプルにも多大にモブ臨表現があります

* * *

『ごちゃごちゃうるせえ』
「うわっ……く、うぅ!?」

半分は嘘で半分は本当だった。シズちゃんのことははなから諦めてるからダメージは受けない。でも男から性行為を強要されてショックを受けないわけがない。それこそ僅かな望みも絶たれるぐらい滅茶苦茶にされるなんて、暫く復帰できないかもしれない。
でもここで弱みを見せるわけにはいかなかったので挑発するように言ったのだが、結果的に追い込むことになってしまった。感情の伴わない声で告げられた次の瞬間には、さっきとは違う香りのスプレーが全身にかけられていて、いつの間にか顕になっていた肌に香りが塗られる。
しかしさっきと違うのは、鼻に香ってきた匂いに体が勝手に反応してしまう事だった。驚愕した時には既に遅く、そこら中に充満した匂いが鼻の奥まで吸い込まれて変な気分になってしまう。

「これ、って……」
『今こいつらが嗅いでるのとほぼ同じだぜ。正気を失わせて、欲望を吐き出したくてたまらなくなる匂いだ。ただ違うのは、スプレーされた箇所が敏感になることだな。見ろよすげえ勃ってるぜ、ここが」
「ぁ……や、っぱり、そういうことか」

なんとなく香りを嗅いだ時から嫌な予感はしていたが見事に的中していた。急速に思考能力が低下して、全身が発熱したように火照り、匂いがのぼってくる度に頭の中がぼんやりとしていく。そうして気がついた時には、指先が動かせない程全身の力が抜けてぐったりとベッドに沈んでいた。
息も荒くなり、体の奥底からわきあがってくる快感に飲み込まれてしまいそうだ。でも完全に理性は飛ばさずに、なんとか抑え込みギリギリのところで堪えていた。でもそれが長く続く保証はどこにもない。
体の周りに群がっている男達の隙間から、首謀者の男の姿が見えた。そうして俺の股間を指差していたので、自嘲気味に笑った。
強制的に快感を煽られているのだからしょうがないのだが、みっともないなと悔しさで歯軋りをした。でも困ったことに、この熱をどうにか解放して欲しいという欲求がどんどん強くなっていく。

『よかったな、これでこいつらと相性ぴったりじゃねえか。手前は犯されたくてしょうがなくて、こいつらは犯したくてしょうがない』
「……っ、誰が」
『嫌だ嫌だと言うのは最初のうちだろうな。どうせこういうことには慣れてるんだろう?』

* * *

『そうやって男を誘うのか?』
「違うよ男は初めてだ。でもどうせなら、一番良さそうな奴がいいじゃないか。俺は一生忘れられないだろうし、間近で見れて気持ちよく慣れてあんたにとっても悪い話じゃないと思うけど?」

わざと目を細めて期待を籠めた視線を投げかけて微笑むと、向こうもそれに答えるように低く笑った。無感情な声にもそろそろ慣れていて、俺の誘惑に応えるように近づいてきたことに興奮した。
シズちゃんとこいつが似ているのは、瞳だ。
サングラスに隠された奥からギラつくような視線を投げかけていて、それが一番そっくりだと感じたからだ。瞳だけで殺せそうな威力のある睨みを向けていて、心底俺の事を似ていることが窺える。それがむず痒い気持ちを生み出させる要因の一つだった。

「俺の好きな相手を調べるくらいなんだからさ、実は興味あるんじゃないの?」
『そうだな、手前が男の下でうるさいぐらい喘いで泣き叫んでる顔は見たいな』

言いながらそいつが俺の背後に割り込んできて、強引に腰を掴んで四つん這いの格好にさせられた。顔が間近で見えないのは少し残念だったが、これでは余計に錯覚しやすいなとため息をついた。
そうしてその証拠に、掴まれた腰の部分がやけに熱くて触られているだけなのに快感すら生まれそうだった。両手に握られている性器のことなんてまるで何も感じないのに、この男の手は何かが違うと本能的に感じていた。
もしこれが、本当にシズちゃんなら、と思ったところで尻に飛び散った精液が拭われて短い悲鳴があがった。

「……っ、あ!」
『本当に初めてか確かめてやるよ。まあ確かに狭そうだな』
「えっ、それは……や、め……っ、あ、うあ、ああああ!!」

何をされるのか悟って驚いた途端に、後孔の入口に指が添えられて、その先端は滑っていて粘液を擦りつけてくる。その初めての感触が気持ち悪いのと同時に、むずむずとした気持ちが沸いてきてそこがふるりと震えたのが自分でわかった。
しかもさっきの変なスプレーのせいで、やけに敏感になっているし自身は勃っているしで余計に混乱してしまう。そしてその隙を突くように、ぬるついた指がそこに入れられてしまう。我に返った時には情けない喘ぎ声を叫んでいて、それが悔しかった。

