ウサギのバイク リセットAnother 18
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2011-09-05 (Mon)
*拍手連載「リセット」の別EDの話 16話からの分岐です
静雄×臨也 ※18禁注意

臨也に何があったのかをすべて知り静雄が助けに行く話
※今までの雰囲気と違い18禁要素強めです

* * *

「他に誰がいるっつうんだ?とぼけてんじゃねえぞ」
「いや、なんで?好きって、さっきのも本気だったってこと?」
「そうかそうか、手前は日本語も通じねえぐらいバカだっつうことがよくわかった」

急に手を止めて、いつもの喧嘩をしていた時みたいにこっちを殺しそうな勢いで睨みつけてきたのでヤバイと肌で感じた。でも話の内容が、いつもとは違う。
一体いつの間に好きとか恋人とかそんなことになっていたのか、こっちが驚きだ。いや確かにさっき告白をされたのはされたが、それが本気だなんてとても思えなかった。だって嫌いだと何年も言われ続けてきているのだから、昨日一晩過ごしただけで言われるのはおかしい。
そうだ、きっと勘違いしているだけだと思った。

「ねえちゃんとわかってる?今まで散々嫌がらせしてた俺だよ?ちょっと昨日同じベッドで寝たからって、勘違いしないでよ。俺は…」
「あのなあ、俺は全部知ってんだよ。手前が俺のことを死ぬほど好きなのも、それを素直に言えねえのもわかってんだ。だからもう、そうやって隠そうとするんじゃねえ」
「えっ、と…?」

いかにシズちゃんの考えが間違っているのを説明しようとして、とんでもないことを言われる。数秒動きが止まって、懸命で頭で考えながら動揺するのが止まらない。
今まで相当鈍感で何も気づいていなかった癖に、全部知っていると言われて胸がバクバクと高鳴る。何をどう知っているのか詳しく聞きたいが、怖くて尋ねられるわけがない。それになんだか嫌な予感しかしないのだ。
こうやって捕まって犯されかかっているぐらいならいいけれど、自分から犯されるように仕組んでいたなんて知ったら嫌われるに違いない。残した手紙にはそれを匂わせるようなことを書いたけれど、それはまだ知らない筈だ。
だから何も知らない。俺の体が、どれだけ汚れきっているかを。

「君が何を知ってるのかわからないけど、勝手に恋人とか…決めつけないでよ。まだ俺は何も言ってないし」
「だから最初に告ってるじゃねえか。俺のことが好きで、何でもするってよお。それが手前の本心だろ?まあ今まで放置してきた俺も悪いが、逃がさねえ」
「…っ!?いや、だから、それはその…ただの嘘で…」

あまりにも的確に俺を追いつめるようなことを言ってきたので、妙に焦ってしどろもどろになってしまう。シズちゃんといると自分のペースで話をできないのはよくわかっていたけれど、これは酷い。
こんなに一方的に押されっぱなしだなんて初めてだ。でも最初にうっかり告白してしまった時のことを言われたら、何も言い返す言葉がなかった。だって間違いなくあの時の俺は、シズちゃんと恋人同士になることを夢見ていたのだから。

「嘘つきなのは最初から知ってたけどよお、そういう肝心な気持ちを隠そうとすんなよ。それに納得できねえっていうなら、何度でも言ってやる。手前は俺のもんだってな」
「そんなの、っ…口だけに決まってるだろ!シズちゃんは何もわかってない!俺がどんな気持ちで、何をしようとしてたか…ッ!!」

正直に嬉しかった。シズちゃんが俺に言ってくれたことは、涙が溢れそうなぐらい嬉しかった。でもそれを簡単に受け入れるわけにはいかない。
だって俺がこれまでにしてきたことが、酷すぎるのだ。体だってボロボロで薬漬けだったし、九十九屋のくれた薬が無ければもっと最悪な状態に陥っていたのだ。もう最初に告白した時とは、事情が変わっているのだ。
今の俺を好きだと言われても、応えられない。汚い部分を知られて嫌われるぐらいなら、最初から受け入れなければいいのだ。

「知ってるぜ、全部」

「え…?」

「ついでに言うと、俺は手前が死んじまったのも知ってる。腹刺されて、冷たくなった体を抱いたことがあるぜ」

これまで聞いたどんな言葉より重く、衝撃的だった。それはシズちゃんの表情が、切なそうに歪んでいたからだ。
嘘をついているなんて、とても思えなかった。

「ねえ…それって、どういう、ことかな?」
「好きな相手が突然死んじまって、すげえ悲しかったって言ってんだよ」
「時間を戻ってきた、とでも言ってるの?」
「そうだな、殺される前にこうやって捕まえる為に戻ってきたって言えばいいか?」

普通に考えて、時間を戻るだなんてありえない。いくら池袋に異形の存在が数多くいるとはいえ、簡単に運命を変えることなんてできないだろう。
でも心当たりがないわけではない。俺だって、あの未来を指し示すコインに導かれて今回のことを計画したのだから。

「ほんとに…?でもどうやって」
「なあそういう話は後にしようぜ、ほら」
「うわっ!?ちょ、っとやめ…!」

そこで急に話を変えるかのように、足に引っ掛かったままだったパンツを引きあげて無理矢理履かせた。すると振動でさっき出されたらしい精液が中から溢れて、途端に気持ちが悪くなる。
好きとか恋人とか死んだとかそういうことを言っているのに、どこまでも俺の体は汚れているんだと。いくら好意を告げられても、これでは受け入れるには程遠い気がした。
けれどもこっちの気持ちなんかまるで考えないシズちゃんが、コートを引っ張って強引にファスナーをあげると前を完全に閉める。晒されていた肌が隠れて、これなら外を出歩いても大丈夫そうだった。

