ウサギのバイク リセットAnother 26
2ntブログ
04≪ 2024/05 ≫06
12345678910111213141516171819202122232425262728293031
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2011-09-17 (Sat)
*拍手連載「リセット」の別EDの話 16話からの分岐です
静雄×臨也 ※18禁注意

臨也に何があったのかをすべて知り静雄が助けに行く話
※今までの雰囲気と違い18禁要素強めです

* * *


さっきまでの甘い雰囲気は一気に消えて、また怒りがぶり返してくる。ふざけんな、と怒鳴ろうとしてその唇を突然覆うように手が伸びてきた。

「えっ、んぐっ…う、うぐぐ、ぅ、く…!」
『やらぁ、あ、あぁ…ごくぶとバイブ、っ、いい、きもひいいよぉ!もっと、まだ、たりないからぁ…!!』
「すげえオナニーだよな。なあ俺が寝てたベッドの上で匂い嗅ぎながらしてたこともあるだろ?つまり俺に犯されてえって、ずっと考えてたってことだよな?」
「うぅ…ぅ、あ…っ」

聞こえてくるのは自分の淫らな声と、シズちゃんの追いつめる声で、口から漏れるのは戸惑った呻き声だけだ。
間違っていることを言っていないのが、余計に悔しい。確かに他の男達に犯されながら、これがシズちゃんだったらという想像はもう数えきれないほどした。その時の過去の自分を殴りたい気持ちでいっぱいだ。

「どうした?本当のことを言われるのは辛いか?」
「っ、は…!もう、っ、こんなの…シズちゃんなんか、嫌いだ!嫌いっ、ぐ、うぅ」
「その顔すげえ幼くて、かわいらしいよな。そうやってうろたえてるのを見るのが好きだって、ようやく気づいたんだぜ。すげえ苛め倒してえ」

昨晩のことがまるで夢みたいだと思えるぐらい、普段通りのシズちゃんだった。俺を弄る為の情報を山ほど持っているのだから、今までより最悪だ。もしくはまだ怒っているのかもしれない。
俺が何も言わずに殺されようとしたことに。
このままだと一生シズちゃんのペースで言われかねないと思ったので、慌てて叫んだ。もうなりふり構っている場合ではなかった。

「わかった、わかったよもう認めるから!俺が悪かった、シズちゃんに好きだってちゃんと言わずに逃げようとした俺が悪かったから、もうこんな苛めないで…っ!」
「そうか…そこまで言うならしょうがねえ」
「え?」

それまで口を押さえていた手があっさりと離されて、なぜか目線は時計の方を向いていた。俺が呆然としていると、またチャイムの音が聞こえる。
まだ最後の手紙があったことをすっかり忘れていたので、ぽかんと大きく口を開けて驚いていた。その間にビデオを止めて、機嫌よく玄関に向かおうとして酷い一言を告げられる。

「続きは朝飯食べてからにしてやるよ。好きなんだろ、俺のオムライスが」
「…好き、だけど…」

小声で呟いた言葉をしっかりと聞いた後、満足そうに笑いながら玄関に消えた。残された俺は、全部遊びだったんだと気づいて悔しさでソファを拳で殴りつける。
きっとシズちゃんならわかっていた。
自分の映像だったけれどあんな卑猥なものを見せられて、少しだけ体が反応しかけていたことに。嫌だ嫌だと言いながら、苛められるとわかって体の奥底が疼いていたことも。
俺を追いつめるだけ追いつめておいてあっさり躱すなんて、ズルイと思う。でもそれがきっとシズちゃんなんだと。
決して俺の思い通りにはならない、大好きな相手。

「もう…やだ…」

ドタチンに託した本当の気持ちが詰まった手紙も、きっとまたからかわれる材料の一つになるんだろうなと思うと気が重かった。自業自得という四字熟語が頭に浮かんで、友人の医者の姿を思い出したけれどこの様子だと暫く誰にも会わせてくれないような気がする。
毎日、毎晩、いつだって俺のことを好き勝手にできるのだ。

「こんな筈じゃなかったのに…」

うな垂れながらも、涙の痕を服の袖で拭う。とにかく全部話を聞かないと、と決意しながらシズちゃんが戻ってくるのを待ち続けた。




結局すべてのことをきちんと聞けたのは、二人で朝ご飯を食べてその後さっき追いつめられた通りに自分主演のビデオを見ながらセックスをした後だった。

「未来を指し示すコインって…やっぱりそういうことだったんだ」
「最初は俺には納得いかねえ選択だったけどな。手前をどうあっても助けられねえなんて、それじゃあ意味ねえって。でも今はまあ、よかったと思ってるけどよ」

九十九屋の送ったデータを消しながら、偶然見つけたあの二人で見た幽くん主演のドラマの続きを見始めたところでさりげなく聞いたら、どういうことだったのか話し始めたのだ。まだテレビはついたままだったけれど、内容は入ってこない。
俺はただ静かに、聞き続けた。

「まるで手前主演の映画を見てるようだったぜ。何を考えてたのか、とかどう勘違いしたのかとか全部わかるんだからよお。あんなもん見せられなけりゃあ、あんな捻くれた頭の中なんて一生わからなかったぜ」
「悪かったな、捻くれてて」