「やめ、っ、あ、やめろ……うぁ、あ、っ!」
『おい誘ったのはそっちなのに止めろって言うのか?そうか手前の止めろっていうのはもっとっていう意味だよな』
「ちが……っ、あ、ぁあ……はっ、はぁ」

こんな責めを受けるのは初めてで、正直に想定以上だった。だから余裕なんて全く無かったし、さっき誘ってしまったことまで忘れて、顔を歪めながらシーツに額を擦りつけた。髪がパサパサと何度も打ちつけられて、指の動きに合わせて下半身がびくびくと揺れていく。
肩で必死に息をしながら、どうして痛みが襲ってこないのかとそれだけが疑問だったがすぐに指の動きに翻弄されてしまう。まだ一本しか受け入れていないのに、と困惑しているともう一本が入口に添えられた。

「ま、まって……っあ、うぁ……!」
『そう言いながら随分とよさそうに締めつけてるじゃねえか』

しかし静止の声は届かずに、無理矢理捻じ込まれるように二本目が侵入してきて耐えられないぐらい下半身が麻痺するように震え始める。
感情と体に受ける心地よさがちぐはぐで、気持ちは追いついていないのにそこだけが成熟した娼婦のようにひくついて誘っていた。違うのに、違うのにと何度言おうとしても、言葉が出てこない。なんとか気を紛らわそうとして浮かんだのは。最愛の人物の姿で。
浮かんだと同時に指がぐちゃぐちゃと中で掻き混ぜられて、頭の中までがぐちゃぐちゃになり熱がかあっと頬まで伝わって。気がついた時には。

「うあっ……ぁ、あ、んああああっ……は、はぁ、あ、え……?」
『なんだもうイったのか?そんなに溜まってたのか?』
「そんな……ッ、バカなこと……」

* * *

「起きろよッ、臨也!!」
「えっ……痛っ……?」

バシッという激しい音の直後に頬に痛みが走り、慌てて瞼を開けると目の前に見知った顔があった。しかしすぐにはその現実を受け入れたくなくて、数回瞬きをして確認した。でも何度そうしても姿は消えなかったので、これは本物なんだと気がついた。
夢ではない、夢であればよかったのに、と思いながら指先がぶるぶると震えるのを握りしめて堪えた。

「どうしたのさ、こんなところで……」
「そりゃこっちが聞きてえ。逃げた取り立て相手追って来てみりゃ手前の臭え匂いがしやがるし、扉が勝手に開いてたから入ってみりゃあよお」

その時シズちゃんがふと俺の体に目線を移したので、慌てて手で前だけを隠しながら見るなよと睨みつけた。言いたいことぐらいわかるから、ここは空気を読んで放っておいてくれと思った。
羞恥心で一気に頬が紅く染まり、最低だと内心舌打ちをした。でもそんな俺を見透かされたかのように、告げられた。

「最低なことやってんじゃねえよ」
「う、うるさいなあ君には全く関係ないだろ!起こしてくれたことには感謝するけど、これ以上見るならお金取るよ?見世物じゃないんだから……」
「ごちゃごちゃうるせえのは手前だ!」

最低なこと、と言われて胸の奥がズキッと痛んだが、そんなことを全く知らないシズちゃんは急に叫ぶと汚れた俺の腰を掴み、そのままもちあげた。驚きの声も上げられないぐらいびっくりして、呆然としている間にそのまま運ばれて風呂場まで連れて行かれた。それから扉を開けて、俺の体を中に軽く投げ込むように入れた。
なぜか風呂場の浴槽の中にはお湯がしっかりと張られていて、その中に頭ごと沈んだが、すぐに顔をあげて息をした。

「えっ、ちょっとなに……!」
「しっかり洗って出て来やがれ!!」

とても嫌味には聞こえないのだが叫んだ直後に、乱暴に扉を締められた。ミシッという音まで聞こえたが、それは聞かなかったことにした。
一人中に取り残された俺は、この数秒の間に起こったことに対処できないでいた。どうして殺したいほど憎んでいるシズちゃんが、こんな態度を取ったかは明らかだ。同情なんていらない、とそう思っていたのだが、疲れてボロボロになった体で湯につかっていると、それが溶けていくようだった。
優しくされるなんて最悪だ、と頭で思いつつはっきりと否定もできなかった。少なからず、同情だとしても、俺は嬉しかったのだ。
似合わないと言われるかもしれないが、あんな酷い目に遭って、折られた心が何かに救いを求めていたのかもしれない。それが好きな相手なら尚更だし、普段は向けられないようなあたたかみのある行動にじんわりと瞼まで熱くなってきた。

「シズちゃんの馬鹿……もっと好きになるじゃないか」

もう耐えられなくなったので、そのまま目元を手で覆って声をあげずに静かに泣いた。今だけは、少しの間だけは、弱い俺を見逃して欲しいと思った。

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