ウサギのバイク リセットAnother 20
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2011-09-08 (Thu)
*拍手連載「リセット」の別EDの話 16話からの分岐です
静雄×臨也 ※18禁注意

臨也に何があったのかをすべて知り静雄が助けに行く話
※今までの雰囲気と違い18禁要素強めです

* * *

俺にはわからない。好きな相手が突然死んでしまうという経験をしたことがないから、わからなくて当然だ。
でもシズちゃんを死なせない為に必死に男達に従って犯されてきたのだから、好きな相手に死んで欲しくないという気持ちは痛い程わかる。自分のすべてを投げ出してでも、守りたかったから。

「…っ、ごめんね…多分俺、シズちゃんを傷つけた」

やっと喉の奥から絞り出したのは、謝罪の言葉だった。わからないけれど、謝らなければいけないと思ったからだ。

「だから、俺は手前に謝って貰いたいくてこんな話をしたんじゃねえ。わかんだろ?」
「うぅ、く、っ…わかる、けど、でも言いたくて」

一度は驚きで引っ込んでいた涙が、また目の端から溢れた。そこからはもう決壊したみたいに、止まらなくてすごい勢いでボロボロとこぼれていく。見かねたシズちゃんがゆっくりと頬を撫でてくれるけれど、その仕草がひどく優しくてまたぶわっと気持ちがこみあげてきたのだ。
泣いてはダメだと思えば思うほど、裏目に出ていた。

「ほら、俺に言わねえといけねえ言葉があんだろ?言ってみろよ」
「…っ」

そんな偉そうな言い方しなくてもいいのに、と思いながら唇を噛みしめて頷く。そうして意を決して、告白した。


「シズちゃんのこと、好きだ。ずっと好きだった、だから俺と…つきあって欲しい」

「ああ俺も好きだ。臨也のこと、大事にする。もう俺のもんだ」


それは初めてシズちゃんに自分の気持ちを伝えた時と、同じものだった。でも俺にとっては少し違う。
何でもするから、死んでもいいからつきあって欲しいとあの時は思っていた。だけど今は、そんな悲しいことは決して言わないからつきあって欲しいという気持ちだ。似ているようで、異なるものだ。
しかも向こうからも、欲しいと思っていた言葉が返ってきて幸せだと感じた。
今度こそ、心からの嬉しい涙が溢れた。

「シズちゃ、んっ…ひぅ、く」
「長かったよな。俺にとってもそれなりに長く思えたけどよお、手前はずっと何日も堪えてたんだよな。本当に遅くなって、悪かった」
「うん、うん、っ、あ…うれしい、っ、ほんとに、おれ…」

最後にはもう手で顔を覆いながら泣いた。みっともない涙声のまま、でも胸に広がる嬉しい気持ちを伝える。きっとシズちゃんもそれが聞きたかったのだと思うから。
時間を戻ってまでこうやって助けてくれて、欲しいと思ったものを全部くれたのだから喜びしかない。これまで酷い目に遭ってきたけれど、それが全部吹っ飛ぶぐらい最高に嬉しかった。
しかもシズちゃんは俺がどんなに卑猥なことをしていたか知っていた上で、それでも好きだと言ってくれたのだ。汚れた体を、綺麗だとも言ってくれた。だからもうあとは信じるしかない。俺には信じることしかできない。

「よかった…すげえ緊張したぜ」

その時ポロリとこぼした一言に、俺は目を見張った。

「緊張してた、の?」
「当たり前だろうが。やっぱりもう俺のことなんて興味ねえとか、すぐに助けなかったから許さないとか言われると思ってたからよお」
「そこまで捻くれてないよ」
「充分捻くれてんだよ、手前は。まあでも実はすげえ単純なんだってわかったしよお。あーもっと最初から気づいてりゃよかったぜ」

俺にしてみればやけにどんと構えて、余裕の表情をしていたように見えたので本当にびっくりした。でもシズちゃんに対して俺も全部を隠してバレないようにしてきたのだから、そこは互いに同じかもしれない。
実はすごくエロい体をしているなんて知った時のショックを考えると。その証拠に、少しだけ後悔の言葉を口にしていた。最初から知っていればと。
でも俺だって同じだ。最初から死んでも意味が無いと見抜いていれば、シズちゃんを悲しませることもなかったのだから。

「ねえ…もしかして、さっきから俺がシャワーを浴びたいとか言ってたのを無視してたのは…このまましたかったから?俺は忘れてしまったけど、最初にセックスした時のことを残しておきたかったから?」
「そこまで考えてねえ。ただ俺のもんが手前の中にまだ残ってるって思ったら、嫌がられて処理したいって言われたのがちょっと腹立っただけだ」
「それこそすぐに言ってくれればよかったのに」
「言えるわけねえだろ?ほとんど意識ねえ手前とセックスしたって普通に言ったら、ぜってえ怒るだろうが。あん時は必死なつもりだったけどよお、したことは最低だ」

シャワーを浴びるのを頑なに拒んでいた理由がわかって、しかもそれが独占欲みたいなものだと知ってしまったら、かわいらしく思えた。ぞんざいに扱われるのを嫌がるぐらいに、俺のことを想ってくれているなんて。
しかも薬でおかしくなっている俺が誘ったとはいえ、やったことが悪いことだと考えているのがシズちゃんらしい。俺は怒ったりなんてしないのに。忘れたことを寂しいと思うぐらいで。