「ほら外してやるからよ」
「あっ…」

その時手首に巻きついていた縄を簡単に破られて、両手が自由になる。跡がついた部分を撫でながらまだうまく力が入らなかったけれど立ちあがろうとして、その前に急に視界がぶれて何事かと驚く。

「えっ、なに、これ?」
「よしこのまま帰るぞ」

シズちゃんの左手が膝の裏を通り右手で背中を支えながら、あろうことか女の子を抱くような格好にさせられたのだ。まだ部屋の中ならいいけれど、このまま外を出歩くだなんて一瞬で羞恥心が駆け抜けた。

「や、やだよ…こんなの恥ずかしい!自分で歩けるから、っ、降ろしてよ」
「ふらふらな癖に強がんじゃねえ。遠慮すんな後で俺とセックスする時には、ちゃんと動いてもらうからよお」
「セッ…!?」

抗議の言葉は、別のとんでもない言葉で塞がれる。まさかシズちゃんの口から、あからさまに卑猥な言葉が飛び出してくるとは思わなくて目を瞬かせた。
俺がこんな恰好をしているから少しは仕方がないかもしれないが、それにしてもいきなりすぎる。さっきのキスだって、相当突然だったけれど。こんなのでは心臓がもたないぐらい、驚かされてばかりだったのだ。

「ねえ待って、ってば!セックスって、本当にする気なの?シズちゃん童貞だよね、そんなので男としようだなんて思えるの?俺はこんなに、っ…汚い体してるのに」
「あー…もう童貞じゃねえ。それに一度男としたことある」
「えっ…!?」

そこでなぜだかバツが悪そうに顔を逸らして、ポツリと言った。しかも男としたことがあるなんて言われて、余計にびっくりしてしまう。それはつまり、男が好きだと言いたかったのだろうか。
でもそんな言い訳をされても、余計に混乱するばかりだった。俺がシズちゃんのことを知らないだなんて考えられない。だったらいつ、どうやって、なんでそんなことになったのかを詳しく知りたかった。
その相手とは遊びなのかとか、今はどう思っているのかとか。さっきまで散々好きとか恋人だとか言われていたのに、急に俺以外の相手と関係があると言われて戸惑う。嫉妬心が剥き出しになって、渡したくないと欲が出てしまう。
俺のことを好きだと言ってくれたシズちゃんを、誰かに取られたくはなかった。

「あとこれだけは言っておくが、手前の体は汚くなんかねえ。すげえ綺麗だ、白いし、さっきそこから精液垂れ流してたのも興奮して早くやりたくなった」
「…っ、それ、褒めてるのか全然わかんない!それに他人のものこぼしてるのに綺麗だなんて、そんなのおかしいだろ!」
「そうか、出されてんのが俺のだってわかってるからすげえエロく見えんのか」
「ちょっと、なに?聞こえないんだけど?」

すごく満足そうな、傍から見たら爽やかそうな顔で興奮したと言われてもそれを真に受けるわけがなかった。ただヤりたいだけの変態にすぎない。そう頭ではわかっているのに、綺麗だとまさに言われたかったことを告げられて舞いあがっていた。
だから小声でボソボソと何を言っているのか気になってしまう。少しだけ頬を赤くしていたので、やましいことを考えているのだけは間違いなかっただろうけど。

「ああ手前は存在自体がエロいから、さっさと犯すしかねえなって思っただけだぜ。泣き顔見てるだけで、ムラムラしてきやがる」
「な、泣いてなんかない!これはちょっと目が痛かっただけ、だから」
「俺に助けてくれって言いながら泣いてた癖にか?辛くて、苦しくて、悲しくて泣いてたじゃねえか、誤魔化そうったってそうはいかねえよ」
「ふ、えっ…?」

その時急に左目の端にやわらかい感触がふれられて、驚いてしまう。すぐに離れていったけれど、近い距離にシズちゃんの唇があった。つまり、そこにキスをされたということだ。
ぽかんと口を開けて驚いていたが、すぐに手で口元を覆い下を向いてしまう。あまりに自然に優しくされて、感極まって泣いてしまいそうだったから。
こういうことを何気なくできるなんて、ズルイと思う。
俺はまだ、こうやってふれられていることも照れくさくて自分からキスなんて絶対にできないのに。今までだって充分好きだったけれど、もっと好きになってしまいそうだった。かっこよくて、たまらないとさえ思う。

「やべえ、その顔何度見てもおもしれえな」
「う、うるさいなあっ、もう帰るならさっさとしてよ」
「なんだ今度はやけに偉そうじゃねえか。そんなに恥ずかしかったか?嬉しかったか?」
「っ、もう、嫌いだ!俺はシズちゃんなんか嫌いだ、バカ!!」

散々に悪口を言ってやったつもりなのに、いつもよりも子供っぽいことしか言えなくて余計に悔しくなる。こんな一方的に振り回されるなんて、と思いながらニヤけそうになる顔を必死に堪えていた。
そうして優しく微笑みながらすぐに歩き出したシズちゃんの首に、しょうがないので手を回してしっかり落ちないようにしがみつく。今の自分の顔を鏡で見たくないと思いながらため息をついた。

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