本当はシャワーを浴びたいと言ったのに、それは許して貰えなかった。どうせまたするんだから、そのままいいだろうなんて言って上着を全裸の上から肩にかけただけの酷い格好で話をしている。
でも今更だったのでもう諦める。それよりも、大事なことがあったから。

「じゃあどれだけ取り繕っても、意味ないってことなんだね。まあそれなら…いくら嫌いって言っても通じないなら、もう言うのは止めるけどさ」
「でも手前が毎日好きだ好きだ、って言いながらベタベタに甘えてくんのも違う気がするんだけどな」
「っ、だ、誰がそんなこと、いきなり甘えたりするもんか!勝手な想像で俺のこと決めつけないでよ」

心外だ、と思いながら強く言うと納得したように肯きながら笑われた。絶対にバカにしている。
全部を知られているからとはいえ、俺は他人にベタベタに甘える方法なんて知らないし、どっちかというとただ苛められるだけの未来しか想像できなかった。今のところ俺は、弱みしか握られていないのだから。

「ねえその二つの選択肢だったっけ?それってやっぱり、もう一つの方にしておけばよかったって後悔してる?」
恐る恐る尋ねると、少しだけ驚いたような表情をしたけれどすぐに微笑んで言った。
「そんなのわかんねえよ。とりあえず手前に好きだってストレートに伝える以外の気持ちの伝え方が、俺にできたかわからねえからな。こっちを選んだ時は助けられねえなら意味ねえって後悔したが、まあこうなっちまったんだからいいだろ」

教えられたもう一つの選択肢が、すべてをリセットした上で一度死んだという記憶を互いに引き継ぎながら、その内容を伝えられないものだと聞かされた。シズちゃんからは、俺に好きだと告白できないなんてそれは確かに酷な話だなと思う。
だって正直に今の俺があるのは、きちんとはっきりした言葉ですべて説明されているからだ。助けられた時は強引だったけれど、好きだと散々言われたから素直に受け入れた。
だけどそれを言われなければ、一生自分からは告げるつもりもなく逃げる予定だったのだ。だからすべてをリセットしたとはいえ、また一から好きだと俺から告白するなんてそれは絶対にしなかったと思う。

「まあシズちゃんに、ストレートな言葉以外で俺を堕とす方法が思いつくわけないもんね」
「んなことねえよ。言葉で伝わらねえなら、体に教え込むっていうのがあるぜ」
「…それって全然伝わらないと思うよ。セックスしただけで好かれているって考えるのがおかしい。普通は体の関係だけ持ちたい獣なんだな、って納得するかな」
「おい誰が獣だ…?」

からかうように言うと鋭く睨まれたので、挑戦的にこっちも睨み返しながら言う。

「シズちゃんは獣だよ。もうそれはね、昔からだから変えられない」
「そうか、そんなにまたセックスしてえのか。随分ややこしい誘い方するんだな」
「ほらすぐそうやってエッチな想像ばっかりして、中学生じゃないんだからさあもっと落ち着きなよ」

こうなることぐらい予想していたけれど、あっさりと挑発に乗ってきたのでやっぱり単純だなとため息をつく。まあそこがシズちゃんのいいところでもあるけれど。
このままではもう一度強引に押し倒される可能性があったので、話題を変える。実はかなり聞きたかったことなのだが。

「ねえ…あのさあ、その…俺には自分が死んだ時の記憶がないんだけど…君は知ってるんだよね?」
「どうやって殺されたかってことか」
「それもあるけど、最後に何を考えて死んだか…とかさ」

もしあの時助けられなかったら、という未来を聞くのは酷な話だと思ったが気になってしょうがなかった。本当に最後まで自分を壊さずにいられたのか、とか実は意外な自分自身の気持ちを知ってしまったとか。
ずっと、シズちゃんに助けられたかったということをきちんと気がつけたかどうか。

「そんなのだいたい予想つくだろうが。くらだねえことばっかり…考えてやがったぜ」
「シズちゃんにとってはくらだないことかもしれないけど、俺にとってはそうじゃなかったりするだろう」
「いや、くだらねえな。腹刺されて死にかけてんのに、自分のことじゃなくて俺のことばっかり考えてたからよお。全部直接言やあ解決したってのに、くだらねえ」

その返事を聞いて、これ以上は教えてくれないだろうなと悟った。表情が険しくなっていたので、口にするのも苛つくのかもしれない。その気持ちはわからないでもないけれど。
せっかく聞けると思ったのに残念だなと思いながら、仕方なく切り替えた。
もう一つの、一番聞きたいことを尋ねる為に。

「じゃあシズちゃんは…どう思ったの?殺された俺を見つけて、こうやって手紙とかプレゼントを受け取って。すごく腹立たしくて、俺が好きだと気づいて、未来を指し示すコインを選択する時にはどう思ってたの?」
「なんだって…?」
「もしそのコインがなくて、俺が死んだままだったら…どうしてた?手紙に書いた通りに、俺のことを忘れて生きたかな?」

なんとなく答えはわかっていたけれど、聞かずにはいられなかった。

| 小説 |