「じゃあ…次はちゃんと、優しくしてくれるんでしょ?」
「ああ当たり前だろうが。すげえ優しくしてやるから…しようぜ」
「うん、わかった」

一度言葉を切って、それから微笑みながらゆっくりと告げてきたことに胸が高鳴った。シズちゃんが少し緊張していることに気づいたからだ。でもこの気持ちは、悪くは無い。
今までの行為はただ辛くて、悲しくて、でもそれを無理矢理押し込めてすべての感情を押し殺してしてきたから。途中から薬のせいでわからなくなっていたし、自分自身でも何も考えないようにしてきた。
だから緊張しているということは、頭できちんと考えて行動しているということだ。一つ一つを忘れない為に、後悔しないようにしている。行為自体は慣れているかもしれないけれど、気持ちを曝け出すのは少しだけ怖いかもしれないと思った。

「脱がして、いいか?」
「いいよ。着せてくれたのは、シズちゃんだしね」

きっちりとコートのファスナーをあげて肌が見えないようにしていたけれど、律儀にそれを脱がしていいかと聞かれて新鮮な気持ちになる。やっぱり優しいな、と思いながら微笑み返すとすぐに指先がふれてきて、掴んだそれを下ろした。
ジジ…という音と共に徐々に素肌が見えていって、それを食い入るように眺められる。その瞳は、確かに欲情しているように見えた。
少しだけ衣服が擦れると、忘れていた快楽が体の奥底から蘇ってきて深いため息をつく。最初から最後まで薬を使われていたので、普通にした場合自分がどんな風に乱れるのかもわからない。だけど先が読めないのは当たり前で、だからこそおもしろいんだと思った。
散々翻弄されたけれど、本当は好きになって貰えなかったのだ。気持ちが通じ合うのが間に合わなかったからこそ、こうやって時を戻ってきてくれた。俺の体に起こったことだけれど、その辛い部分を覚えていないし知らないのだからこっちはただ嬉しいだけだ。
もしすべてを覚えていたら、どう思っていたかわからない。殺されたことをシズちゃんのせいにして怒るだろうか。多分そんなことはないだろうけど。
だってずっとずっと、出会った時から嫌いと言い続けてでも本当は好きだったのだから今更そんなことがあったぐらいで怒ったりしない。一度は振られたと思った時だって、ショックだったけれど恨んではいない。

「怖い…か?」
「えっ、どうして?」
「いや、なんかやけに静かっつうか…やっぱいきなりこんなことすんの嫌じゃねえかって」
「それは…その、違うよ…は、恥ずかしいだけ、だから」

半分まで下ろされたところで手が止まって尋ねられたので、慌ててしまう。怖いだなんて全く思っていなかったので、何か不安にさせるようなことをしてしまったのかと驚く。
すると気づかうような言葉を掛けられて、胸が熱くなった。とっさに恥ずかしいからだと言ったけれど、少し違う。本当の姿を見られる覚悟がまだ整っていないのかもしれない。

「散々エロいことしてきたじゃねえか、今更恥ずかしがるって、なんだそりゃ。俺に見せんのは、嫌なのか」
「そうじゃないって!だから、シズちゃんだから…すごく大事だと思ってるから。それと…まだ、少しだけ、少し…」

厳しい口調で言われた気がして必死に違うと言ったのだが、全部がそうだとは言い切れなかった。だから頭の中で迷って、それから目線を逸らして告げた。

「…後悔してる。ごめんね、俺はじめてじゃなくて…本当はシズちゃんがよかった」
「な…ッ!?」

「シズちゃんだけが、よかった」

さすがに真っ直ぐ目を見て言う自信は無かった。自分でやってしまったこととはいえ、思い出したら心の奥が苦しくて辛くなるから。
でもだからといって悪いことばかりでもなく、多分こんなことがなければ一生隠して過ごしていた。それを考えるとよかったとも言えるのだけれど、やっぱりそれでも思ってしまう。
シズちゃんだけがよかったと。
言っても仕方がないことで取り返せないけれど、気持ちだけは伝えたかった。きっと困らせるだけかもしれないけれど。

「シズちゃんとするの、本当は怖いけど…だけどそれ以上に嬉しいよ。嬉しいから、お願い…いっぱいして、気持ち、よくしてもらって、シズちゃんのことだけ考えたい」
「臨也」
「シズちゃんで、いっぱいにしてくれたら幸せだから」

こっちから気持ちよくして欲しいと言うのは照れくさくてむず痒かったけれど、本心だったので震えそうになるのを押しとどめて言い切った。恐る恐る視線を戻すと、一瞬だけ瞳が見つめ合って。
シズちゃんが泣いているのかと思った。

「手前…っ、バカ野郎!!」
「えっ…!?」

まるで涙を隠すように体に抱きつかれて、すぐに顔はシーツで見えなくなる。それが少しだけ惜しかったけれど、ゆっくりと背中に手を回した。

「幸せにしてやるよ。もう余計なこと考えんな、俺のことだけ考えてろ。俺のもんだから、もう絶対他の奴らにさわらせねえから!」
「うん、わかった」

「好きだ、好きだっ…臨也」
「うん、うんシズちゃん」

何度も好きだと言ってくれる声が掠れていて、俺が殺された時もこんな風に切なく泣いてくれたのだろうかと思い胸が震えた。

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